宝石というと価値が高いものというイメージがありますが見た目が同じようなものでも、その特徴や価値は異なるものが多いです。宝石とひとくちにいっても、いまいち違いが理解できていないという方もいるのではないでしょうか?
この記事では、宝石の定義から価値が付きやすい宝石について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
目次
宝石の定義と分類
1章では、宝石の定義と分類について解説します。価値が高いとされている貴石の種類もご紹介するのでぜひ参考にしてください。
宝石の定義について
「AGL(一般社団法人宝石鑑別団体協議会)」及び「JJA(一般社団法人日本ジュエリー協会)」では、カットや研磨以外の人工処理がされていない「天然石(天然宝石)」のみを宝石と定義しています。
貴石と半貴石
宝石はさらに“貴石”と“半貴石”の2つに分けられています。ここでは貴石と半貴石の違いや代表的な宝石をご紹介します。
貴石
天然宝石の中でも希少価値があり高値で取引されるものが“貴石”に該当します。貴石の定義は国や専門家によって異なりますが、一般的には以下の基準に基づいて区分されます。
- 希少である
- 硬度が高い(硬度7以上)
- 外観が美しい
代表的な貴石として、以下に紹介していきます。
【貴石とされている天然宝石】
- ダイヤモンド
- ルビー
- サファイア
- エメラルド
- アレキサンドライト
- 翡翠
- オパール など
半貴石
天然宝石の中で、先述の条件を満たしていないものは“半貴石”と呼ばれています。代表的な半貴石としては、アクアマリン、ラピスラズリ、アメジストなどがあります。
一般的には貴石の方が価値が高いといわれていますが、宝石の透明度が低いものや傷、欠けなどがあるものは価値が下がります。反対に通常は半貴石に分類されるものでも、パライバトルマリンやキャッツアイなど貴石に劣らないほどの美しさや希少性を持つ宝石は、貴石以上の金額で取引されることも少なくありません。
人工生産物とは
市場で流通している宝石には人工宝石と呼ばれるものがありますが、これらは人工生産物に分類されるため天然石とは別ものです。人工生産物は、人間によって人工的に作られた物質を指し、合成石、人造石、模造石の3つに分けられます。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
- 合成石:人工・科学的に作られた、天然宝石と化学特性や物理特性、構造が天然宝石とまったく同じであるもの
- 人造石:天然には存在しないが一定の化学特性、物理特性、内部構造を持ち、人工的に作り出したもの
- 模造石:ガラスやプラスチックなどを使用し作られた天然宝石を模倣したもの
人工生産物は宝石ではないため、希少性はありません。たとえば、キュービックジルコニアはダイヤモンドを模した人造石ですが、市場価値はダイヤモンドの100〜500分の1といわれています。仮に1カラットのダイヤモンドが100万円だとすると、同じカラット数のキュービックジルコニアは2000円〜1万円ほどとなります。
宝石の中でも価値が高いものとは
価値が高いといわれる宝石は貴石に分類されるダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドです。この4つの宝石は“世界四大宝石”と呼ばれ、高値で取引されています。
この世界四大宝石に翡翠や真珠、アレキサンドライトのうちいずれかが加わったものが五大宝石となりますが、国や地域によって違いがあります。
またダイヤモンドよりも希少価値が高い“世界三大希少石”と呼ばれるものも存在し、アレキサンドライト、パライバトルマリン、パパラチアサファイアの3つが該当します。これらの宝石は市場で出回る数が少ないため、宝石の中でも屈指の人気を誇るダイヤモンドにもひけをとりません。
下記の記事では宝石の買取事例や高値で売るためのポイントなどを解説しています。気になる方はぜひご覧ください。
価値が付きやすい宝石をご紹介
どの宝石も美しいことに変わりはありませんが、それぞれ違った魅力があり価値も異なります。4章では価値が付きやすい宝石をご紹介しますので、宝石に関する知識をより深めておきましょう。
ダイヤモンド
ダイヤモンドは美しい輝きが魅力の宝石です。ダイヤモンドには4Cと呼ばれる評価基準があり、このグレードが高いほどダイヤモンドの価値が高くなります。グレードによっては、同じサイズのダイヤモンドであっても、5万円〜10万円以上の価格差が出ることもあります。
基本的には、ダイヤモンドは無色透明のものが希少価値が高いとされていますが、レッドやピンクなど色のついたファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれるものも人気を集めています。
また、和名で“金剛石”と呼ばれるダイヤモンドは、多くの宝石の中でもトップクラスの硬さを持ち、高い耐久性があります。ダイヤモンドはその硬さから、宝飾用としてだけでなく、研磨剤やカッターなど工業用にも使用されることがあります。
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ルビー
ルビーは古代より情熱的な赤い色を持つことから、勝利を呼び寄せる権力の象徴として扱われてきました。ルビーは採掘された産地によっては色合いが異なり、ミャンマー産のものは“ピジョンブラッド”と呼ばれ、その美しい色合いから高く評価されています。
ルビーはサファイアと同じ“コランダム”という酸化アルニウムの鉱物からできています。含まれる不純物の違いによってそれぞれ発色が変わり、クロムが含まれていると赤色のルビー、チタンや鉄が含まれていると青色やその他の色味になりサファイアに分類されます。
原石の状態から発色が良く透明感が高いものは非常に少ないため、流通しているルビーのほとんどは色を改善するために加熱処理を行っています。加熱処理を施さずに鮮やかで透明度の高いものもまれに採掘されますが、その割合は全体の5%以下に過ぎません。そのため、未処理で透明度の高いルビーは非常に価値が高くなっています。
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サファイア
サファイアは前述の通りルビーと同じコランダムに分類され、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ割れにくい宝石です。
サファイアといえば青色が特徴ですが、青以外にもピンクやオレンジ、グリーンなどさまざまな色のものがあります。これらのようなサファイアはファンシーカラーサファイアと呼ばれ、コランダムに含まれる元素の量によって色合いが変化します。
ファンシーサファイアの中でもオレンジとピンクの中間色が特徴のパパラチアサファイアは、産出量が非常に少なく希少価値があるため高値で取引されています。とくにスリランカ産のものは色濃く透明度も高く、最高ランクと評価されています。
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エメラルド
エメラルドは鮮やかな緑色が特徴の宝石で、クロムとバナジウムを含むベリルという鉱物に分類されています。エメラルドは結晶を生成する際に不純物を取り込むため、他の宝石に比べインクルージョン(内包物)が多く見られます。エメラルドのインクルージョンは産地によって特徴が異なり、宝石のプロはインクルージョンを見れば産地が分かるといわれています。
エメラルドはコロンビアをはじめ、ザンビア、ジンバブエなどで採掘されます。とくにコロンビア産のエメラルドは良質な石が多く、三相インクルージョンが見られるのが特徴です。三相インクルージョンとは固体、液体、気体がエメラルドに内包されたもののことです。
また産地によって色の違いが見られ、コロンビア産は柔らかく鮮やかな緑、ザンビア産は青みの強い緑、ジンバブエ産は黄みが強い緑などそれぞれ異なる表情を楽しむことができます。
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翡翠
翡翠は古代から魔除けや不老不死をもたらすといわれている宝石で、日本や中国などアジアを中心に人気がある宝石です。現在も運気を上げるパワーストーンとしてジュエリーをはじめとした装飾品によく用いられています。
翡翠は無色透明の鉱物である翡翠輝石からなりますが、クロムや鉄など微量の不純物によって緑色に変化します。翡翠は色濃く透明度の高いものが評価され高値が付きます。翡翠の中でも最上級のものはロウカンと呼ばれ、色の濃さと透明度に加えて表面に油を垂らしたかのような“とろみ”が見られるのが特徴です。
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真珠(パール)
真珠(パール)はこれまでご紹介した宝石とは異なり、二枚貝から採れる宝石です。真珠は、砂や微生物など貝の中に入り込んだ異物が貝殻の成分で覆われ、それが何層にも重なり丸くなることで形成されます。
真珠の種類は、アコヤ真珠(アコヤガイ)、淡水真珠、南洋真珠、タヒチ黒蝶真珠(タヒチの黒蝶貝)などがあり、それぞれ異なる貝や環境で形成されているため、特性や外観に違いが見られます。日本で発明された養殖真珠の先駆けである「あこや真珠」は透明感のある輝きが特徴で、世界的に高く評価されています。
真珠のサイズは日本産アコヤ真珠の場合、7〜8mmのものが多く、10mm前後が最大サイズとなります。真珠は大きさが10mm以上を超えると高品質なものができる確率が低くなることもあり、これを超えるサイズのものはめったに見られません。
アレキサンドライト
アレキサンドライトはクリソベリルという鉱物のひとつで、当たる光によって色が変わる特徴があります。太陽光や蛍光灯が当たると美しい緑、ろうそくの炎や白熱光が当たると赤っぽい色に見えます。このことからアレキサンドライトは「昼はエメラルド、夜はルビー」と表現され、さまざまな表情を楽しめる宝石として人気があります。
アレキサンドライトが初めて発見されたのはロシアのウラル山脈です。ロシア産のアレキサンドライトは透明度が高く高品質なものが多いため、高値が付きやすい傾向にありますが数十年で枯渇し現在はほとんど採掘されていません。
現在のアレキサンドライトのおもな産地はブラジルで、透明度が高く色鮮やかな高品質なものが多く産出されています。その他にもスリランカやインドなどで産出されていますが、ロシア産やブラジル産のアレキサンドライトほど高品質なものはあまり見られません。
パライバトルマリン
パライバトルマリンは、1989年に発見された比較的新しい宝石ですが、世界三大希少石のひとつに入るほど高い価値を持つ宝石です。採掘量が安定せず少量しか採れないため、高品質なものは1カラット100万円で取引されることもあります。
パライバトルマリンは通常のトルマリンとは異なり鮮やかなネオン色をしています。このネオン色は、含まれる元素の量によって異なります。銅の割合が多いほど青味が強くなり、いっぽうでマンガンが多いと緑色が強くなる傾向があります。
パライバトルマリンはおもにブラジルやアフリカなどで採掘され、とくに良質なものが多く見られるのはブラジル産です。ブラジル産のパライバトルマリンは銅の含有量が多く、色濃く鮮やかなネオンブルーのものが採掘されています。
パライバトルマリンについて詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひご覧ください。
宝石の正しい知識を身に着けておこう
今回は、宝石の定義や価値が付きやすい宝石について解説しました。宝石をお持ちの方もこれから宝石を購入しようと思っている方も、本記事を参考により宝石に関する知識を深めていただけましたら幸いです。
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