
6月の誕生石として有名な「真珠」。
光沢が美しく昔から人気のある宝石ですが、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
この記事では、真珠の特徴を、産地や石言葉、種類、価値基準とともに解説していきます!
目次
1 真珠はどんな特徴を持つ宝石?覚えておきたい基礎知識を解説
6月の誕生石である真珠とは、どんな宝石なのでしょうか?
まずは真珠の特徴を見ていきましょう。
1-1 真珠とはどんな宝石?
真珠は貝から採取される宝石です。
貝の体内で生成されるため、生体鉱物と呼ばれています。
現象としては、貝殻成分を分泌する「外套膜(がいとうまく)」という器官が、偶然貝の体内に入りこむことで真珠が生成されます。つまり、真珠の成分は貝殻とほぼ等しく、炭酸カルシウムが主成分です。
炭酸カルシウムは塩分・酸に弱いため、真珠は汗や柑橘類、酢に触れると光沢を失ったり溶けてしまうことがあります。真珠は一見汚れにくそうに見えますが、普段から使い方に注意のいる宝石です。
1-2 真珠のおもな産地は?
真珠の産地といえば日本というイメージがありますが、実は世界中で産出されています。
ここでは、代表的な真珠の産地と、そこで採れる真珠の種類をご紹介します。
- 日本:あこや真珠
- オーストラリア:白蝶真珠(シロチョウシンジュ)
- タヒチ:黒蝶真珠(クロチョウシンジュ)
- フィリピンやインドネシアといった東南アジア:南洋ゴールド真珠
- 中国:淡水真珠
真珠の種類は母貝によって変わるため、採れる地域で種類が異なってきます。
種類の詳細については、のちほど2章で解説いたします。
1-3 真珠の石言葉
真珠の石言葉は「純粋・健康・長寿・富」です。
あの有名なクレオパトラも真珠が持つパワーを信じて、葡萄酒や酢に溶かして飲んでいたと言われています。
現代化学においては、真珠に含まれるタンパク質「コンキオリン」が美容や健康によいことが確認されており、真珠成分が入っている基礎化粧品やサプリメントがたくさん発売されています。
1-4 お守りとして使用できる?
真珠は「月のしずく」「真珠の涙」と呼ばれ、古くから高級な宝飾品やお守りに使用されてきました。
日本では、安産祈願や厄除けのお守りとして重宝されています。
その理由は、母貝の中で真珠が生成されるまで長い年月がかかることから、真珠には神秘的で強力なパワーが宿っていると信じられているためです。
ここまで、真珠の特徴を産地や石言葉とともに解説いたしました。
続いて、2章では真珠の種類を紹介していきます。
2 真珠には種類がある!真珠の種類を紹介
真珠には、自然界でできる「天然真珠」と、人の手によって養殖されてできる「養殖真珠」があります。
成分は同じなので、両方とも“本物の真珠”として扱われます。
天然真珠は採れる量があまりに少ないので、現代では真珠といえば養殖真珠が主流です。
ここでは、養殖真珠の中で有名な5種類の真珠をご紹介します。
2-1 あこや真珠
あこや真珠は別名「アコヤパール」や「和珠(わだま)」とも呼ばれ、養殖真珠の中でもっとも有名で高品質とされている日本の真珠です。
有名である理由は、世界ではじめて真珠の養殖に成功したのが、日本のブランド「ミキモト」によるあこや真珠だから。
養殖方法としては、生殖巣の真珠袋に、外套膜を切り取った一片を核とともに入れて、天然真珠ができあがるのと同じ状況を再現しています。
この方法は、後述する白蝶真珠や黒蝶真珠にも活用されています。
おもな産地は三重県や愛媛県、九州地方。
品質によってランク分けされており、最高級のものは「花珠真珠(ハナダマシンジュ)」、そのひとつ下のランクは「準花珠真珠」と呼ばれています。
2-2 白蝶真珠
出典:TAKASHIMAYA
白蝶真珠は、白蝶貝という種類の貝から生まれる真珠です。オーストラリアを中心とした南太平洋で採れるため、「南洋真珠」とも呼ばれています。
長い年月をかけて生成されるため球のサイズが大きく、見た目も美しいので、世界中で人気です。
また、フィリピンやインドネシアといった東南アジアで採れるものは金色がかっており、「南洋ゴールド真珠」と呼ばれています。
白蝶真珠は日本でも採れ、沖縄県八重山列島で養殖されています。
2-3 黒蝶真珠
出典:TAKASHIMAYA
黒蝶真珠は、黒蝶貝から生まれる黒色の真珠です。
おもな産地はフランス領ポリネシアのタヒチ島や沖縄県八重山列島。タヒチで採れるものに関しては「南洋黒蝶真珠」とも呼ばれています。
黒色の真珠がすべて黒蝶真珠というわけではなく、白い真珠を染色して黒真珠として販売しているショップもあるので、注意が必要です。
2-4 マベ真珠
出典:MJC
マベ真珠は、マベ貝から採れる真珠です。
あこや真珠や白蝶真珠の養殖方法と違い、外套膜をはがして貝殻に核を接着しているだけなので、球体にはならず、半球体に仕上がります。
ただし、近年は養殖技術の向上により、球体のものもすこしずつ産出されるようになってきました。
おもな産地は香港、台湾、インドネシア、奄美大島です。
2-5 淡水真珠
出典:SHEIN
淡水真珠(淡水パール)は、おもに中国の淡水湖や池で養殖されている真珠です。
低コストで入手しやすいため、安価なアクセサリーによく使用されており、見かけることの多い石です。
母貝として用いられているのは、イケチョウ貝やカラス貝といった淡水生の貝。
ほかの養殖真珠と違って核が挿入されていないため、真円形にならず、さまざまなサイズ・形のものが産出されます。
ここまで、世界的に知名度の高い5種類の真珠を紹介してきました。
次の章では、真珠のカラーバリエーションについて解説していきます。
3 真珠のカラーバリエーション
真珠の色は「実体色」と「干渉色」という2つのコンビネーションでできています。
・実体色…ベースとなる色
・干渉色…光の反射によって表面に生じる色
出典:GIA
「干渉色」はピンクかグリーン系が多く、個体によって色が違います。
この章では、真珠の印象を決定づける「実体色」のカラーバリエーションについてご紹介していきます。
3-1 ホワイト系
真珠の中でもっとも代表的なのがホワイト系です。
日本では冠婚葬祭で女性が身につける宝石として定着しています。
色の幅としては、シルバーホワイトからクリーム色に近いホワイトまであります。
個体差はありますが、あこや真珠はオフホワイト、白蝶真珠はクリーム色、淡水真珠はピンクがかった色味のものが比較的多いです。
3-2 ゴールド系
出典:MIKIMOTO
ゴールドカラーの真珠は非常に華やかな印象で、パーティーシーンや特別なお出かけの日に適しています。
ゴールド真珠として人気なのは、フィリピンやインドネシアで養殖されている「南洋ゴールド真珠」です。
南洋ゴールド真珠は希少性が高いため、高値で取引されています。
3-3 ピンク系
白に近いピンク色の真珠は養殖真珠として存在しますが、はっきりとしたピンク色の真珠は天然でも養殖でも生まれることはありません。
すなわち、市場に出回っているピンク味の強い真珠は、人工的に着色(染色)することによって作られています。
バブル期は着色されたピンクパールが流行っていましたが、近年は着色が好まれず、人気がやや落ちてきています。
3-4 ブラック系
ブラックの真珠は、お葬式や法事から普段のお出かけまで使用できるゴージャスな宝石です。
有名なのはタヒチなどで産出される黒蝶真珠です。
色の幅としては、グレー・シルバーに近いものから濃いブラックのものまであります。
また、ピーコックグリーンの干渉色を持つものが最高級とされています。
【ピーコックグリーンの黒蝶真珠】
出典:TAKASHIMAYA
4 真珠の価値は何で決まる?真珠の価値基準5選
真珠の価値はどうやって決まるのでしょうか?
ここでは、真珠の価値を左右する重要なポイントについて解説します。
4-1 無調色かどうか
真珠は調色(エンハンスメント)や着色、染色といった方法で、色味を変えることができる宝石です。
調色は世界的に認められている宝石の加工手段で、悪いものではないのですが、最上級とされるのは元の状態から色を変えていない「無調色」の真珠です。
ただし、無調色の状態で販売できるほどきれいな真珠は数が少なく、あこや真珠などにおいても調色されているものがほとんどです。
調色(エンハンスメント)とは
宝石が持つ本来の美しさを引き出すために行う人工処理のこと。色が均一になったり、表面のざらつきがなくなったりするという効果があります。
代表的な手法は加熱処理、含浸処理、漂白処理。
加熱処理はサファイヤやルビーに、含浸処理はターコイズやエメラルドに、漂白処理は真珠などに行われています。
着色・染色に関しては、真珠そのもののカラーを変えてしまう行為なので、高価な真珠には基本的に行われません。
4-2 真珠の品種
前述したように、真珠にはさまざまな種類があり、品種によって価値が決定されます。
とくに価値が高いとされているのは以下の品種です。
・天然真珠
・あこや真珠
・白蝶真珠
・黒蝶真珠
ただし、上記の品種に当てはまる真珠がすべて高品質というわけではなく、色や形状、サイズによっても価値は変化します。
また、淡水真珠は以前は価値が低いとされていましたが、近年は核があるものや形の美しいものが徐々に産出されるようになっており、価値が上昇してきています。
4-3 キズの有無
真珠はほかの宝石と比べると柔らかく、比較的キズがつきやすい宝石です。
そのため、採取される際やジュエリーとして加工される際にキズがついてしまうことがまれにあります。
表面にキズがなく美しい状態のものほど価値が高くなります。
4-4 テリが優れているか
干渉色によって表れる真珠の光沢を「テリ」と言います。
テリの少ない真珠は色がのっぺりと均一に見え、テリがしっかりある真珠は虹色に輝くように見えます。
あこや真珠や白蝶真珠はテリが優れているので、世界的に見ても品質がよいとされています。
4-5 形状
真珠は、真珠核を中心に丸く生成される宝石です。
養殖方法によっては形状が安定せず、左右非対称になったり、ゆがみが出てしまったりします。
価値が高いとされるのは、真球(完全な球体)の真珠です。
ここまで、真珠の価値を決定する5つのポイントについて解説しました。
次の章では、真珠の本物・偽物を見分ける方法をご紹介します。
5 真珠が本物か偽物か見分ける5つの方法
世の中には、真珠の見た目をしたアクセサリーがたくさん溢れています。
天然真珠や養殖真珠は“本物の真珠”ですが、安価なアクセサリーの中には、見た目が真珠に似ているだけの“人工真珠”もあります。人工真珠の素材はガラスやプラスチック、コットンパールなどです。
ここでは、偽物の真珠である人工真珠を見分ける方法をご紹介します。
人工真珠だと断定できるポイント5選
- ブラックライトで照らしたときに、青や緑に発光しない
- ネックレスやブレスレットにおいて、真珠の全サイズが均一すぎる
- ジュエリーにおいて、糸を通す穴の形がゆがんでいる
- 表面がプラスチックのように硬くツルツルしている
- 重量が軽すぎる
偽物の見分け方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご参考になさってください。
6 さいごに
この記事では、真珠の特徴と種類、価値、偽物の見分け方について解説しました。6月の誕生石である真珠について、より深く知っていただけましたら幸いです。
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