
ダイヤモンドは、天然に存在する物質の中でもっとも硬く、その美しさから宝石の王様とも呼ばれる宝石です。婚約指輪など特別な用途に用いられることも多く、多くの女性にとって憧れの存在でもあります。
当記事では、ダイヤモンドについての基礎知識をはじめ、ダイヤモンドのカットやカラー、お手入れ方法を紹介します。ダイヤモンドについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1 ダイヤモンドとはどんな石?
ここでは、ダイヤモンドに関する基礎知識を解説します。
1-1 ダイヤモンドの特徴
ダイヤモンドといえば、透き通った無色透明の輝きが最大の特徴です。
ダイヤモンドは炭素でできた鉱物ですが、炭素というと一般的に真っ黒なイメージがあります。しかし、ダイヤモンドは炭素分子の配列が規則正しく整っているため、可視光が全部透過することで、無色透明に見えます。
また、ダイヤモンドは自然界に存在する物質でもっとも硬い鉱物です。古来から日本に伝わる仏教用語で、もっとも硬いものを意味する「金剛」にちなみ、ダイヤモンドの和名は「金剛石」と呼ばれます。
宝石の硬さを表す指標には、モース硬度とヌープ硬度というものがあります。モース硬度は、2つの違う石をこすり合わせて傷がつくかどうかで、鉱石の硬さを1から10に分類したものです。ヌープ硬度は、ダイヤモンドの四角錐の先端を鉱物に押し当て、どれくらいへこみが付いたかで硬度を分類する方法です。
モース硬度ではダイヤモンドはもっとも硬く、唯一の硬度10にランク付けされています。ちなみに、ダイヤモンドの次に硬いとされるルビーは硬度9です。
また、鉱石の硬さをより科学的に測定したヌープ硬度では、ルビーのヌープ硬度は1600から2000なのに対し、ダイヤモンドはなんと6000から8500ものヌープ硬度があります。
ダイヤモンドとルビーはモース硬度では1段階しか変わりませんが、ヌープ硬度で比較すると、ダイヤモンドの硬さがどれだけ優れているかがわかります。
1-2 ダイヤモンドの産地
現在、ダイヤモンドの産出量がもっとも多いのはロシアです。
次いで、ボツワナ、コンゴと続き、この3カ国が世界三大ダイヤモンド産出国です。
そのほかに、オーストラリア、南アフリカ、カナダでもダイヤモンドが産出されます。
これら6カ国で、世界のダイヤモンドの約9割を産出しているといわれています。
1-3 ダイヤモンドの歴史
ダイヤモンドの歴史は非常に古く、現在もっとも古いダイヤモンドは、なんと約45億年前にできたものとされています。人類にダイヤモンドが認知されはじめたのは紀元前7,8世紀ごろで、地下深くに眠っていたダイヤモンドがマグマの噴出により地表近くまで出てきたことが理由です。
ダイヤモンドが宝石として市場に流通し始めたのは紀元前4世紀頃です。おもにインドを中心に取引されていましたが、非常に貴重な石ということもあり、ダイヤモンドを手に入れられるのは王族や富豪など、限られた一部の人だけでした。
現在のダイヤモンド市場の始まりは1800年代で、南アフリカで巨大なダイヤモンド鉱山が発見されたことが理由です。欧米の富裕層からの需要が高まっていたこともあり、ダイヤモンド技術はここから一気に進化していきました。
1-4 ダイヤモンドの意味や石言葉
ダイヤモンドという名前は、ギリシャ語で「無敵」を意味する「アダマス(adamas)」から名付けられました。当時、ダイヤモンドを磨く方法は確立されていませんでしたが、ダイヤモンドの硬さは知られており、無敵の硬さを誇る石ということから、その名前がつきました。現代でも、ダイヤモンドはその硬さから、強い絆や永遠の絆という意味を持っています。
ダイヤモンドの石言葉は多数ありますが、代表的なものは以下のものです。
- 清浄無垢
- 至宝の輝き
- 純愛
- 貞節
- 不変
どれも、ダイヤモンドの持つ変わらぬ輝きや強さに由来する石言葉ばかりです。ダイヤモンドの石言葉にはポジティブで純粋な力があふれており、結婚指輪や婚約指輪としても人気があります。
1-5 ダイヤモンドは4月の誕生石
ダイヤモンドは4月の誕生石です。4月生まれの方は、ダイヤモンドをお守り代わりにつけている方も多いです。
また、ダイヤモンドの色や形によって、356日の誕生日石に分類されているものもあります。
誕生日 | ダイヤモンドの種類 | 石言葉 |
3月13日 | イエロー・ダイヤモンド | Change of Hope |
3月29日 | マーキスカット・ダイヤモンド | 優雅 |
4月6日 | ブルー・ダイヤモンド | オールマイティー |
4月28日 | キンバーライト(ダイヤモンド母岩) | あなたを守る愛 |
7月9日 | テーパーバゲットカット・ダイヤモンド | 不屈の信念 |
7月27日 | メレー・ダイヤモンド | 脇役からの出発 |
8月8日 | ラウンドダイヤモンド | 永遠の愛 |
9月3日 | ダイヤモンド原石 | 誕生の秘密 |
9月26日 | ハートと矢を示すダイヤモンド | 永遠の愛 |
10月3日 | マクル(ダイヤモンド原石) | セクシーな関係 |
10月22日 | 八面体結晶のダイヤモンド | ラッキーな未来 |
11月11日 | 1ctのダイヤモンド | 幸せのはじまり |
12月26日 | ダイヤモンド原石 | 隠された秘密 |
このように、さまざまなダイヤモンドが誕生日石として定められています。 自分の誕生日に合わせたダイヤモンドのジュエリーを身につけるのもいいですね。
2 ダイヤモンドの4Cとは?
ダイヤモンドの価値を決める上で欠かせないのが「4C」です。ここでは、ダイヤモンドの4Cについて解説します。
2-1 4Cとはダイヤモンドの品質を決めるもの
ダイヤモンドの4Cとは、次の4つの単語の頭文字から名付けられました。
- カット(CUT)
- カラー(COLOR)
- クラリティ(CLARITY)
- カラット(CARAT)
4Cのバランスがよいほど、クオリティの高いダイヤモンドとして、市場価値が上がります。
2-2 カット
カットとは、ダイヤモンドの輝きのことです。ダイヤモンドの輝きはカットによって作られ、優れたカットが施されたダイヤモンドほど、美しい光を放ちます。
ダイヤモンドの中でももっとも人気のカットであるラウンドブリリアントカットの場合、評価基準は大きく分けて5段階あります。
- Excellent
- Very Good
- Good
- Fair
- Poor
このうちExcellentだけは、さらに3つのグレードに細分化されています。
3EX H&C(トリプルエクセレント ハート&キューピッド)
H&C EX( ハート&キューピッド エクセレント)
3EX(トリプルエクセレント)
H&C(ハート&キューピッド)とは、Excellent品質のダイヤモンドの中でも高級品です。プロポーション(総合評価)・ポリッシュ(表面の研磨仕上げ状態)・シンメトリー(対称性)のすべての状態が完璧なダイヤモンドは、カット面がハートと矢のように見えます。
天使の矢とハートをイメージさせるため、H&C品質のダイヤモンドは、結婚指輪や婚約指輪としても人気があります。
2-3 カラー
カラーは、ダイヤモンドの色のことです。ダイヤモンドの多くはわずかに色がついているのが普通のため、無色透明に近いほど価値が上がります。
- D/E/E: 完全に無色透明
- G/H/I/J: 無色
- K/L/M: わずかな黄色
- N〜Z: 薄い黄色から黄色
ダイヤモンドのカラーでもっとも評価が高いのはDランクです。ダイヤモンドの黄色みが強くなるほどカラーの評価は下がりますが、色の濃い黄色やビビッドな黄色など、美しいカラーのダイヤモンドはファンシーカラーとして別基準での評価が与えられます。
2-4 クラリティ
クラリティとはダイヤモンドの透明度をあらわす基準です。内包物や傷、欠けが少ないものほど評価が上がります。
- FL:10倍の拡大で無傷
- IF:10倍の拡大で微小な表面の欠点
- VVS1/VVS2:10倍の拡大でごくわずかな内包物
- VS1/VS2:10倍の拡大で多少わかりにくい内包物
- SI1/SI2:10倍の拡大なら発見は容易だが肉眼では困難
- I1/I2/I3:肉眼でもわかる欠陥
婚約指輪など、特別な指輪を選ぶ際には、肉眼でほぼ内包物を確認することができないVS以上のダイヤモンドがおすすめです。
2-5 カラット
カラットは、ダイヤモンドの重さを表す基準です。ダイヤモンドはカラットが大きいほど評価が高くなり、値段も上がります。1カラット(1ct)は0.2gで、1gのダイヤモンドは5ctとなります。
ダイヤモンドはカラットが大きいほど素晴らしいというイメージがありますが、実際は他の3項目とのバランスが重要です。カットが優れており、無色透明のダイヤモンドなら、0.1カラットでも十分な美しさのダイヤモンドとして取引されます。
3 ダイヤモンドの鑑定書とは
ダイヤモンドの価値を知るには、鑑定書をチェックするのが基本です。ここでは、ダイヤモンドの鑑定書についての基礎知識をまとめました。
3-1 鑑定書と鑑別書の違い
宝石の価値を証明する書類には、鑑定書(グレーディングレポート)と鑑別書というものがあります。鑑定書はダイヤモンドにしか発行されませんが、鑑別書はどんな宝石にも発行することができます。
鑑定書=ダイヤモンドを検査して品質を評価し、価値を証明するもの
鑑別書=さまざまな宝石の種類を見分けるもの
ダイヤモンドの価値を証明するために必要なのは「鑑定書」のみです。鑑別書は、宝石の種類や、天然か模造かを見極めることはできますが、品質評価は行われません。
3-2 ダイヤモンドの鑑定機関
ダイヤモンドの鑑定書を発行できる機関は、主に以下の3つです。
- GIA(Gemological Institute Of America 米国宝石学会)
- CGL(Central Gem Laboratory 中央宝石研究所)
- AGT(AGTジェムラボラトリー)
この中で国際的な信用度がもっとも高いのはGIAの鑑定書です。CGLは日本最大の鑑定機関で、ハート&キューピッドのダイヤモンドの鑑定をすることができます。
AGTはGIAと提携している日本の鑑定機関で、ファンシーカラーダイヤモンドの鑑定を得意としています。
3-3 ダイヤモンドの鑑定書の見方
ダイヤモンドの鑑定書には、4Cの基準の他に、寸法や蛍光性、カットの等級、プロットと呼ばれる傷や内包物のレポートが記載されています。信頼できる鑑定機関の鑑定書があればダイヤモンドの品質の信頼性が高まるため、ダイヤモンド買取でも高額査定となるでしょう。
4 ダイヤモンドのおすすめカット10選
ダイヤモンドのカットは、ダイヤモンドの品質を決めるだけでなく、見た目にも関わる大きなポイントです。ここでは、ダイヤモンドのカットの中でも人気がある、おすすめのカットを紹介します。
4-1 ラウンドブリリアントカット
ダイヤモンドのカットの中でも特に人気が高く、有名なカットといえばラウンドブリリアントカットです。
ラウンドブリリアントカットは58面体で、ダイヤモンドの光をもっとも効率よく反射させるカットです。ラウンドブリリアントカットには評価基準があり、エクセレント(EX)、ベリーグッド(VG)、グッド(G)、フェア(F)、プア(P)の5つに分けられます。
グレードが高いカットほど、光の反射率が高く、美しい輝きのダイヤモンドとなります。
4-2 プリンセスカット
プリンセスカットは、均等なバランスの四角形にカットされたものです。プリンセスの名前にふさわしく、モザイクや彫刻のような美しいカット模様が魅力です。
プリンセスカットは上下左右を均等にカットすることで、大きく取られたテーブル面が強く光を反射します。正方形のものと長方形のものがありますが、より人気があるのは正方形です。
4-3 エメラルドカット
エメラルドカットは、ステップカットと呼ばれる手法のひとつで、長方形のテーブル面が特徴です。ラウンドブリリアントカットのような輝きはありませんが、ダイヤモンド本来の色や透明度を楽しむためのカットです。シンプルで格調高いデザインのため、エレガントな印象があります。
4-4 アッシャーカット
アッシャーカットはエメラルドカットに似たステップカットの一種ですが、正方形なのが特徴です。カットのラインごとに階段状に輝き、透明感が抜群です。カット数は74とラウンドブリリアントカットより多く、非常に手間のかかるカットです。
4-5 クッションカット
クッションカットはピローカットとも呼ばれ、クッションのように丸みのある四角形が特徴です。ブリリアントカットの一種なので、四角いシェイプで輝きも楽しみたいという方におすすめのカットです。
4-6 ラディアントカット
ラディアントカットは、エメラルドカットのような長方形ですが、ブリリアントカットに似た輝きを持つカットです。長方形の優雅なシェイプと強い輝きの両方が楽しめるため、ゴージャスな印象があります。婚約指輪としても人気があるカットです。
4-7 マーキスカット
マーキスカットはラグビーボールのような形が特徴で、58面体か18面体で構成されるカットです。マーキスとはフランス語で「侯爵」という意味があり、18世紀の貴族の間で流行したカットです。
マーキスカットはカラットに対して大きく見えるのが特徴で、小さなマーキスカットのダイヤモンドを組み合わせて、花びらや蝶々などのモチーフにするのも人気です。
4-8 オーバルカット
オーバルカットはダイヤモンドのカットの中でも歴史のあるカットです。楕円形のシンプルなカットで、優雅な雰囲気と上品な輝きが特徴です。
ラウンドカットは円形のラウンドカットと異なり、楕円形のため、カラットを最大限に活かすことができます。細長いカットのため、指がすらりと細長く見えるという点も人気です。
4-9 ペアシェイプカット
ペアシェイプカットはティアドロップカットとも呼ばれ、涙型のシェイプをしています。ラウンドカットとマーキスカットの特徴を併せ持ち、カラットの大きさに関係なく、さまざまなシーンで使いやすいカットです。
4-10 ハートシェイプカット
ハートシェイプカットは、その名の通りハート型をしたカットです。欧米では非常に人気があり、婚約指輪として好まれます。
可愛い形ですがカットの難易度は非常に高く、大きくて美しいハートシェイプカットは高額となります。
5 カラーダイヤモンドとは
ダイヤモンドといえば無色透明が一般的ですが、さまざまな自然現象が重なってできた、カラフルなダイヤモンドも存在します。ここでは、色鮮やかなカラーダイヤモンドについて紹介します。
5-1 ダイヤモンドはカラーバリエーションが豊富
ダイヤモンドは無色透明のイメージが強いですが、実はカラーバリエーションが非常に豊富な石です。ダイヤモンドは炭素で構成された鉱物で、純度が高いものほど透明になります。しかし、ダイヤモンドが生成されるなかで天然の不純物が混ざると炭素分子に何らかの影響が起こり、宝石に色がつきます。
5-2 ファンシーダイヤモンドとトリートメントダイヤモンドの違い
カラーダイヤモンドの中には、ファンシーダイヤモンドと呼ばれるものと、トリートダイヤモンドというものがあります。
ファンシーダイヤモンドは天然のカラーダイヤモンドの中でも、特に色が濃く鮮やかなものを指します。
トリートメントダイヤモンドとは、天然のダイヤモンドに人工的な加工を施し、カラーダイヤモンドにしたものです。石自体は本物のダイヤモンドですが、天然のカラーダイヤモンドではないため、価値は下がります。安価で売っているカラーダイヤモンドは、ほぼトリートメントダイヤモンドと考えていいでしょう。
5-3 ピンクダイヤモンド
ピンクダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でも特に人気の高いカラーです。オーストラリアのアーガイル鉱山で産出されるものが有名で、現在流通しているピンクダイヤモンドはほぼアーガイル鉱山のものです。
ピンクダイヤモンドの産出量は非常に少なく、透明なダイヤモンドの1万分の1といわれています。上質なピンクダイヤモンドは年々減っていることから、カラットの大きいものや色の濃いピンクダイヤモンドは、オークションなどで高値で取引されています。
5-4 ブルーダイヤモンド
ブルーダイヤモンドは、さまざまなカラーダイヤモンドの中でもトップクラスの価値がある宝石です。特に、ファンシーブルーダイヤモンドと呼ばれる濃いブルーのダイヤモンドは、オークション級の値段で取引されています。
ブルーダイヤモンドが青くなるのはホウ素の影響ですが、本来ホウ素が存在する地層はダイヤモンドが生成される地層よりも浅いため、天然のブルーダイヤモンドができる確率は非常に低いものです。その産出量は10万分の1ともいわれ、ダイヤモンドを扱う業者でも、品質の高いブルーダイヤモンドはめったに出会えないそうです。
5-5 イエローダイヤモンド
ダイヤモンドの中でも濃い黄色のものはイエローダイヤモンドと呼ばれ、高値で取引されます。もともと品質の低いダイヤモンドは黄色みを帯びていますが、黄色が濃く鮮やかになると、その価値は大幅に高まります。
イエローダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中では比較的産出量が多く、手に取りやすい価格のものもたくさんあります。彩度が高く色が濃いものはカナリアにちなんでカナリーイエローと呼ばれ、ティファニーが所有する128.54カラットの世界最大のイエローダイヤモンドが有名です。
5-6 レッドダイヤモンド
レッドダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中でもっとも希少価値が高い宝石です。ピンクダイヤモンドの一種ですが、さらに色が濃く深いものがレッドダイヤモンドと呼ばれます。
ファンシーレッドと呼ばれる自然な赤色がもっとも価値が高く、その次に紫がかったものや、オレンジがかったものが価値が高いといわれています。レッドダイヤモンドは市場に殆ど出回っておらず、天然物のレッドダイヤモンドは世界に数十個しか存在しないとされています。
そのため、一般市場で購入できるレッドダイヤモンドは、ほぼトリートメントダイヤモンドか合成ダイヤモンドです。
5-7 グリーンダイヤモンド
天然のグリーンダイヤモンドは、ダイヤモンドが放射線を浴びることで生まれます。ダイヤモンドが存在する地表に含まれる放射性ウランは非常に少ないため、グリーンダイヤモンドができる確率も大変低いものです。
他のカラーダイヤモンドが、炭素元素に他の不純物が混ざってできるのに対して、グリーンダイヤモンドは放射線の照射によってできるという点が特徴です。そのため、内部まで色が広がっていることは少なく、完全に緑色になったグリーンダイヤモンドは非常に貴重です。
天然のグリーンダイヤモンドと人工のグリーンダイヤモンドができるプロセスは似ているため、天然ものと人工ものを判別するのが難しいという点も、グリーンダイヤモンドの価値を高める一因となっています。
6 ダイヤモンドと間違えやすい石
ダイヤモンドは宝石の中でももっとも価値が高く人気がある石ですが、無色透明という特徴から、似た石もいくつかあります。ここでは、ダイヤモンドと間違えやすい石や、人工石を紹介します。
6-1 ダイヤモンドとジルコニアの違い
ダイヤモンドともっとも間違えやすい石といえば、ジルコニアです。ジルコニアはキュービックジルコニアとも呼ばれる人工石です。
ジルコニアはセラミックの材料である二酸化ジルコニウムに、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウムなどを混ぜて結晶化させたものです。完全な人工石ですが、ダイヤモンドとそっくりの輝きを持つため、CZダイヤモンドとも呼ばれます。
安価で作れるジルコニアは、ダイヤモンドの代用品としてファッションジュエリーなどに多用されます。硬度10のダイヤモンドよりは柔らかいですが、ジルコニアの硬度も8〜8.5あり、ジュエリーとしては十分な硬度を持ちます。
6-2 スワロフスキージルコニアとは
スワロフスキージルコニアとは、オーストラリアのスワロフスキー社が生み出した、独自のカットを施したキュービックジルコニアのことです。
スワロフスキークリスタルで有名なスワロフスキー社は、長年培ったクリスタルガラスのカット技術を応用し、より本物のダイヤモンドに近い輝きのジルコニアを完成させました。
スワロフスキージルコニアは、世界的に権威のあるアメリカの鑑定機関GIAから、最高ランクの輝きと認定されています。データ上ではダイヤモンドと同等の輝きを持っており、人工石のジルコニアではあるものの、その美しさはダイヤモンド並みです。
6-3 人工ダイヤモンドとは
人工ダイヤモンドとは、天然のダイヤモンドと同じ炭素で作られた人工物です。結晶構造や物理的特性も同一で、天然のダイヤモンドが持つ特性と同じ特性を持っています。
ジルコニアも広い意味で人工ダイヤモンドの一種ですが、ジルコニアは化学組成も熱伝導率も天然のダイヤモンドと異なります。
人工ダイヤモンドは人の手によって作られていますが、成分的には天然ダイヤモンドと変わりません。天然と人工のダイヤモンドを見分けるには、結晶構造を構成する結晶の形で見分けます。
天然のダイヤモンドの結晶は三角形が8つ組み合わさった8面体ですが、人工ダイヤモンドの結晶は正方形が6つ組み合わさった立方体です。この結晶の違いが、天然と人工を見分けるポイントです。それ以外に見分ける方法がないため、真贋を判別するためには、専門機関による鑑定が必須です。
6-4 ダイヤモンドの人工加工
ダイヤモンドの中には、色や美しさを引き立てるために人工的な処理が施されているものがあります。
市場で多く見られるのが、熱処理や放射線処理を施したトリートメントダイヤモンドです。ダイヤモンドは熱処理や放射線処理により色が変わる性質があるため、特にカラーダイヤモンドを作るために使われています。
人工加工を施されたトリートメントダイヤモンドは、鑑定書に「トリートメントダイヤモンド」と記載されます。元になる石が天然のダイヤモンドのため、トリートメント処理が施されていても、宝石としての価値はゼロではありません。
7 ダイヤモンドの見分け方
ここでは、天然のダイヤモンドとジルコニアの簡単な見分け方を解説します。自宅でも手軽にできる見分け方を集めましたので、お手持ちのダイヤモンドでぜひ試してみてください。
7-1 息を吹きかける
ダイヤモンドを見分ける方法でもっとも簡単なのは、ダイヤモンドに息を吹きかけることです。ダイヤモンドは熱伝導率が高く、息を吹きかけて表面がくもっても、すぐに透明に戻ります。
ジルコニアの場合、熱伝導率が低いため、息を吹きかけるとしばらく石のくもりが取れません。
7-2 水をたらしてみる
天然のダイヤモンドは疎水性が高いという特徴があります。疎水性とは水を弾く力のことです。そのため、天然のダイヤモンドに水をたらすと、石の表面に水滴が丸く盛り上がります。
ジルコニアは疎水性が低いため、水をたらしても水滴にはならず、水が広がるだけです。
7-3 紙に書いた線の上に置く
ダイヤモンドがルース(石だけの状態)なら、紙に書いた線の上に置くのも1つの方法です。
ダイヤモンドは屈折率が高いため、石の上から線を見ると、線がはっきり見えません。ジルコニアの場合は、石の上から線を見ても、線がしっかりと認識できます。
7-4 ブラックライトに当てる
天然のダイヤモンドは蛍光性があるため、ブラックライトを当てると青色に輝きます。ただし、ダイヤモンドの品質である4Cには蛍光性が含まれていませんが、クオリティの高いダイヤモンドほど蛍光性が低いとされているため、光らないから偽物というわけではありません。
ブラックライトを当てる方法で調べるときは、他の方法と組み合わせて使うといいでしょう。
7-5 ダイヤモンドテスターを使う
ダイヤモンドテスターは、熱伝導率によってダイヤモンドを判別する機械です。ダイヤモンドとジルコニアなら一瞬で判別できますが、結晶構造や化学的特徴が同じ人工ダイヤモンドとの区別はできません。
そのため、ダイヤモンドテスターだけに頼らず、他の方法を組み合わせて調べることが必要です。
8 ダイヤモンドのお手入れ方法
ダイヤモンドは地球上でもっとも硬い物質ということもあり、お手入れが必要ないと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、ダイヤモンドの輝きを保つためには、日頃のお手入れが大切です。ここでは、自宅でできるダイヤモンドのお手入れ方法を解説します。
8-1 ダイヤモンドの普段のお手入れ
ダイヤモンドは親油性が高く、皮脂や化粧品の油分などで汚れやすいという特徴があります。普段のお手入れは、メガネ拭きなどの柔らかい布で軽く拭いてあげるといいでしょう。
8-2 ダイヤモンドの汚れが気になるとき
ダイヤモンドのくすみや汚れが特に気になるときは、ぬるま湯に中性洗剤を薄めたものにダイヤモンドをつけて、柔らかい歯ブラシでそっとこすります。
洗い終わったあとはしっかり洗剤をすすいで、キッチンペーパーなどで水分をとってから、直射日光の当たらない場所で乾燥させます。
ただし、真珠などほかのデリケートな宝石が付いているジュエリーの場合、この方法はNGです。宝石用クロスなどを使用し、丁寧に油分を拭き取りましょう。
8-3 ダイヤモンドの保管方法
ダイヤモンドを保管する際は、他の宝石とぶつからないように気をつけましょう。ダイヤモンドは地球上でもっとも硬度の高い鉱物のため、他の宝石にぶつかると傷や破損の原因となります。
8-4 ダイヤモンドのお手入れで注意すること
超音波洗浄機はブラシなどが届かない部分の汚れを落とすのに便利ですが、ダイヤモンドのセッティングが緩んでいると石取れの原因になります。また、ダイヤモンドの内包物に超音波が作用して、内部から石が破損する可能性もあります。
さいごに
ダイヤモンドは希少価値が高く、宝石の中でも幅広い世代から人気があります。買取市場でもダイヤモンドは安定した需要があり、ブラリバでは常時高価買取を行っております。お手持ちのダイヤモンドの価値を知りたい方や、ダイヤモンドの買取をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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