
9月の誕生石として有名な「サファイア」。
海のように深いブルーがジュエリーとして人気で、また、パワーストーンとしても需要が高い宝石です。
この記事では、サファイアがどんな石なのかについて、歴史と効果、種類とともに解説します。
宝石としての価値の判断方法も紹介しますので、お手持ちの石に価値があるかどうか知りたい方も、ぜひご参考になさってください。
目次
1 9月の誕生石であるサファイアってどんな宝石?
9月の誕生石であるサファイアはどんな宝石なのでしょうか?
ここでは、サファイアの語源や歴史、石としての特徴などを解説していきます。
1-1 サファイアの語源は?
出典:GIA
サファイアという名前は、「青」を意味するラテン語「sapphirus(サッピールス)」に由来しています。
日本名は「蒼玉」もしくは「青玉」です。
サファイアという名前の石は旧約聖書にたびたび登場しますが、かつてはラピスラズリを含む青い石全体を指していたとされています。
1-2 人類史におけるサファイアの歴史
サファイアが最初に発見されたときの歴史は残っていませんが、ギリシャ神話や旧約聖書によく登場するため、紀元前から発見されていた宝石だということがわかっています。
その神秘的な輝きは古来から人々を魅了し、多くの王室・貴族に重宝されてきました。
実際にイギリスでは、11世紀〜現在に至るまで、王家のジュエリーの素材として何度も使用されています。
【ヴィクトリア女王の王冠】
出典:Gem-A
【エリザベス女王のネックレスとイヤリング】
出典:婦人画報
【ダイアナ元妃の婚約指輪】
出典:BAZAAR
1-3 サファイアはルビーの親戚って本当?
出典:aidect
実は、サファイアとルビーは同じ仲間で、主成分は“コランダム”という鉱物です。
コランダム自体は無色ですが、ほかの物質が混ざることで色を有します。
具体的には、コランダムに1%以上のクロムが混入すると赤色のルビーになり、鉄・チタンが混入すると青色のサファイアになります。
コランダムは硬く摩耗しにくいという性質があるので、時計の風防やカメラレンズの保護ガラスによく使用されています。
1-4 サファイアの効果とは?古くから信じられてきた石の力を解説
サファイアの石は、王族・貴族といった位の高い人を、危害や妬みから守ると信じられてきました。
また、古来から言い伝えられてきたもうひとつの効果は「人を一途に愛する力」。
ヨーロッパには、花嫁が青いものを身につけると幸せになる「サムシング・ブルー」という風習があり、サファイアがちょうど適していたため、婚約指輪としても重宝されてきました。
1-5 サファイアの石言葉
サファイアの石言葉は、「誠実・慈愛・徳望」です。
深いブルーは心をしずめ、精神の再生をもたらすと言われており、現在もパワーストーンとして根強い人気があります。
ここまで、サファイアの特徴や歴史、効果、石言葉について解説してきました。
サファイアがどんな宝石か知りたい方にとって、参考になりましたら幸いです。
続いて次の章では、サファイアの種類を紹介していきます。
2 サファイアは青色だけじゃない!サファイアのさまざまな種類
“サファイアといえば青”というイメージがありますが、実は、サファイアにはさまざまなカラーがあります。
青以外のサファイアは「ファンシーカラー・サファイア」と呼ばれ、幅広い色調の石が存在しています。
この章では、サファイアの中で定番のカラーをご紹介します。
2-1 ブルーサファイア
ブルーサファイアは、サファイアの中でもっともポピュラーで高価な石です。
青の濃さは、鉄とチタンの含有率によって変化します。
鉄が多いと青色が濃くなり、少ないと明るい青色になります。
ブルーサファイアにおいては、青が濃すぎても明るすぎてもよくないとされ、「コーンフラワー・ブルー」という色味がもっとも価値が高いとされています。
【コーンフラワー・ブルー】
出典:GIA
また、紫がかった「セイロンブルー」も世界的に人気です。
【セイロンブルー】
2-2 ピンクサファイア
ピンクサファイアは、ブルーサファイアに次いで人気の高いカラーです。
ピンクの色味は、石に含まれるクロムの量によって変化します。クロムの量が多いと赤みが濃く、少ないと柔らかいピンク色に発色します。
可憐なカラーが女性に人気で、ヨーロッパでは結婚指輪としても需要が高いです。
2-3 パパラチア サファイア
出典:Bizoux
パパラチア サファイアとは、ピンクとオレンジの中間色のサファイアを指します。
おもな産出地は、スリランカやマダガスカル。採掘量が非常に少なく、希少性が高いため、「キング・オブ・サファイア」とも呼ばれています。
名前の「パパラチア」は、スリランカの言語のひとつであるシンハラ語で「蓮の花」という意味です。
2-4 オレンジサファイア
出典:jewel planet
オレンジサファイアは、別名「サンセット サファイア」「インペリアル サファイア」とも呼ばれる、オレンジ色〜朱色のサファイアです。
夕日のような鮮やかな色合いのものが人気で、ファンシーカラー・サファイアの中で年々需要が高まってきています。
2-5 イエローサファイア
出典:Gem Pundit
イエローサファイアは、黄色〜黄土色までのカラーのサファイアのことです。
石に含まれる鉄の量が多いほど、黄味が鮮やかになります。
スリランカで産出される鮮やかなカラーのものは「ゴールデンサファイア」と呼ばれ、希少価値が高いため、高額で取引されています。
2-6 スターサファイア
出典:THE NATURAL SAPPHIRE COMPANY
スターサファイアは、石の表面に「スター効果」があるサファイアのことです。
「スター効果」とは、針状結晶“ルチルシンク”を内包する宝石を、カボションカットに研磨したときに見られる星形の模様を指します。
この効果は適切なカットを施さないときれいに現れないため、非常に希少性が高い石です。
ここまで、サファイアの種類を紹介してきました。
どの色のサファイアも素敵ですが、価値が高いのはどんな石なのでしょうか?
次の章では、サファイアの価値基準について解説します。
3 サファイアの価値は何で決まる?サファイアの価値基準4選
サファイアの価値はどうやって決まるのでしょうか?
ここでは、サファイアの価値を左右する重要なポイントについて解説します。
3-1 原産地
サファイアは原産地によって色合いや美しさが大きく変わるため、どこで産出されたものかによって、価値が決定されます。
現在、市場に出回っているサファイアの原産地を価値が高い順に並べると、以下のようになります。
【サファイアの原産地】
・カシミール
・ミャンマー
・スリランカ
・パイリン
・モンタナ
・カンチャナブリ
・ナイジェリア
・オーストラリア
最上級のカシミール産と最下位のオーストラリア産には、100倍近い価格差があります。
その理由は、カシミール産は熱処理を加えていない状態でも美しい、最高品質のサファイアであるから。
いっぽう、オーストラリア産は色味が不鮮明で、安価なアクセサリーに使われているケースが多いです。
なお、カシミール産のサファイアは1890年に掘り尽くされてしまい、新たに採掘されることがほぼないため、非常に希少価値が高くなっています。
3-2 処理の有無と程度
サファイアに対して行われた処理の有無・程度によっても、価値は左右されます。
こうした処理は、おもに色合い調整のために行われており、石が不透明だったり美しくない場合に500〜1600度の加熱処理が施されます。
加熱処理
流通しているサファイアのうち、95%以上は加熱処理が行われています。
その理由は、天然の状態で見た目が美しく、そのままジュエリーとして使用できるサファイアは、非常に稀だから。
しかし、加熱処理を用いても天然石本来の輝きを再現することは難しいため、無処理と比べると価値はさがります。
なお、処理の程度が激しすぎると、内部に傷・結晶が生じるため、処理が少ないものほど価値が高いとされています。
無処理
無処理の状態で見た目が美しいサファイアは非常に稀で、希少性が高いです。
前述した「カシミール産のサファイア」は、基本的に無処理の状態で取り扱われています。
3-3 見た目に欠点があるかどうか
石の見た目に欠点があるかどうかも重要なポイントです。
当然ながら、傷や内包物がないものほど価値は高くなりますが、傷があったとしても、美しさに影響するかどうかで価値は変動します。
たとえば、指輪に使用されるサファイアの場合、台座に近い部分にある傷は、見た目に影響しないため、あまり評価がさがりません。
3-4 石の色合い
石の色合いによっても、サファイアの価値は変わってきます。
ここでは、価値が高いとされている色味を、種類ごとに紹介します。
ブルーサファイア
出典:CGL
ブルーサファイアでは、透明度が高く、色味が深く鮮やかなものがもっとも価値が高いです。
カシミール産によく見られる「コーンフラワー・ブルー」が最高評価とされています。
ピンクサファイア
出典:Esty
ピンクサファイアには、淡いピンクから赤紫に近い色まで、さまざまなトーンのものがあります。
濃い色よりも、軽やかで透明感のあるピンクのほうが高く評価されています。
パララチア サファイア
出典:Bizoux
ピンク〜オレンジの中間色の石だけがパララチア サファイアとして認められるため、パララチア サファイア自体の希少価値が高いです。
ピンク色に近いものはピンクサファイア、オレンジ色に近いものはオレンジサファイアに該当するため、パララチア サファイアの定義は非常に厳しくなっています。
オレンジサファイア
出典:jewel planet
オレンジサファイアにおいては、黄味と赤味のバランスがちょうどよい、マンダリンオレンジのようなカラーがもっとも価値が高いです。
イエローサファイア
出典:Gem Pundit
イエローサファイアの中でもっとも価値が高いのは「ゴールデンサファイア」と呼ばれるものです。ゴールデンサファイアは黄金に近い鮮やかな黄色で、金運をあげるとして、実業家・投資家の間で人気があります。
スターサファイア
出典:THE NATURAL SAPPHIRE COMPANY
スターサファイアでは、「スター効果」が美しく表れているものが高品質とされています。
具体的には、中心となるラインが縦に1本、横に2本のラインがあるものが基準となります。
逆に価値が低いとされるのは、スター効果の模様に歪みが生じているものです。
以上が、サファイアの価値を決定する4つのポイントでした。
もしお手元にサファイアの石がありましたら、ぜひ上記と照らし合わせてチェックしてみてください。
続いて、次の章では、サファイアの本物・偽物の見分け方について解説していきます。
4 自分が持っているサファイアは本物?偽物?サファイアの見分け方
サファイアのジュエリーをお持ちの方の中には、宝石が本物か偽物か気になる方もいらっしゃるでしょう。
この章では、サファイアの本物・偽物の見分け方をご紹介します。
4-1 内包物がゼロかどうか
出典:CGL
天然のサファイアには、何らかの微小な内包物がある場合がほとんどです。
倍率が10倍以上のジュエリールーペをお持ちでしたら、ぜひサファイアを拡大して見てみましょう。
何かの小片や結晶といった内包物がまったく見当たらない場合は、人工の石である可能性が高いです。
4-2 息を吹きかけてみる
石の表面に息を吹きかけてみるのも、わかりやすい見分け方です。
サファイアは放熱性が高く、熱を持ちにくいという特徴があります。
本物だった場合は、息を吹きかけてから1,2秒ですぐに曇りが消えますが、偽物だった場合は、曇りが消えるまで5秒以上かかります。
4-3 内部に気泡があるかどうか
サファイアに似た人工石は、ガラスと同じ製造技術で作られているため、ガラスと同様に内部に気泡があります。
ルーペで拡大して見て、石の中に気泡があった場合は、偽物であると断定していいでしょう。
4-4 本物のサファイアとこすり合わせてみる
本物だとわかっているサファイアがお手元にある場合は、本物かどうか確認したい石とこすり合わせてみましょう。
サファイアは非常に硬度が高い宝石です。
同じ硬さの宝石であれば、こすっても互いに傷がつくことはありません。
しかし、片方が偽物だった場合は、偽物のほうに傷が残ります。
※低品質のサファイアの場合、まれに傷がつくことがありますのでご注意ください。
4-5 懐中電灯で照らしてみる
サファイアには、自身と同じ色を反射するという性質があります。
この性質を利用し、暗い部屋の中で、懐中電灯を使って宝石を照らしてみましょう。
宝石が本物だった場合は、石本体と同じ色の光だけがその場に反射されます。
しかし、偽物だった場合は、石の色とは異なる反射光が見えるはずです。
4-6 鑑定機関の利用
人工サファイアの中には、本物そっくりにできていて、素人では見分けられないものも多くあります。
ここまで紹介した方法をためしても、本物かどうか確認できない場合は、鑑定機関に石を見てもらうのもひとつの手です。
ここでは、宝石の鑑定機関として有名な2社をご紹介します。
GIA(米国宝石学会)
出典:GIA
「GIA」は、世界でもっとも権威があるとされているアメリカの宝石研究機関です。
ダイヤモンドの品質評価基準「4C」を制定したことでも有名です。
GIAの「カラーストーンレポートサービス」を利用すると、お手持ちの宝石が本物か否かを鑑別してもらえます。
詳細は、下記よりGIAの公式サイトをご確認ください。
GIA公式サイト:https://www.gia.edu/gem-lab
GIAカラーストーンレポートサービス:https://www.gia.edu/JP/gem-lab-service/colored-stone
CGL(中央宝石研究所)
「CGL」は、日本の宝石鑑定機関です。宝石鑑別団体協議会(AGL)に加盟しており、世界でも信用度が高いと評価されています。
お手持ちの石が本物のサファイアかどうかを鑑別してほしい場合は、「色石鑑別書」を依頼するのがおすすめです。
詳細は、下記のCGL公式サイトをご確認ください。
CGL公式サイト:https://www.cgl.co.jp/report/grading_price.html
CGL通信「ブルーサファイアの原産地鑑別」:https://www.cgl.co.jp/latest_jewel/tsushin/58/101.html
5 さいごに
この記事では、サファイアの特徴と歴史、種類、価値、偽物の見分け方について解説しました。
9月の誕生石であるサファイアについて、より深く知っていただけましたら幸いです。
弊社は買取専門店「ブラリバ」を運営しており、宝石やジュエリーの高価買取を行っています。
サファイアを売りたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひブラリバまでご相談ください!