
高級腕時計の定番として人気の高いロレックス。さまざまなモデルがありますが、時計好きの方から注目を集めているのがアンティークロレックスです。アンティークロレックスには、現行モデルにはない魅力があり、正しい知識があれば古いものでも問題なく使うことができます。本記事では、アンティークロレックスの魅力や選び方、希少価値の高いモデルについてご紹介します。アンティークロレックスに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.アンティークロレックスの2つの魅力
アンティークロレックスとは、一般的に1970年代以前に製造されたロレックスのことを指します。特に、40年代後半から60年代のモデルの取引が多く、人気も高いです。
ロレックスのような機械式時計は、メンテナンスさえしっかりしていれば、何十年も前の時計でも現役で使うことができます。また、貴重なモデルは時計としての機能が失われても、コレクションとして高値で取引されるため、投資としても人気があります。
ここでは、アンティークロレックスの大きな2つの魅力について解説します。
1-1.人とかぶることが少ない
アンティークロレックスは、ひとつひとつ風合いが違うのが魅力です。現行モデルのロレックスや、比較的新しいモデルは人とかぶることも多いですが、アンティークロレックスならその心配はありません。
アンティークロレックスは同じモデルでも年式によってパーツが違ったり、文字盤の日焼け具合が異なります。また、時計本体はオリジナルのままでも、オーナーが変わるごとに針やブレスレットなどが新しいパーツに交換されているものもあり、同じデザインの時計というのはほとんどありません。
好みの風合いで選んだり、自分の生まれた年式にしたりと、その人だけのロレックスが見つかるのが、アンティークロレックスの魅力といえるでしょう。
1-2.買った金額より高値で売れることも
ロレックスは、買った値段より売値のほうが高くなることが多い、珍しいブランドです。一般的な時計ブランドでは、古いモデルほど型落ち品となり、価値が下がっていくのが当たり前です。
しかし、ロレックスの場合は需要が非常に高く、メンテナンスをしっかりしていれば古い時計でも十分使えるため、価値が下がりにくいという特徴があります。しかも、廃盤となったモデルは二度と生産されないため、プレミア価値がつくものが多いです。最近では、買値より売値のほうが高くなることも珍しくありません。
2.価値あるアンティークロレックスの特徴
アンティークロレックスといっても、ただ古いだけでは価値がありません。評価されるアンティークロレックスには、さまざまな特徴があります。
2-1.状態がオリジナルに近いもの
販売当初のオリジナルの状態に近い時計は、アンティークロレックスとしての価値が非常に高いです。同じアンティークロレックスでも、見た目が綺麗で部品が変わっているモデルより、文字盤が焼けたり針が腐食していても、オリジナルに近いほうが価値があります。
ロレックスは、製造中止になったモデルでも、30年間は純正の部品をキープしています。しかし、30年以上前の時計を修理に出した場合は、現行の部品に変えられてしまいます。そのため、古いモデルになるほど何らかの手が加えられていることが多く、オリジナルの状態を保っている時計は貴重です。場合によっては、オークション級の価値になることもあります。
部品の交換で特に多いのが、針やインデックスが新しいものに交換されている個体です。古いロレックスは夜光塗料にトリチウムという素材を使用していましたが、トリチウムの効力はおよそ12年ほどで失われてしまいます。そのため、針やインデックスが発光しなくなった時計をオーバーホールに出すと、ルミノバやクロマライトを使用した新しい部品に交換されてしまいます。
トリチウムは経年によって色が変わって味が出るため、アンティークロレックスの魅力の1つです。アンティークロレックスの価値を調べるときは、こういった細かい部分まで調べることが大切です。
また、ブレスレットが当時のものと一致しているのかという点も重要です。ブレスレットが当時のものと判断するには、クラスプに刻印されている数字もしくはアルファベットを見れば、いつ製造されたのかがわかります。
1976年以前の製造のものは年代の下2桁がクラスプに刻印されており、1972年の場合だと写真のように「72」と記載されています。長年時計を着用しているとブレスレットが破損してしまうこともあるので、新しい部品に変えられてしまうことも多く、当時の部品であればあるほど希少性が高いです。
2-2.経年変化に特徴があるもの
アンティークロレックスは、経年による変化も魅力の1つです。特に、文字盤に特徴的な経年変化が見られる時計は価値が上がります。
以下は、アンティークロレックスで評価される経年変化の一例です。
・トロピカルダイヤル
1967年以前に製造されていた「ミラーダイヤル」と呼ばれる文字盤は、鏡のような艶と輝きが特徴です。ミラーダイヤル自体も希少価値が高く、状態の良いものは非常に高値で取引されています。
ミラーダイヤルのなかでも、日焼けによって文字盤が茶色に変色しているものを「トロピカルダイヤル」と呼び、色むらが少なく綺麗に変色したものほど価値が高くなります。
・スパイダーダイヤル
スパイダーダイヤルは、ミラーダイヤルの文字盤が蜘蛛の巣のようにひび割れた個体のものです。ミラーダイヤルのラッカー加工が経年によってひび割れて生まれるもので、ひび割れの形がきれいなものほど高値で取引されます。スパイダーダイヤルは、主に80年代のスポーツモデルに見られる現象ですが、ごく稀に1950年代前半~1950年代後半のアンティーク枠にも発生します。
このほかにも、アンティークロレックスの価値を高める経年変化はさまざまな種類があります。
自分なりの魅力的な味を探すのも、アンティークロレックスならではの楽しみです。
2-3.ティファニーなどとコラボしたダブルネーム
ロレックスには、数々のブランドとコラボした、ダブルネームと言われる時計が多数存在します。文字盤にロレックス以外のブランド名や店舗名が記載されており、流通量が少ないことから通常のモデルの何倍もの価値がつきます。
ダブルネームのロレックスは、企業の宣伝やロレックスの知名度を高めるために作られたものです。
ロレックスのダブルネームでもっとも有名なのは、ティファニーとコラボしたモデルです。
その他にも、カルティエやドミノ・ピザなど、さまざまなブランドとのダブルネームモデルが存在します。
カルティエ
ドミノ・ピザ
コカ・コーラ
フェラーリ
コメックス
ダブルネームのモデルは希少性が高く、市場に出回っている数も限られています。そのため、文字盤だけダブルネームに乗せ替えた偽物も存在します。
経年劣化して見にくくなった文字盤を修理したものを「リダンダイヤル」と呼びますが、ダブルネームのロレックスはリダンダイヤルの偽物が多く、注意が必要です。
リダンダイヤルのロレックスはオーバーホール不可になるため、修理明細書がついていれば、本物である証明になります。しかし、なかには修理明細書も偽造されている悪質なケースもあるため、レア物のアンティークロレックスを購入するときは、信頼できるショップで買いましょう。
当社では、ロレックスの知識が豊富な査定員が、どんなモデルでもしっかり価値を調べます。お手持ちのロレックスの値段を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
3.資産価値の高いアンティークロレックス10選
アンティークロレックスにはさまざまなモデルがありますが、ここでは特に人気の高いアンティークロレックスを紹介します。
3-1.デイトナ「Ref.6263」「Ref.6265」
Ref.6263
出典:ROLEX
発売時期:1970年~1988年
参考価格:~¥10,000,000前後
デイトナはロレックスのフラッグシップモデルとして、非常に人気の高いモデルです。歴代のデイトナはどれもプレミア価格になっていますが、その中でもポール・ニューマンモデルと呼ばれている「Ref.6263」は、アンティークロレックスブームの火付け役となった時計です。
Ref.6265
出典:ROLEX
発売時期:1970年~1988年
参考価格:~¥9,000,000前後
デイトナ「Ref.6265」も、アンティークロレックスの中では飛びぬけて高い金額で流通しています。ステンレスベゼルのデイトナRef.6265と、プラスチックベゼルのRef.6263は同時期に発売されましたが、当時は高級感があるRef.6265の方が人気でした。
しかし、ポール・ニューマンの愛用していたデイトナRef.6269がオークションで高騰したことで、現在ではポール・ニューマンモデルのRef.6263の方が人気が高くなっています。
ポール・ニューマンとはアメリカ出身の人気俳優かつプロのレーサーです。彼が身に着けていたデイトナRef.6269が、2017年の時計オークションで20億円で落札されたのはあまりにも有名な話です。
オークション前からも高い評価を受けていたので、すでに500万円前後で販売されていたのですが、現在では1,000万円以上もする超プレミア時計となりました。
3-1-1.デイトナのレア個体とは
アンティークロレックスのデイトナの中でも、レア個体と呼ばれるモデルの特徴を解説します。
①デイトナ表記の大きなビッグデイトナ
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※左からビッグデイトナ・スモールデイトナ・表記なし
文字盤のデイトナ表記は3種類あります。
生産初期はデイトナ表記のないものが作られていましたが、わずか数年後にビッグデイトナ表記に切り替わりました。スモールデイトナに関してはオーバーホールなどで文字盤が交換されてしまった場合や、生産末期の時計に搭載されています。
レア度としてはビッグデイトナが一番高く、そのあとは表記なし、スモールデイトナの順となっています。
②ポール・ニューマンモデルの文字盤
出典:ROLEX
参考価格:30,000,000円~
歴代のデイトナの中でもっとも価値が高いモデルが、ポール・ニューマンダイヤル(エキゾチックダイヤル)です。
このダイヤルは1960年~1970年代頃までしか流通していないデザインで、1970年から発売されたRef.6265や6263のポール・ニューマンダイヤルは極めて流通数が少ないのです。
ポール・ニューマンダイヤルは通常のデイトナと比べると、文字盤外周のメモリ部分と3つのインダイヤルが、文字盤の色と反転したカラーとなっているのが特徴です。文字盤は黒と白の2種類があり、どちらも今では3000万円以上の価値がついています。
3-1-2.TOKIOの長瀬智也さんや嵐の松本潤さんが愛用
芸能人のアンティークロレックス愛好家の中にも、デイトナを愛用している方は多いです。
TOKIOの長瀬智也さんはプラスチックベゼルのデイトナRef.6263がお気に入りで、愛車のハーレーとルード系のファッションに合わせてコーディネートしています。
また、嵐の松本潤さんはステンレスベゼルのデイトナRef.6265を愛用しており、プライベートはもちろん「秘密の嵐ちゃん」などのTV番組でもよく身につけていたそうです。松本潤さんはジャニーズの中でも1,2を争うほどの時計コレクターで、「とくダネ!」のアナウンサーでもある小倉智昭さんにRef.6265をプレゼントしたこともあるとか。
さらに、デイトナの第一世代にあたる、Ref.6241のポールニューマンダイヤルも所持しているなど、芸能界屈指のアンティークロレックスファンであることが伺えます。
3-2.GMTマスターRef.1675
出典:ROLEX
発売時期:1960年~1980年
参考価格:~¥1,300,000前後
GMTマスターRef.1675は赤と青のベゼルから通称「ペプシ」と呼ばれています。今でこそスポーツモデルの代表格として人気の高いモデルですが、発売当初は独特のデザインからそれほど人気はなく、ロレックスの中では比較的安く手に入るモデルでした。
しかし、海外セレブや、国内の芸能人やファッション関係者がこぞって身につけ始めたことから、今では超人気モデルの仲間入りをしています。
Ref.1675は販売期間が長く、当時は安く手に入ったことから、中古の流通量が多いという特徴があります。そのため、多くの個体の中から質の良い物を選ぶことができるのが魅力です。
文字盤に味わいの出るミラーダイヤルやトロピカルダイヤルなど、経年変化が出ているモデルも多く、アンティークロレックスならではの風合いを感じることができる時計です。アンティークロレックスの入門編として、狙っている方も多いのではないでしょうか。
3-2-1GMTマスターのレア個体とは
GMTマスターには、主に5つのレア個体が存在します。ここでは、GMTマスターのレア個体について解説します。
①ベゼルフチの刻みが深いもの
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※左は刻みが深い 右は通常の深み
プレ値:2,500,000円~
ベゼルを回すときに手にひっかかるギザギザになっている部分が、通常のものよりも深く彫られているものがレア個体になります。発売初期のものだけに見られ、研磨をせず深いまま残っているベゼルは希少価値が高いです。
②リューズガードがヒラメのような形状のもの
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※左がヒラメガード 右が通常のリューズガード
プレ値:2,900,000円~
通常のリューズガードは衣類が引っ掛かりにくいように、丸みを帯びた形状をしています。しかし、発売から1963年頃のリューズガードは、通称ヒラメガードと呼ばれ、レア度が高いです。
ヒラメガードは写真のようにリューズガードの先が平たく尖っており、魚のヒラメに見えることからそう呼ばれるようになりました。
流通量が少なく、状態の良い物だと300万円以上の値段がします。
③GMT針の先が小さい三角(ミニ針)の初期モデル
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※左がミニ針 右が普通の針
プレ値:2,000,000円~
ヒラメガードと同時期に見られる、24時間針の先端についている三角部分が小さくなっている、「ミニ針」も希少性が高くなっています。
生産初期にしか見られない個体で、視認性が良くないことから次第に大きな針に変えられてしまいました。
違いがわかりやすい部分ということもあり、200万円以上の価格で販売されています。
④文字盤の外周にラインがはいっている「ミニッツサークル」
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※左がミニッツサークル+ミラーダイヤルのMMダイヤル 右が普通のダイヤル
プレ値:4,000,000円~
ミニッツサークルは、Ref.1675が作られた1960年の初期にのみ作られた非常にレアな個体です。文字盤のインデックスの外周が白い線で囲われているのが特徴です。
特にミラーダイヤルとミニッツサークルが組み合わされた個体は、通称MMダイヤルと呼ばれ、相乗効果で非常に希少価値が高いです。ちなみにMMダイヤルは、状態が良ければ400万円以上の価格でやりとりされるほどレア度が高い個体となっています。
⑤ROLEXの「E」の真ん中の棒が長いロングEダイヤル
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※左がロングEダイヤル 右が普通のE
プレ値:1,500,000円~
GMTマスター1675には文字盤にあるROLEXの「E」の真ん中の横棒が長くなっている、ロングEダイヤルというのが存在します。漢字の「山」を横に向けたような形で、こちらも製造初期にのみ作られたレアな個体です。
状態によりけりですが、150万円程度から購入できます。
3-2-2.多くの時計をコレクションしている俳優の京本政樹さんも愛用
必殺仕事人や多くのドラマで活躍する俳優の京本政樹さんは、ベゼルが綺麗に変色した、紫×青ベゼルのGMTマスターを身に着けています。
そのほかにも、デイトナのレオパード柄や金無垢のサブマリーナ、ポールニューマンといった多くのアンティークロレックスを愛用していることで有名です。
3-3.サブマリーナRef.5513
出典:ROLEX
発売時期:1963年~1989年
参考価格:~¥1,100,000前後
サブマリーナRef.5513は30年近く製造されていたロングセラー商品です。マイナーチェンジも多くされたモデルなので、レア個体が多く存在しています。流通量が多いので、比較的容易に手に入れることが可能なのと、オリジナルパーツも多く残っているので、日常使いに適しているモデルです。
基本的には製造年数が古いほど価値は高くなりますが、こだわりがなければ100万円程度から購入することができます。アンティークロレックスの入門編にはピッタリのモデルです。
3-3-1.サブマリーナのレア個体とは
アンティークロレックスのサブマリーナは、流通量が多い分、レア個体の種類もさまざまです。ここでは、特に人気の高い5種類のレア個体を解説します。
①ドットインデックスのフチにメタル枠がないもの
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※左がフチあり 右がふちなし
プレ値:1,400,000円~
Ref.5513には、ドットインデックスのフチにメタル枠がついているものと、ついていないものがあります。
メタル枠は1985年以降のモデルにつくもので、それ以前に作られた枠のないフチなしモデルの方が希少性が高くなっています。フチの有無という単純なポイントですが、あるかないかで20万円以上は値段が変わります。
②通常よりドットインデックスが大きい「マキシダイヤル」と「ロリポップ」
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※左がマキシダイヤル 右がロリポップ
プレ値:1,800,000円~
マキシダイヤルはフチなしインデックスの派生ともいえる個体です。通常のものよりもインデックスのドットが大きくなったデザインで、フチなしよりもさらにレア度が高くなっています。
マキシダイヤルは1976年~1984年に製造されたもので、水中の中で視認性を高めるために大きく作られました。
また、1970年代後半に製造されたRef.5513に見られるロリポップと呼ばれる個体は、さらに貴重です。インデックスの丸が分刻みのメモリとくっつくほど大きく、棒がついている飴玉に見えることから名づけられました。状態のよいロリポップの個体は、200万円以上の価値がついています。
③防水表記が200m/660ftの順になっている「メーターファースト」
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※左がメーターファースト 右がフィートファースト
プレ値:1,700,000円~
文字盤の「SABMARINER」表記の下ではなく、上部に記載されている防水表記の違いによっても価値が変わります。
1967年前後のミラーダイヤルからマットダイヤルに切り替わったタイミングで、「200m=660ft」と記載された通称メーターファーストが製造されました。
メーターファーストは製造期間が短いことから希少性が高くなっており、170万円以上の価格で販売されています。
逆に「SABMARINER」表記の下「660ft=200m」と記載されているものは、フィートファーストや下サブと言われており、メーターファーストに比べるとあまり価値は高くありません。
④リューズガードがポインテッドクラウンガード(PCG)になっているもの
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※左がPCG 右が通常のリューズガード
プレ値:2,700,000円~
Ref.5513の生産初期に見られる、ケースのリューズガード部分が鋭角に鋭くなっている、ポインテッドクラウンガード(PCG)もレア度が高いです。
初期にしか見られない個体の為、現状動いている時計が限りなく少ないので、コレクターを中心に人気が高くなっています。
状態がよいものなら300万円前後で販売されます。
⑤ミニッツサークル+ミラーダイヤルの通称MMダイヤル
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※左がミニッツサークル 右がノーマルダイヤル
プレ値:3,000,000円~
Ref.5513も前述のGMTマスターRef.1675で紹介した、文字盤のインデックスの外周に白い線で囲われているミニッツサークルと、美しく文字盤が変色するミラーダイヤルを合わせたMMダイヤルが存在します。
GMTマスター同様流通量が極めて少ないのと、貴重な個体が組み合わされているので非常にレア度が高くなっており、状態が良ければ400万円以上の値段がします
3-3-2.ジェームズボンド役のロジャー・ムーアさんが愛用
世界的に有名なスパイアクション映画「007」で、3代目のジェームズ・ボンド役を務めたロジャー・ムーアさんがサブマリーナを着用していました。現在、007の作中で使われている時計はオメガになってしまいましたが、007ファンにとって「ボンド・ウォッチ」といえば、通称ロジャー・ムーアモデルとも呼ばれるRef.5513を指します。
ロジャー・ムーアさんが実際に着用していたRef.5513は、スイスの時計オークションで18万フラン(約1500万円)で落札されました。アンティークロレックスの中でも、特に人気のモデルです。
3-4.エクスプローラーⅡRef.1655
出典:ROLEX
発売時期:1971年~1987年
販売価格:~¥2,500,000前後
エクスプローラーⅡRef.1655は1971年発売の比較的新しいモデルです。エクスプローラーⅠの上位モデルとして登場した初代エクスプローラーⅡで、エクスプローラーⅠにはなかったデイト機構やリューズガード、視野性を高めた24時間針など、機能面やデザイン面でも豪華な仕上がりとなっています。
24時間針の色は、当時の公式カタログでは赤色と表記されているのですが、赤、黄、オレンジ色の個体が確認されています。
3-4-1.エクスプローラーⅡのレア個体とは
エクスプローラーⅡのレア個体は、2つの特徴があります。
①初期型に見られる秒針にドットがないストレート針
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プレ値:3,000,000円~
1971年の発売開始からわずか1年程度だけ製造されたモデルです。秒針にドットがないストレート針を搭載しており、すっきりした見た目と製造数の少なさから、300万円以上の値段で取引されています。
②センタースプリットのクロノメーター表記
プレ値:2,500,000円~
文字盤のクロノメーター表記の真ん中のスペースが縦に揃っている個体を、センタースプリットとと呼びます。 1974年~1977年頃に製造されたモデルに見られる特徴で、製造期間が短いこともあり非常に人気です。
3-4-2.映画パイレーツオブカリビアンでお馴染みのオーランド・ブルームさん愛用
映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「パイレーツ・カリビアン」で知られるオーランド・ブルームさんは、サブマリーナRef.5513を革ベルトに変えて愛用していました。
アンティークの風合いが出ている文字盤と、味のある革ベルトがマッチして、ステンレスブレスとは違ったワイルドな雰囲気が魅力です。経年変化の味を生かしてアレンジすることができるのも、アンティークロレックスの醍醐味のひとつです。
3-5.エクスプローラーⅠRef.1016
出典:ROLEX
発売時期:1963年~1988年
販売価格:~¥1,200,000前後
エクスプローラーⅠの第3世代にあたるRef.1016は、初代と2代目の長所を活かした、完成度の高いモデルといわれています。25年続いたロングセラーモデルということもあり、表情の違う個体が多く存在しているのが特徴です。状態や個体差を気にしなければ、100万円代前半から購入することができます。
1972年ごろからハック機能(リューズを引くと針が止まる)が搭載された後期型が誕生し、前期と後期という選び方でも楽しむことができます。
また、Ref.1016の最終品番でもあるR番とL番は人気モデルの最後ということもあり、アンティークロレックスの定義からは年代的に外れるものの、高値で取引されています。
3-5-1.エクスプローラーⅠのレア個体とは
エクスプローラーⅠRef.1016は、レア個体の多さで人気があります。ここでは、特に貴重なレア個体を2つ紹介します。
①文字盤にアンダーバーがあるもの
プレ値:4,000,000円~
文字盤上にアンダーバー「_」が入っている、通称ギルドアンダーバーといわれる個体です。
1960年代初旬の製造にだけ見られる非常に珍しい個体で、ROLEXロゴの下もしくは1016だと「OFFICIALLY CERTIFIED」のすぐ下に横棒が入っています。
諸説はいろいろとありますが、有力なのは文字盤に使われている素材が高品質であるという意味でつけられているようです。
またアンダーバーがある個体は自ずとミラーダイヤルであるため、そのレア度は非常に高く、状態が悪いものでも400万円以上の価格になります。
②12時下位置に「スペースドゥエラー」表記があるもの
出典:ROLEX
スペースドゥエラーとは1960年代後半に発売された、エクスプローラーⅠの文字盤に「SPACE-DWELLER」と書かれた個体です。
当時、世界初の月面着陸時につけられていたオメガのスピードマスターが、NASAの公式時計とされたのは有名な話ですが、このスペースドゥエラーも、宇宙ブームにあやかって作られたという説が有力です。
この時計はNASAの公式時計ではなく、あくまでも記念モデルで、まだロレックスの認知度が低い日本でのみ試験的に販売されました。
しかし当時の日本には正規店がなく、ロレックスは代理店でのみ販売されていたことと、クォーツ時計に注目が集まっていた時代背景もあり、この時計はすぐに生産終了となってしまいました。そのため、リダンされた偽物は多く出回っているものの、完全オリジナルのスペースドゥエラーは博物館級の激レアモデルとなっています。
3-5-2ジャニーズからお笑い芸人まで多くの芸能人が愛用
エクスプローラーⅠRef.1016は見た目がシンプルな時計ということもあり、芸能人や業界人など、多くの方に愛用されています。
お笑い芸人の陣内智則さんも愛用しているのですが、元々はSMAPの中居さんが着用していたものをプレゼントしたという逸話があります。
吉本芸人では、売れた先輩が使っている財布を後輩にあげると人気がでるというジンクスがあるようで、その話を陣内さんが中居さんにしたところ、腕に着けていたRef.1016をあげたそうです。
3-6.シードゥエラーRef.1665
出典:ROLEX
発売時期:1967年~1980年
販売価格:~¥2,300,000前後
サブマリーナの上位モデルにあたるシードゥエラーRef.1665は、フランスの潜水会社コメックス社との共同開発で誕生しました。
当時のサブマリーナとの違いは防水性能が3倍になった点と、潜水時に自動でヘリウムガスを排出するヘリウムガスエスケープバルブが備わった点です。また、日付が拡大されるサイクロップレンズは、深海の水圧で破損しないように、シードウェラーには採用されていません。
シードゥエラーRef.1665は、当時はサブマリーナと見た目がほとんど同じで、厚みが約15mmと大きかったことから今ほど人気がありませんでした。そのため、流通量が少なく、安い個体のものでも200万円以上します。当時不人気だったモデルが、現在人気モデルとなって価値が上がるという、アンティークロレックスならではのケースです。
3-6-1シードゥエラーのレア個体とは
シードゥエラーのレア個体の中でも、特に人気の高い2つのポイントを解説します。
①文字盤上の名前が赤色になっている「赤シード」
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※左が赤シ―ド 右がシングルレッドシード
プレ値:4,000,000~
シードゥエラーRef.1665の生産初期のモデルには、文字盤に記載されている「SEA-DWELLER」と「SUBMARINER 2000」の文字が赤色で表記されているものが存在します。通称赤シードと言われ、海外ではダブルレッドシードと呼ばれています。
現行モデルのシードゥエラーRef.126600は、人気のあった赤シードを復刻したこともあり、オリジナルの赤シードの価値が高まりました。
また当時の赤シードのなかでも「SUBMARINER 2000」表記のない、通称「シングルレッドシード」と呼ばれる個体は、テスト開発時に作られた非常に珍しい個体です。海外の時計オークションでは4,000万円以上の値で落札されました。
②クロノメーター表記がレイルダイヤルのもの
プレ値:3,000,000円~
レイルダイヤルとは、エクスプローラーⅡRef.1665で紹介したセンタースプリットと同様に、文字盤のクロノメーター表記の真ん中のスペースが、縦に揃っている個体です。流通量が極めて少ないことから、安い物でも300万円以上の値がします。
3-6-2.GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんも愛用
アンティークロレックスは年を重ねた男性が好むイメージがありますが、最近では若い世代にも愛用者が広がっています。GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんは、ビンテージファッション好きが高じて、アンティークロレックスに興味を持ったそうです。
3-7.デイトジャスト「Ref.1601」「Ref.1603」
Ref.160
出典:ROLEX
発売時期:1960年代~1970年代後半
販売価格:~¥400,000前後
Ref.1603
出典:ROLEX
発売時期:1960年代~1970年代後半
販売価格:~¥400,000前後
デイトジャスト「Ref.1601」と「Ref.1603」は見た目はほぼ同じですが、ベゼルに使われている素材が異なります。
Ref.1601のベゼルはホワイトゴールド製で、Ref.1603はステンレス製です。本来であればホワイトゴールドの方が高いのですが、現在ではどちらも同じ価格帯で購入することができます。
見た目はホワイトゴールドの方がキラキラと輝き、ステンレスの方は控えめな輝きを放つのが特徴です。
わずかな差ではありますが、この微妙な違いが、アンティークロレックス選びの楽しみのひとつです。
3-7-1.デイトジャストのレア個体とは
アンティークのデイトジャストには「コインエッジベゼル」というレア個体があります。これは、Ref.1601とRef.1603の生産初期にだけ見られるもので、ベゼルの溝が通常のものより細かいのが特徴です。
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プレ値:600,000円~
コインエッジとは名前の通り、コインの縁の刻まれた溝に例えて名づけられました。
エッジ部分はポリッシュ仕上げを行うと角が丸くなりやすい部分なので、エッジの鋭いコインエッジベゼルは希少価値が高くなっています。繊細なデザインも人気で、コインエッジベゼルは愛好家から高い評価を受けています。
3-8.デイデイトRef.1803
出典:ROLEX
発売時期:1960年代~1970年代後半
販売価格:~¥1,400,000前後
デイデイトは、ロレックスの最高級モデルです。現行モデルのデイデイトは定価400万を超えますが、アンティークデイデイトなら、比較的安い価格で最高級ラインを手にすることができます。
デイデイトにはステンレスモデルはなく、K18やプラチナなどの貴金属を使用しています。他のアンティークロレックスに比べると高級感と重量感があり、独特の風格が魅力です。
デイデイトはブレスレットなども貴金属で作られているので、万が一時計が壊れてしまっても、素材の価値は変わらないため、高値で売れます。そのため、流通しているのは社外の革ベルトがつけられているものが多く、純正のプレジデントブレスレットがついているものは、価値がより高いです。
3-8-1デイデイトのレア個体とは
アンティークのデイデイトを選ぶ上で知っておきたい、レア個体のポイントを2つ解説します。
①素材が18Kピンクゴールド
プレ値:2,700,000円~
デイデイトRef.1803の素材は、イエローゴールド・ホワイトゴールド・ピンクゴールドの3種類です。中でもピンクゴールドの流通量が少ないことから希少性が高く、状態が良いと300万円近い値段で販売されています。
②カレンダーが日本語表記のもの
出典:ROLEX
プレ値:5,000,000円~
デイデイトにはカレンダー機能が搭載されていますが、実はカレンダーの表記を英語から他の言語に変更することができます。フランス語やドイツ語表記のほか、日本語表記のデイデイトも存在しています。日本語表記のデイデイトは流通量が非常に少なく、中古市場では500万円台から取引されています。
3-8-2俳優の桐谷健太さんをはじめ、多くの芸能人が着用
デイデイトは成功者の証と呼ばれる時計です。そのため、多くの芸能人や著名人が身に着けており、人気俳優の桐谷健太さんも愛用しています。
桐谷さんと言えばドラマ「ルーキーズ」や、auのCMでもおなじみの「浦ちゃん」役を演じる人気俳優です。出演されたドラマの中で、ホワイトゴールド素材のデイデイトRef.1803を着用していたことが話題になりました。
3-9.オイスターデイトRef.6694
出典:ROLEX
発売時期:1960年頃~1987年
販売価格:~¥300,000前後
オイスターデイトRef.6694は、今回紹介するアンティークロレックスの中で、唯一の手巻き式時計です。
手巻き式は使うたびにゼンマイを巻かなければいけないのが手間ですが、自動巻に比べると中の機構がシンプルなので、故障しづらく長く使えます。
またRef.6694に搭載されているムーブメントは、40年以上も生産されており、部品も多く出回っているため、メンテナンス費用を抑えられるというメリットがあります。初めてのアンティークロレックスにもおすすめのモデルです。
自動巻きに比べるとケースの厚みもなく、サイズも34mmと日本人の腕にしっくりとくるサイズ感なのも人気の理由です。文字盤はシルバーやシャンパン文字盤よりも、黒・青・グレーといったカラー文字盤の方が相場は高くなっています。
3-9-1オイスターデイトのレア個体とは
アンティークのオイスターデイトには、現行のロレックスにはないリネンダイヤル(モザイクダイヤル)という文字盤が存在します。絹のように薄い格子状のデザインで、繊細な質感が魅力です。非常に価値が高いというわけではありませんが、流通量が少ないため、状態のよいものは希少です。
出典:ROLEX
プレ値:500,000円~
3-10.エアキング Ref.5500
出典:ROLEX
発売時期:1950年代後半~1988年
販売価格:~¥200,000前後
初めてのアンティークロレックスでお手頃価格のモデルを選ぶなら、エアキングRef.5500がおすすめです。カレンダーがなくシンプルな三針が特徴のモデルなので、着用シーンを選ばず、憧れのロレックスを20万円代から購入することができます。
また、Ref.5500は30年もの間作られたロングセラー商品なので、文字盤のバリエーションなど、アンティークロレックスならではの個体差も楽しめます。
3-10-1.エアキングのレア個体とは
①エクスプローラー表記のエアキング
出典:ROLEX
プレ値:400,000円~
Ref.5500はエアキングの型番ですが、発売当時のロレックスはモデル名や種類などが今のように統一されていませんでした。そのため、同時期に製造されていたエクスプローラーのボーイズサイズモデルとして、エアキングとエクスプローラーが同じ型番で作られていたことがあります。
その中でもさらに希少性の高いのが、文字盤の「SUPPER␣PRECISION」の下にアンダーバー「_」の記載があるものです。これは1960年代前半にだけ見られるレア個体で、流通量が少ないことから40万円前後で販売されています。
ただし、レア個体であるにもかかわらず格安で売られている場合は、リダンダイヤルになっている場合が多いので注意が必要です。
4.アンティークロレックスを買う時の注意点
アンティークロレックスは、状態やモデルによって大きく値段が変わります。プレミアが付いて非常に高額なものもあれば、現行モデルに比べて大幅に安いものも存在します。
アンティークロレックスは中古で買うしか入手方法がないため、安く手に入れたいという方も多いです。しかし、値段だけで選ぶのは失敗の原因となります。
4-1.信頼のおける時計専門店で購入しよう
現在は個人売買が盛んになり、フリマアプリやネットオークション、リサイクルショップなどでもロレックスが売買できるようになりました。
しかし、アンティークロレックスの真贋はプロでも見極めが難しく、偽物が多く出回っているのが現状です。売っている本人すら気づかないまま、リダンダイヤルやムーブメントが違う個体がアンティークロレックスとして売られていることも多く、フリマアプリなどで購入するのはリスクが大きいです。
アンティークロレックスを購入できる際は、信頼できる時計専門店で購入するのが一番です。また、可能であれば通販ではなく、直接店頭で実物を見て購入することをおすすめします。
アンティークロレックスの場合は、初期不良の可能性が新品よりも高いので、保証期間や返品保証がしっかりしている店で買うと安心です。
4-2.日ロレのオーバーホール証明書つきのものを選ぼう!
アンティークロレックスの真贋を見分けるためには、ギャランティの有無が重要です。しかし、古いものほどギャランティを紛失していることが多く、ギャランティがついていたとしても高額になっています。
ギャランティ以外に真贋をチェックする材料となるのが、日本ロレックスが出したオーバーホール証明書です。ロレックスは非正規の部品を搭載した時計の修理は受け付けないため、オーバーホール証明書がついていれば、本物の証明となります。
また、ロレックスから公認されている、民間の修理ショップによる証明書も、日ロレの証明書と同等の信頼度があります。
5.やってはいけないアンティークロレックスの取り扱い
機械式時計は非常にデリケートです。古いものほど取り扱いには注意が必要となります。ここでは、アンティークロレックスの取り扱い方法を紹介します。
5-1.注意①正規店でのオーバーホールを避け、最低2年に1度はメンテナンスをする
アンティークロレックスのオーバーホールを正規店にお願いすると、ほぼ100%新しい部品に交換されてしまい、元の部品は全て回収されてしまいます。
部品を新しいものに交換してしまうと、アンティークならではの風合いが損なわれてしまうので、時計の価値は一気に下がります。例えば、秒針が違うだけでも20万円以上は買取価格が下がってしまうので、メンテナンスには細心の注意が必要です。
価値を落としてしまわない為にも、アンティークロレックスは正規店ではなく、日本ロレックスが公認している民間の時計修理店へ持ち込み、必要最低限のメンテナンスを相談しながら行うのがベストです。最低2年に1度はメンテナンスをすることで、長く使い続けることができます。
5-2.注意②水回りや夏場の着用は避ける
アンティークロレックスは経年により仕様上の防水性能が失われていることが多く、水回りや夏場の着用には注意が必要です。
万が一水や汗が内部に侵入すると、故障してしまうことがあります。アンティークロレックスが故障すると、最悪の場合部品交換となってしまうため、取り扱いには細心の注意が必要です。
5-3.注意③スポーツ時の着用や強い衝撃などは避ける
機械式時計は、強い衝撃を受けると故障の原因となります。特にアンティークロレックスは部品の耐久性が下がっている可能性があるため、着用シーンを考えて身につけましょう。
スポーツ時の着用だけでなく、自転車で小さな段差を乗り越える程度でも時計に負荷がかかることがあります。ビジネスシーンなど、あまり衝撃や負荷のかからない場面で着用することをおすすめします。
5-4.注意④テレビやスマホなど磁力を避ける
テレビやスマホから発する磁力は、時計内の動きを悪くしてしまい、故障の原因となります。磁力を発する機械の近くには置かないように注意しましょう。
また時計のゼンマイが切れないように、自動巻き時計でワインディングマシーンを使用している方がいますが、アンティーク時計の場合は避けましょう。機械を使用することでゼンマイが必要以上に巻きあがってしまい、時計に大きな負担を与えてしまうからです。
まとめ
今回は、アンティークロレックスの魅力や人気のモデル、アンティークロレックスの取り扱いについてご紹介しました。
アンティークロレックスには、現行の時計にはない魅力が詰まっています。時計が好きなら、ぜひアンティークロレックスの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
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