ロレックスを持っている人が憧れを抱くポールニューマンデイトナ。ポールニューマンと言われているけど実際にはどんなアイテムなのか、なぜ20億円もする品なのか謎が多い時計です。
今回はそんな永遠の憧れでもあるポールニューマンデイトナについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
幻のデイトナと言われるポールニューマンとは?
まずはポールニューマンデイトナって何なのかをご説明させていただきます。ざっくりと説明すると、ポールニューマンというプロレーサーが着用していたアンティークデイトナのことを指します。
稀少価値が高い時計を超有名な人物がつけていたことからポールニューマンデイトナと言われるようになりました。この章ではその時計がどのような時計か、ポールニューマンに纏わる情報を深掘りしていきましょう。
ロレックス コスモグラフデイトナRef.6239を指す
出典:PHILLIPS
ポールニューマンデイトナはRef.6239のデイトナのことを指します。このRef.6239は1963年に世界2000本限定で販売された希少性が高いモデルです。当時の販売価格は¥168,000で大卒初任給が3万円ほどの時代の中では超高額な時計でした。
物価計算をすると、現行のデイトナ(116500LN)は\1,387,100ほどで購入することが可能で、現在の大卒初任給は20万円ほどなので、物価からみると昔のほうが若干安かったみたいですね。(ポールニューマンデイトナを現在の物価で定価に直すと¥1,120,000です。)
今では一般的に売られているデイトナですが、実はこのポールニューマンデイトナは現在のデイトナの初代のデイトナとして発売されていました。ポールニューマンデイトナはレーサーが着用すると想定され作られたため、機能面では平均速度を計測することができるタキメーターが搭載されており、文字盤は視認性が良い白と黒の反転したカラーで販売をされました。
このデザインは今までない特徴的なデザインでかなり話題となり、即完売となりました。
また、初期生産のモデルとその後発売したモデルで若干の違いもあり、現在のアンティークロレックスファンを魅了しているので、その違いについてもご説明させていただきます。
【Ref.6239初期モデルの特徴:初期生産モデルをル・マンと呼ぶ】
Ref.6239の中でも初期生産モデルではなく、レーサー用に作られたモデルがポールニューマンデイトナといいます。最近ではこのモデルが特に人気が高いのですが、実は初期モデルも価値がかなり高いモデルです。
その初期モデルは『ル・マン』と呼ばれるアイテムで、初期生産のモデルでも4つの特徴があります。
- DAYTONAのロゴの有無(ロゴの位置)
- アンダーラインの有無
- SWISS表記が二つあるかどうか
- 秒針が長いかどうか
◆DAYTONAのロゴの有無(ロゴの位置)
※表記なし | ※12時の位置に小さく |
※12時の位置に大きく | ※6時の位置に大きく |
発売当初はDAYTONAの表記はなく、COSMO GRAPHの表記のみとなりました。当時はスペースウォッチの開発が劇化していたこともあり、宇宙を意識した名前にしていたのだと思います。
ロレックスではないですが、同時期にオメガでスピードマスターがスペースウォッチとして誕生しました。
ちなみに、表記なし6時の方向にDAYTONAが書いてあるモデルの中にはCOSMO GRAPHの文字がない『ソロ ロレックス』というレアな個体が存在し、Ref.6239の中でもファンにはとても魅力的なアイテム。
◆アンダーラインの有無
この画像で見ると12時の方向に薄くアンダーライン『_』が引いてあることが分かるかと思います。これは夜光塗料がラジウムからトリチウムに変更される時期のモデルを表記しているといわれており、1962年~64年にかけて作られたロレックスのモデルではよく見られます。
◆SWISS表記が二つあるかどうか
通常はケースに隠れてて見えない部分なのですが、分解すると6時の方向にSWISSという表記が二つあることが分かります。これも同様に初期のモデルでよく見られ、DAYTONAの表記をされると共にSWISS表記が『T SWISS T』に変わり見られなくなりました。
この文字盤もかなり希少価値の高いレアな文字盤として重宝されております。
◆秒針が長いかどうか
※ポールニューマンデイトナ |
若干の違いではありますが、初期生産モデルの場合には秒針が長くなります。これはロレックスのメンテナンスの状況により短くなってしまうこともあるので、可能な限り当時のモデルのまま保たれていると評価が高くなります。
【Ref.6239後期モデル:ポールニューマンデイトナは1種類】
それではポールニューマンデイトナはどのようなモデルを指すのかというと、このモデル以降に出た後期のモデルを指し、1種類しか存在しません。
早速画像を見て解説していきましょう。
先ず目につくのは白文字盤に黒の3つのダイヤルです。これはエキゾチックダイヤルと言われポールニューマンデイトナの一番の目印です。
続いてはベゼルのタキメーターの表記が50~200になっているところです。初代デイトナは60~300なので、分かりやすい大きな違いはこのくらいになります。
初代モデルと比べると分かりやすいくらいデザインもはっきりしております。広義ではRef.6239がポールニューマンと言われておりますが、実際にポールニューマンモデルを指すデザインはこのデザインですので、特徴を覚えておくと良いでしょう。
ちなみに、ポールニューマンデイトナを着用している芸能人は意外と多く
- 雨上がり決死隊:宮迫博之さん
- 俳優:京本政樹さん
- fragment design:藤原ヒロシさん
- アーティスト:エリック・クラプトンさん
- アーティスト:ジョン・メイヤーさん
などなど…。お笑い業界からアーティストやデザイナーなど有名な人が愛用しております。番組内で愛用しているシーンも多いため、テレビで注目してみると良いでしょう。
プロレーサー ポール・ニューマン が愛用していたモデル
出典:PHILLIPS
続いてはアイテムではなく人物に迫っていきましょう。ポールニューマンという時計はご存知の方は多くとも、ポールニューマンに詳しいという人は少ないかと思います。
ポールニューマンはアメリカ出身のアメリカ人。職業は俳優兼プロレーサーです。
レーサーになったきっかけは1969年に公開した映画『レーサー(原題:Winning)』の主演男優であり製作を担当していたポールニューマンが、通っていたレーシングスクールでカーレースに夢中になり1969年にプロレーサーとしてデビューしました。
このプロレーサーになるときにポールニューマンの妻であるジョアン・ウッドワード(Winning主演女優)が贈った時計がこのポールニューマンデイトナ(ロレックスデイトナRef.6239)です。
出典:PHILLIPS
この裏ブタに書いてある文字は『Drive Carefully Me』と書いてあるのですが、これは『運転に気を付けて』と書いてあり、日本で言うところのお守りのような意味合いでポールニューマンに渡したようです。
そしてこの時計を着用してレースをするポールニューマンは優勝を重ね、ポールニューマンデイトナと言われるようになりました。そしてこれをきっかけとしてロレックスの知名度も爆発的に上がり、ロレックス全体の人気が高まったのです。
ポールニューマンを知ることでロレックスの歴史に少し触れることが出来るくらいこの人はロレックスの成長においてかなり重要な人物なのです。
この時計をかなり愛用していたポールニューマンですが、1984年に娘の婚約者であるジェームズ・コックスへ譲ったことによりをポールニューマンデイトナはポールニューマンの手から離れるようになります。
しばらくは愛用していたようですが、ネル・ニューマン財団の立ち上げをきっかけに2017年10月26日ニューヨークで競売にかけられます。結果は1,775万2,500ドル(約20.3億円)と腕時計史上最も高い金額で落札されました。
ちなみに、落札された金額は財団に寄付したそうです。
20億円で落札された理由はポールニューマンが着用していたアイテムだったから
世界に数ある腕時計の中で20億円の価値がついたポールニューマンデイトナ。宝石時計や超複雑機構式時計などではない一般的なクロノグラフで20億円。少し時計をかじったことがある方はこの凄さが分かるかと思います。
ポールニューマンデイトナが20億円もの価値がついたのには大きく分けて3つの特徴があります。
- ポールニューマンが着用していたアイテムだから
- 初期モデルで市場価値が元々高い
- 超希少価値の高いモデルだから
その中で最も重要なポイントが愛用者がポールニューマンという世界的な大スターだったと言うことです。
ポールニューマンデイトナは正式名称をロレックスデイトナRef.6239とポールニューマンの名をしていません。ポールニューマンデイトナとは通称であって、名称ではないんですよね。
そしてポールニューマンデイトナは、元々デイトナの初期モデルとしてコレクターにかなり人気の高いアイテムとして市場価値が高いモデルでした。
初期モデルで市場価値が高い×ポールニューマンが着用していた、と言う相乗効果により20億円もの金額で落札されたのです。オークション会場は価格争いでかなり盛り上がっていたらしいのですが、実際に落札されたのは匿名の電話をされた方らしいです。
盛り上がっていたところを匿名の電話でかっさらうなんてカッコいいですよね。匿名であるため誰が落札したのか不明ではあるのですが、きっと俳優のポールニューマンとロレックスの歴史を愛しているコレクターなことだけは分かります。
20億円で落札されるってすごいですね…。今のロレックスの商品では考えられないことでしょう。
ポールニューマンの売り買いのすゝめ① 購入の注意点と相場推移
ここからは購入や売却方法についてお話させていただきます。まずは購入方法について2つの注意点と現在の相場推移を順番にお伝えさせていただきます。
注意点①WEBで完結させるのはやめよう
ポールニューマンデイトナで多いのは偽物の流通です。フリマアプリやオークションサイトではあからさまに偽物だろうというようなものから、価格帯から完全に偽物なアイテムが売っております。
WEBで完結できる世の中ですが、高級品をWEBで完結させてしまうとリスクが高すぎてオススメできません。
また、偽物と言うものではないのですが、アンティーク品はメンテナンス状態によって価値が大きく変わります。WEB上の写真はかなりクリアに見えても実際には傷物だったり、ロレックスのメンテナンスで内部部品が変更されている可能性が高いです。
“ちゃんとした”ポールニューマンが欲しい場合には必ず目の前で商品を見てから購入するようにしましょう。
注意点②ポールニューマンを見極めよう
1章でお話したポールニューマンデイトナの特徴を覚えていますか?白文字盤に黒のダイヤル、6時の方向にDAYTONAの表記、タキメーターは50~200です。ポールニューマンデイトナとGoogleで検索するとRef.6239のポールニューマン以外のモデルも沢山出てきます。
購入するときに実物を見ていれば店員さんが指摘するので間違えることはないかと思いますが、情報をあまり知らない方だと、Ref.6239全てがポールニューマンと呼んでいると勘違いしている人もいるので、必ず特徴を覚えておきましょう。
中古販売相場今は落ち目!購入するなら今がチャンス
注意点が分かったところで、買い時はいつが良いのかお話していきましょう。
経済状況がよければロレックスの需要がかなり高くなるので相場は高くなるのですが、経済状況がよくないと相場が暴落する可能性も十分に考えられます。ロレックスは株と違い実物且つ価値が落ちにくいものなので、相場が下がっている今のうちに購入すると良いでしょう。
妥協点で文字盤違いも検討しよう
かなりの妥協が必要かと思いますが、ポールニューマンではなくル・マンのモデルも検討しておくと購入の幅が広がります。これは人気の問題とポールニューマンは世界限定モデルという流通量の少なさの差になります。
Ref.6239は初代デイトナとして個人的にかなり推せるアイテムです。白文字盤のDAYTONAの表記なしや、黒文字盤で6時にDAYTONAの表記が赤文字(チェリーロゴ)もかなりカッコいいアイテムです。
ポールニューマンという圧倒的なアイテムのせいで埋まってしまっている存在ですが、これを機に興味を抱いていただけると嬉しいです。
ポールニューマンを売る時のおすすめの買取店選びと相場推移
さて、続いてポールニューマン(アンティークロレックス)を持っている場合や所持した後、売るために覚えておきたい2つのオススメと売却時期についてお伝えしていきます。
オススメ①時計に詳しいお店を選ぼう
ポールニューマンなどのアンティークロレックスは一般的に流通している商品よりも知識が必要なアイテムなので、知識の差で査定金額が大きく異なり、知識が少なく、誤った査定をされた場合にはかなり安い金額で叩かれてしまう可能性が非常に高いです。
時計の売却は知識量が高い業者に売るようにすると正しい相場で正しい知識を持って査定してもらえるので、覚えておきましょう。
時計に詳しいかどうかは売りに行く前にインターネットで「アンティークロレックス買取」と調べてみて、ホームページを見てみると良いでしょう。
- 買取強化をしているのかどうか
- 買取をしている実績があるのかどうか
- HPは綺麗に作られているかどうか
この三点を中心にホームページを見て、当てはまってそうなら査定をしに行くと良いでしょう。
オススメ②全国対応の都心部の店を選ぼう
続いては対応地域についてです。地域限定のお店よりも全国対応しているお店の方が買取金額が高い傾向にあります。なぜかというと、地方のみで出店している店舗は査定金額を張り合う必要がなく、高い利益率で買取を進めることが出来ます。
しかし、都心部の店舗では1円でも高く買取りしないとお客様がつかないので、多店よりも1円でも高く買い取ろうという競争意識が生まれます。この意識が高いのが新宿や渋谷などの激戦区で店舗を構えているお店です。
都心部のお店ではほとんどの場合郵送買取をしているケースが多いので、郵送買取を頼むようにすると尚いいでしょう。
景気悪化で相場が大暴落!売るなら早めに…!
最後は売り時についてお話させていただきます。3章で買い時とご紹介させていただいたので、何となくお分かりかと思うのですが、相場が大暴落しております。
新型コロナが収まる気配もなく、これ以上相場が下がる可能性も非常に高いです。まだ2~3年以上時計を持っていようと思っている方は良いのですが、そうでない場合にはとにかく早く売った方が良いです。
弊社では買取店を運営しておりますが、今よりも相場が下がる可能性が高いと考えているため、売る意欲が高い場合にはなるべく早い段階で売ることをオススメしております。
もしも不要なものがあれば下記からWEB査定が可能ですので、お気軽にご連絡くださいませ。
【おまけ】世界で高いロレックスランキングTOP5
おまけとしてロレックス内で価格の高いアイテムをランキング形式でご紹介させていただきます。1位は堂々のポールニューマンで20億円ですが、他のアイテムはどのようなものがあるのでしょうか?
それでは見ていきましょう。
1位 約20億円『ポールニューマンデイトナRef.6239』
価格:約20億3000万円
世界で最も高い腕時計のポールニューマンデイトナ。機能性が高いわけではないですが、ポールニューマンが着用した初期のロレックスというだけでかなりの高値となりました。
同じモデルは700万~2000万円ほどで流通しているので、ポールニューマンの存在がここまで価格を上げました。今現在誰が所持しているのか不明ですが、20.3億円は芸術品の域を達しているので、いつしか美術館で見れる日が来るかもしれませんね。
2位 約6.5億円『デイトナユニコーンRef.6265』
出典:PHILLIPS
価格:約6億4700万円
K18ホワイトゴールドで作られたデイトナ。正式名称はロレックス デイトナRef.6265です。
今までのアンティークデイトナはK18やイエローゴールドしか見つかっていないため、白色の貴金属を使用したデイトナ存在しないといわれていたのですが、そんなときにあらわれたのがユニコーンです。
ごく少数の人しか見たことがなかったため、白色のデイトナは伝説として語られていましたが、このオークションを機に存在を証明しました。
3位 約5.7億円『トリプルカレンダーRef.6062』
出典:PHILLIPS
価格:約5億7000万円
ロレックスには珍しいコンプリケーションウォッチです。トリプルカレンダーの機能とムーンフェイズを搭載しており機能性が高いモデルです。ベルトやケースはK18で出来ております。
このアイテムはベトナムの皇帝であるバオ・ダイが特注で作らせたモデルで、亡くなるまで愛用しておりました。亡くなってから遺品としてオークションに出品され5.7億円で落札。
コンディションもよく、希少性がかなり高いアイテムだったのでコレだけの価格となりました。
4位 約4億『ザ・レジェンドRef.6263』
出典:PHILLIPS
価格:約4億円
ロレックスデイトナのサードモデルです。防水機能を搭載し現行のロレックスの元になっているアイテムです。今では普通である防水機能ですが、これはスクリューロック式のプッシュボタンの開発があり、実現したものでもあります。
ですが、実はRef.6240が先にスクリューロック式のプッシュボタンを搭載されたとも言われているので、詳細はまだ謎に包まれております。
5位 約2.7億『スプリットセコンド・クロノグラフRef.4113』
出典:PHILLIPS
価格:約2億7000万円
ロレックスにスプリットセコンド・クロノグラフを搭載したモデルで、世界12本限定で発売されました。現在は8本のみ確認されている超希少なモデルです。
今のロレックスから考えるとありえないデザインのモデルですよね。その超希少性が高いというところから約3億円の価格で落札されました。
ポールニューマンデイトナはロレックスの中でも伝説のモデル
今回はロレックスのポールニューマンデイトナに着目してご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
ポールニューマンデイトナの言葉はよく聞くけど、ポールニューマンがどういう人なのか、なぜ20億で落札されたのか、そもそもどんなアイテムなのか…などの疑問点は解消されましたかと思います。
もしもこの記事を読んでアンティークロレックスに興味がわきましたら、アンティークロレックスに特化した記事も用意しております。ぜひ、ご興味がありましたら読んでみてください。