金への投資は、長期的にリターンを得ることができる賢い選択のひとつです。しかし、金投資を始める前には、金投資についてしっかり理解しておく必要があります。
この記事では、金投資のメリット・デメリットとともに、2022年度から2023年度にかけての最新の金相場動向をまとめました。
また、市場価格の変動要因や金投資の種類など、金投資に関する基礎知識も解説します。これから金投資をスタートさせたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
金投資のメリットとは
金投資とは、その名の通り金(ゴールド)に投資することです。金投資は株式や預金のような金融資産投資とは異なり、金そのものを売買して利益を得る現物資産投資です。
ここでは、金投資のメリットについて解説します。
金は有事の際に強い
金投資のメリットとしてまず挙げられるのは、金は有事の際に強いということです。一般的な投資先である株式や国債は、世界経済が混乱に陥ると価値が下落します。
しかし、金投資は金そのものを保有しているため、価値が安定しています。
実際に、新型コロナウイルスの蔓延や2022年のウクライナ情勢により世界情勢が混乱している中で、金相場は記録的な値上がりを続けています。こうした値動きをするのは現物資産投資ならではの強みで、金を有事の際の資産として保有する投資家も多いです。
金そのものの資産価値が高い
国債や株式などの一般的な金融投資は、発行する国や企業の信用に左右されるため、経済や世界情勢が不安なときに下落する傾向があります。しかし、金は天然資源のため、国や企業とは無関係で、信用リスクがありません。
また、地球上に埋まっている金の埋蔵量には限りがあり、生産量を増やすこともできません。そのため、金は貴重な資源として価値が高く、長期的に見れば少しずつ金の価値は上がっていきます。
金の相場は世界共通
金の取引を行う市場は世界中にありますが、金の相場は世界共通です。金の国際価格はロンドンでの金取引を基準にしており、1日2回、その日の金の指標価格が決まります。
各国の為替相場や輸送コストなどでその国における金の価値の変動はありますが、相場価格そのものは世界共通で大きな違いはありません。このことから、金は安定性が高い資産とされています。
金投資のデメリットとは
金投資には金融資産投資にはないメリットがありますが、現物資産ならではのデメリットもあります。ここでは、金投資のデメリットについて解説します。
保有するだけでは資産が増えない
金投資の最大のデメリットは、保有しているだけでは資産は増えないという点です。預金や株式なら利子や配当がありますが、金にはそれがありません。金投資で利益を出すためには、買った値段より高値のタイミングで売る必要があります。
そのため、金を売る時期によっては購入時よりも相場価格が低くなるリスクがあることを知っておきましょう。
紛失や盗難のリスクがある
金投資にはさまざまな方法がありますが、保有している金を手元で保管する場合は、紛失や盗難のリスクがあります。
証券会社や貴金属を取り扱う宝石店などでは、購入した金を保管するサービスがあります。金投資の際は、多少手数料がかかっても安全な場所で金を保管できる方法を選ぶことがおすすめです。
為替変動リスクがある
金の取引は米ドルを基準として行います。そのため、日本円で金投資を行う場合、円建て価格は為替の変動に左右されます。
例えば、1ドル130円のときと、1ドル140円のときでは、1万円で購入できる金の量は変わります。金の価値は世界共通ですが、金投資で利益を得るためには、為替市場の動向にも注意する必要があります。
2022年の金相場と2023年の展望
金の史上最高値を記録した2022年が終わり、2023年の金相場はどのように推移していくのでしょうか。ここでは、2022年の金相場の振り返りと、2023年の金相場の展望について見ていきます。
金の歴史的な高騰が起きた2022年
上記のグラフは、2022年の金相場のグラフです。2021年初頭から金相場は高騰を続け、3月には1gあたり8000円台に到達しました。その後も金相場の伸びは止まらず、4月20日には8,969円/1gに達し、日本の金価格の史上最高値を記録しました。
その後、値段が乱高下するも、秋以降は再び上昇トレンドとなり、8,000円台をキープしています。2022年はロシア・ウクライナ情勢や新型コロナウイルスなどの国際的な不安が大きい年だったため「有事の金」としての需要が大きく高まった結果、記録的な高騰につながったと考えられます。
2023年の金相場は下降傾向?
2022年後半から続いた金の上昇トレンドはどこまで続くのでしょうか。
投資家の予想によると、2023年には一時的に金相場が9,000円台を超える見込みです。しかし、上昇トレンドは年始から数ヶ月で一旦落ち着き、その後の世界情勢によっては下落の可能性があると考えられているようです。そのため、金の取引を行うなら、今が売りどきと言えるでしょう。
値下がり予想の理由として、2022年にアメリカで利上げが行われたことで、金利のつかない資産である金の需要が下がり始めたことが挙げられます。また、2022年の金高騰の大きな要因となったロシア・ウクライナ情勢が収束に向かえば、経済的な不安要素が減るため「有事の金」の需要は下がり、価格も下落する可能性が高いです。
しかし、ロシア・ウクライナ情勢も新型コロナウイルスの状況も未だに不透明なため、今後の展開によっては金相場の上昇の可能性も十分考えられます。
2023年の金相場は、2022年に引き続き世界情勢の動向に要注意です。
金投資の種類6つとメリット・デメリット
金投資には、主に6つの種類があります。ここでは、それぞれの金投資の概要とメリット・デメリットを解説します。
インゴットへの投資
インゴットとは、いわゆる金の延べ棒のことで、ゴールドバーとも呼ばれます。インゴットへの投資は、金投資の中でも人気があり、現物資産として保有している方も多いです。
インゴットは金属メーカーや地金商で購入することができ、5gから購入できます。
【一般的なインゴットの種類】
5g | 10g | 20g | 50g | 100g |
200g | 300g | 500g | 1kg |
また、このほかにも約12.5gもの重さがある「ラージバー」というインゴットも存在します。
インゴットに投資するメリット
インゴットは現物資産のため、自分の手元においておけば、保管料や年会費などの維持費がかかりません。
また、売却する際は、金の保有期間が5年以上の場合、長期譲渡所得として税金が優遇されるため、税額が半分となります。
インゴットに投資するデメリット
インゴットを手元に置いておけば保管料はかかりませんが、盗難のリスクがあります。そのため、購入したインゴットを預けることもできますが、保管料がかかったり、預け先が倒産した場合は金が戻ってこないリスクがあります。
また、500g以下のインゴットを購入する際には、バーチャージと呼ばれる手数料がかかります。そのため、大きいインゴットを1つ買うのと、同じ重さを小分けにして買うのでは、小分けのほうが手数料が多くかかるため、少額投資には不向きです。
金貨への投資
金貨への投資は、インゴットと同様に金を手元においておけるため人気があります。集める金貨によってはコレクション性があったり、金貨をアクセサリーに加工することもできるなど、投資以外の楽しみ方もできます。
金貨投資でよく使われるのが、カナダ政府が発行しているメイプルリーフ金貨です。1oz , 1/2oz , 1/4oz , 1/10oz , 1/20ozの5種類が主に流通しており、全て24金(純金)です。
その他にも、中国で発行されているパンダ金貨や、各国で発行される記念金貨など、金貨の種類はさまざまです。
金貨に投資するメリット
金貨はインゴットに比べて少額から購入できるうえ、保管しやすく贈答用としても人気があります。また、希少性の高い金貨は、金の相場価格以上のプレミア価値が付く場合があります。
金貨に投資するデメリット
金貨は、インゴットと同じく盗難や紛失のリスクがあります。また、金貨には輸送費や加工費などの諸経費がプレミアムとして上乗せされているため、インゴットの購入に比べて割高になる点もデメリットです。
純金積み立てへの投資
純金積立は、証券会社や地金商を通して、毎月定額支払いで少しずつ金を購入するタイプの金投資です。購入できる金額は会社によって違いますが、月々数千円から購入することができ、金投資の初心者におすすめの方法です。
純金積立に投資するメリット
少額から購入できるため、金投資が初めてという方に人気の方法です。また、毎月定額を購入するため、金相場が安いときは多く、高いときは少なく購入し、平均購入額を抑えることができます。定期購入だけではなく、スポット購入もできるため、相場が安いときに追加で多く買うことも可能です。
純金積立に投資するデメリット
純金積立で購入した金は、運営会社が保管します。そのため、保管料や手数料が必要です。また、金投資は株式などと違って短期間で大きく値動きするものではないため、少額の純金積立は、長期保有しないと利益が出にくい点がデメリットです。
金ETFへの投資
金ETFとは、現物の金を保有するのではなく、株式と同じように金関連の金融商品に投資する方法です。
ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、特定の指数に連動する投資信託のことです。金ETFは金価格に連動するETFに投資する金融商品です。金の価格が上がれば、金ETFの価値も上がります。
ETFは取引所に上場しているため、株式のようにリアルタイムで取引できる点が、他の金投資との違いです。
金ETFに投資するメリット
金ETFは金価格に連動する指数で運用されているため、値動きがわかりやすいというメリットがあります。また、投資信託よりも保有コストが安く、リアルタイムで取引もできるため、積極的な投資を行いたいという方におすすめです。
さらに、金ETFは複数の銘柄から構成されているため、リスク分散に向いています。
金ETFに投資するデメリット
金ETFはリアルタイム投資ができるため株式と似た感覚で運用できますが、株式に比べて運用会社に支払う経費が高く、利息や配当金がないというデメリットがあります。
金投資信託への投資
金投資信託は、金鉱山を所有する企業や、金関連の銘柄に投資する投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金を運用会社がまとめて運用し、利益を投資家に分配する金融商品です。
金投資信託に投資するメリット
投資信託は、運用をプロに任せることができるので、資産運用に自信がない方に向いています。また、少額から投資を始められるため、投資の初心者にも人気があります。
また、資産運用を積極的に行っている人が、リスク軽減のために分散投資する先としてもおすすめです。
金投資信託に投資するデメリット
金投資信託は、つみたてNISAが利用できません。NISAを利用した金投資信託を行いたい場合、一般NISAを利用する必要がありますが、現行のNISA制度が2023年で廃止となり、新たなNISA制度ができるため、現状では今後金投資信託でNISAをできるかは不透明です。
出典:日経ビジネス
また、金投資信託は金ETFと同じく配当金や利息がないことと、運用手数料が高いというデメリットがあります。
金先物取引への投資
金先物投資とは、金を対象とした先物取引のことです。先物取引とは、ある商品を将来の決められた日に、取引の時点で決めた価格で売買する取引方法です。金は日々価格が変動するため、取引時に決めた価格より、期日の金価格が高ければ、売買差額で利益を得ることができます。
金先物取引に投資するメリット
金先物取引は、預けた証拠金にレバレッジを掛けることで、少額の投資で大きな利益を得ることができます。FXや株価指数先物など、レバレッジを利用した取引経験がある人に人気がある投資方法です。
また、金先物取引は、値動きの幅によっては短期間で大きな利益を上げることができるため、リスクがあっても大きなリターンを狙いたい人に向いています。
金先物取引に投資するデメリット
金先物取引は、リターンが大きい分リスクの大きい取引方法です。万が一予想に反する値動きをした際、証拠金を超える損失が発生することがあります。相場が急変すると、損失を防ぐためにロスカットが発動しますが、ロスカットの処理が追いつかないほどの価格変動があった場合、追加で証拠金を支払う必要がある点は要注意です。
金相場が変動する3つの理由
金相場は、さまざまな理由によって日々変動します。金の価格を予想するためには、相場の変動を知っておくことが大切です。ここでは、金相場が変動する3つの理由を解説します。
理由①地政学的リスクの影響
金は、地政学的リスクに強い資産のひとつで、地政学的リスクが発生した場合は値上がりする可能性が高いです。
地政学的リスクとは、証券用語のひとつで、ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのことです。
出典:野村證券|証券用語解説集
地政学的リスクは投資に大きな影響を与える要因のひとつです。最近では、2022年に発生したロシア・ウクライナ情勢は大きな地政学的リスクといえるでしょう。
地政学的リスクが発生すると、株式や通貨の乱高下など、金融市場に大きな影響が発生します。そのため、安全な現物資産として金の重要性が高まり、金相場が上昇する傾向があります。反対に、地政学的リスクが終息に向かうと金融市場が安定してくるため、金相場は下降していきます。そのため、金投資を行う上で、地政学的リスクは相場変動の重要な目安といえます。
理由②需要と供給のバランス
金の価格を決める要素には、金の需要と供給が大きく関わってきます。需要が供給を上回れば金の価格は上昇し、反対に需要が供給を下回れば、金の価格は下がります。金の値動きを知るためには、常に需要と供給の動向について知っておくことが大切です。
金には、宝飾品用や産業用、投資用など、さまざまな需要があります。2022年第1四半期の金需要は、前年同期比34%増加と好調に推移しており、過去5年平均の需要を19%上回る高水準でした。需要が伸びた理由としては、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や、エレクトロニクス分野での金使用量の増加によるものです。
金は年間およそ3,000トン前後が産出されており、その他にリサイクルなどで回収した分を合わせ、年間4,500トン前後の金が供給されています。
しかし、地球上に埋蔵されている金は約54,000トン程度しかないため、将来的に金の産出はどんどん減っていきます。そのため、長期的に見ると金の需要に対する供給が少なくなることは確実です。これが、金は長期的に保有すれば値上がりする可能性が高いといわれる理由です。
出典:田中貴金属
理由③米ドルの価値による変動
日本の金相場は、米ドルの為替価格に大きく左右される傾向があります。金の価格は米ドル基準で設定されているため、日本円で金を取引する場合は米ドルの為替レートが影響します。基本的に、円高になると金価格が下がり、円安になると金価格が上がると考えていいでしょう。
- 円高:ドルの価値が下がり、円の価値が上がる→金価格が下がる=金の買い時
- 円安:ドルの価値が上がり、円の価値が下がる→金価格が上がる=金の売り時
例えば、1ドル150円の円高の時期と、1ドル80円の円安の時期では、同じ1ドルでも買える金の量が変わります。円高の時期は150円分の金を購入できますが、円安の時期は80円分の金しか購入できません。
そのため、金投資で利益を得るためには、円高の時期に金を安く購入し、円安の時期に金を高く売るのがベストです。
近年の相場から見る今は買い時?売り時?
2022年は金相場が歴史的な高騰を見せた一年でした。2023年1月現在の金相場は8,000円台後半で推移しており、9,000円台も間近です。9,000円台を記録すれば史上初となり、金投資が更に活発化することは間違いないでしょう。
そのため、金がほぼ最高値に近い今は、絶好の金の売り時といえます。逆に、金が高騰している今は買い時とはいえませんが、今後さらに金価格が上昇するのを期待して投資する方も多いようです。
ただし、現在の金相場の高騰は、ロシア・ウクライナ情勢や新型コロナウイルスをはじめとした地政学的リスクによるものが多いため、これらのリスクが解消する兆しがあれば、一気に暴落する可能性もあります。実際に、2023年後半は地政学的リスクが安定に向かい、金相場は緩やかに値下がりしていくのではないかという見方もあり、現在の高騰がずっと続くとは考えにくいでしょう。
金投資で利益を得たい方や、貴金属のジュエリーや金貨を売りたい方は、金相場が高騰している今が売りどきです。
金投資は相場の仕組みを理解することが大切!
金投資は、有事に強いため、資産を安定させるために分散投資をしたいという方に人気です。金は配当金や利息がないため大きなリターンを得るには向いていませんが、長期的に安定した資産運用をしたい方に向いています。金投資に興味がある方は、ぜひ当記事で紹介した方法や、金相場の仕組みを参考にしてください。
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