2月の誕生石として有名な「アメジスト」。ジュエリーやパワーストーンとして人気が高い宝石ですが、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
この記事ではアメジストの特徴を、歴史や石言葉、価値基準とともに解説していきます!
目次
2月の誕生石アメジストってどんな宝石?
2月の誕生石であるアメジストはどんな宝石なのでしょうか?まずはその特徴を見ていきましょう。
アメジストの特徴
アメジストとは紫色の水晶のことで、日本名は「紫水晶」です。地球の表面を構成する鉱物「石英(せきえい)」の中で結晶形のものを水晶と呼び、とくに美しい紫色をしているものをアメジストと呼んでいます。
そのため、アメジストは世界各地の鉱山から採掘することができます。鉱物の硬さを示すモース硬度では10段階中「7」で、ガラスよりも硬い物質です。
アメジストの語源
アメジストという名前の語源は、飲みすぎたときの治療を意味するギリシャ語「アメシストス(amethystos)」です。
また、アメジストという名はギリシャ神話にも登場し、葡萄酒の神「バッカス」が襲おうとした少女「アメジスト」がその身を水晶に変えたという逸話も、由来のひとつとされています。
人類史におけるアメジストの歴史
アメジストは古い歴史を持つ宝石です。ギリシャ神話や旧約聖書の出エジプト記に登場するなど、古くから人々に重宝されてきました。
実際に、紀元前3000年代に建造された古代エジプト初期王朝のファラオの墓から、アメジストのブレスレットが発見されています。
出典:GIA
また、アメジストはギリシャやエジプトだけでなく、中国や西ヨーロッパ諸国など多くの国々で採掘され、用いられてきたという記録があります。
その上品な色合いが王室に好まれ、ロシアの女帝キャサリン(1729-1796年)やイギリスのウィンザー公爵夫人(1896-1986年)をはじめ、多くの王族貴族に愛用されました。
引用元:https://www.gia.edu/JP/amethyst-history-lore
アメジストの石言葉
アメジストの石言葉は「高貴・誠実・心の平和・愛情」です。紫色は古今東西さまざまな国で“高貴な色”とされているため、アメジストは古くから位の高い人が身につける石として用いられてきました。
また、アメジストは「愛の守護神」と呼ばれており、恋愛運を高める石としても知られています。
パワーストーンとしての効果
スピリチュアルの世界では、紫色は霊感を高める色とされています。アメジストは霊性の高い石とされ、後ろ向きな気持ちを前向きに変える効果があると言われています。
また、悪いものから持ち主を守ってくれるという効果もあり、お守りとして持ち歩く人も多いそうです。
ここまで、アメジストの特徴を歴史や石言葉とともに解説しました。続いて、2章ではアメジストのカラーについて紹介していきます。
アメジストは紫色だけじゃない!アメジストのさまざまなカラー
アメジストはカラーバリエーションが少ない宝石で、個体によって色の濃淡・赤みの差はありますが、基本的には紫色をしています。ただし、人工的な処理を施すことによって、いくつかのカラーバリエーションを生み出すことができます。
ここでは、未加工のアメジストと、処理が施されているアメジストのカラーをご紹介します。
未加工のアメジスト
出典:GIA
アメジストの中でもっとも一般的なカラーは、多くの人がイメージするような「くっきりと鮮やかな紫色」です。ただし、天然石なので個体差があり、色の幅としては淡い紫色〜濃い紫色のものまであります。
なお、ごくまれにピンク色のアメジストが採掘されることがあり、「ピンクアメジスト」と呼ばれて親しまれています。
【ピンクアメジスト】
ラベンダーアメジスト
出典:Pascle
ラベンダーアメジストは、淡い紫色をしている宝石です。アメジストに紫外線を照射し、鉄イオンの量を調整することで、淡い色合いに加工しています。通常のアメジストよりも比較的安く購入できるのが魅力です。
グリーンアメジスト
出典:Pascle
グリーンアメジストは、マスカットのような優しい緑色をしている宝石です。ギリシャ語で“明るい緑”を意味する「プラシオライト」という名前で呼ばれることもあります。
自然に発生する可能性はゼロではありませんが、実際に鉱山で発見されるケースはほとんどありません。そのため、市場に出回っているグリーンアメジストは、人工的に熱処理・放射線処理を施されたものが大半です。
また、特殊な鉄イオンを含んでいるアメジストしか緑色に加工することはできないので、グリーンアメジストは希少価値が高い水晶と言えます。
アメジストの価値は何で決まる?アメジストの価値基準
2月の誕生石・アメジストの価値はどうやって決まるのでしょうか?ここでは、アメジストの価値を左右する重要なポイントについて解説します。
カラーの美しさ
アメジストは個体によって色の濃淡に差がありますが、最上級とされるのは「赤みのある濃い紫色」です。
【最上級のアメジスト】
出典:GIA
逆に価値が低いとされるのは、彩度が低いものや茶色がかっているものです。
【茶色がかっているアメジスト】
クラリティの高さ
「クラリティ(透明度)」の高さも重要なポイントです。基本的にどの宝石もクラリティが高いもの、すなわち、インクルージョンが少ないものほど高価とされています。
※インクルージョン…宝石の内部に見られる内包物や不純物のこと。
アメジストは天然石なので、顕微鏡で見ると多少のインクルージョンがあるケースが多いですが、肉眼で見えない程度であれば「アイクリーン」と定義され、クラリティが高いと認められます。
ただし、例外として、インクルージョンがあってもその入り方が綺麗だったり、石自体の色味がかなり美しい場合は、価値がそれほどさがりません。
カットの美しさ
アメジストはさまざまな形にカットすることができる宝石です。カットの形状が美しいほど、その石の価値は高くなります。
研磨は職人によって手動でされたり、工場で機械的に行われたりしますが、技術力が高いほど完成度の高いカッティングに仕上がります。宝石自体の質がよくても、カットの美しさによって見え方は大きく変わってくるので、価値基準として大きなポイントと言えるでしょう。
アメジストの産地
アメジストのおもな産地はブラジルやウルグアイ、ロシア、インドなどです。中でもウルグアイ産は上質なものが多く、価値が高いとされています。
ウルグアイ産のアメジストは、ほかの産地のものと比べると、紫色が濃くはっきりしているのが特徴です。また、大粒のものはあまり産出されず、小粒のものが多いため、ジュエリーによく使用されています。
なお、ウルグアイ産以外は質が悪いというわけでは決してなく、どの産地からも上質なアメジストは産出されています。産地はあくまでひとつの指標として捉えていただければ幸いです。
アメジストの本物と偽物の見分け方
世の中には、アメジストのような紫色をしたアクセサリーやパワーストーンがたくさん溢れています。中には、見た目がアメジストに似ているだけの“模造石”もあります。模造石の多くはガラス製やプラスチック製です。
お手元にあるアメジストが本物かどうか知りたいという方のために、この章では本物・偽物の見分け方を解説していきます。
色の均一さ
本物のアメジストは天然石だからこそ、色が完全に均一ではありません。ひとつの石の中に色の濃淡があり、光の当たり方によって色合いが変化して見えることすらあります。
また、アメジストの特徴として「カラーゾーニング」という帯状の色むらが見られるケースがあります。
【カラーゾーニング】
出典:GIA
偽物は基本的にガラスやプラスチックでできており、わざわざ色むらをつけることはしないので、色が均一すぎる場合は偽物だと疑ってもいいでしょう。
不純物や欠陥があるかどうか
天然石は、インクルージョン・結晶・ヒビ割れといった不純物や欠陥がゼロのものはほとんどありません。純度がとても高く、不純物がほとんどないアメジストもまれにありますが、そういったものは非常に高額です。
虫眼鏡や顕微鏡で拡大して見たときに不純物がゼロだった場合は、模造石であることを疑ってみましょう。
気泡があるかどうか
石の中に気泡が見える場合は、偽物である可能性が高いです。アメジストの性質上、水晶として生成される段階で気泡が発生することはありえません。
ガラスを固めるときに気泡が含まれてしまうことはよくあるので、気泡がある場合はガラス製だと考えてよいでしょう。
ガラスとこすりあわせてみる
アメジストは硬い鉱物で、ガラスよりも高い硬度を持ちます。そのため、ガラスとこすりあわせると、アメジストには傷がつかず、ガラスにだけ傷がつきます。
傷ついてもいいガラスがお手元にある場合は、ためしてみるのもいいでしょう。
アメジストの温度
水晶は放熱効果を持つ物質なので、本物のアメジストは触れたときにひんやりと冷たく感じます。逆に、偽物だった場合は冷たさを感じず、すぐ体温になじんでしまいます。
したがって、長い間触れていても冷たさを感じるのなら、本物である可能性が高いです。
この章では、アメジストの本物・偽物の見分け方について解説しました。お手持ちのアメジストが本物かどうか知りたい方のお役に立てれば幸いです。
アメジストは美しい紫で古くから愛されている宝石
この記事では、アメジストの特徴と種類、価値、偽物の見分け方について解説しました。2月の誕生石であるアメジストについて、より深く知っていただけましたら幸いです。
アメジストの歴史は非常に長く、その美しい紫色は各国で愛されてきました。現代でも、年齢に左右されず長く愛用できる宝石として高い人気があります。
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