
1月の誕生石として有名な宝石「ガーネット」。
ガーネットはどんな石で、どんな特徴があるのでしょうか?
この記事では、ガーネットの歴史や種類、価値、本物の見分け方について解説します。
目次
1 1月の誕生石ガーネットってどんな宝石?
まずはガーネットの特徴を、歴史や石言葉とともに解説します。
1-1 ガーネットの特徴は?
ガーネットは日本語で「ざくろ石」と呼ばれ、その名のとおり、深い赤色が印象的な宝石です。
実は、赤以外にもさまざまなカラーが存在しており、細かく分類すると数十種類もの色があると言われています。
硬度が高く、硬さを示す「モース硬度」では、10段階中6.5~7.5。
耐久性が高いため、普段使いのジュエリーに適した宝石です。
1-2 人類史におけるガーネットの歴史
ガーネットがはじめて採掘されたときの記録は残っていませんが、紀元前から存在していたことはたしかです。
有名な逸話は、旧約聖書の「ノアの方舟」や「ソロモン王伝説」に登場していること。
また、高貴な石として、エジプトではファラオの遺体とともに埋葬されていたという記録があります。
引用元:GIA「ガーネットの歴史と伝承」
1-3 宝石が持つ効果とは?
ガーネットは、危害から身を守ってくれる「神聖な石」と信じられてきました。
また、「実りの象徴」とも言われており、努力している人を成功に導いてくれると言われています。
実際に、11世紀頃には、十字軍の兵士たちがお守りがわりにガーネットの石を身につけていたという記録が残っています。
1-4 ガーネットの石言葉って?
ガーネットの石言葉は「真実、友愛、貞節」です。
このような石言葉ができたのは、中世ヨーロッパの風習が由来と言われています。
中世ヨーロッパでは、友情の証としてガーネットの石を贈り合う習慣がありました。
現在もガーネットはパワーストーンとして人気ですが、古くから多くの人々を魅了していたことがわかりますね。
ここまで、ガーネットがどんな宝石であるか紹介してきました。
次の章では、ガーネットの種類について解説していきます。
2 ガーネットは赤色だけじゃない!ガーネットのさまざまな種類
ガーネットといえば赤色という印象が強いですが、実はさまざまな色があります。
大きく区分すると、赤系統と緑系統の2種類です。
ここでは、中でも有名な6種類のガーネットをご紹介します。
2-1 アルマンディン ガーネット
アルマンディン ガーネットは、ガーネットの中でもっとも歴史が古い宝石です。
カラーは、黒みを帯びた深い赤。
流通量が多く、そのほとんどはインドの鉱山で採掘されています。
ガーネットの中では比較的安価で、パワーストーンとして見かける機会が多い石です。
名前の由来は、古くからガーネットの研磨を行ってきたトルコ・アラバンダ地方から来ています。「アラバンダ」という音が変形して、「アルマンディン」になったと言われています。
2-2 グロッシュラー ガーネット
グロッシュラー ガーネットは、アルミニウムを主成分としたガーネットの一種です。
名前の由来は、ラテン語の「グロッシュラリア(Grossularia)」から。グロッシュラリアは、グーズベリーやカラントといったベリー類を指す言葉です。
グロッシュラー ガーネットは、混合する元素によって発色が異なり、緑、オレンジ、茶色、無色透明など、さまざまなカラーがあります。中でも、代表格と呼ばれるのは緑色のものです。
色ごとに通称がつけられており、緑色はツァボライトかグリーングロッシュラー ガーネット、薄緑色はミントガーネット、オレンジ色はヘソナイト、無色透明のものはリューコガーネットと呼ばれます。
2-3 パイロープ ガーネット
パイロープ ガーネットは、深い赤色をしている宝石です。
色味はアルマンディン ガーネットに似ていますが、ややピンク寄りの赤色をしているのが特徴です。
名前の語源は、ギリシャ語の「ピロポス(Pyropos)」で、「燃えるような」という意味があります。
おもな産出地はチェコのボヘミア地方。19世紀にそこで大型の鉱脈が発見され、ハプスブルク帝国を大きく繁栄させました。
現在も、チェコの工芸品「ボヘミアングラス」の素材として使用されています。
2-4 ロードライト ガーネット
ロードライト ガーネットは、紫がかった薔薇色が特徴的なガーネットです。
「ロードライト」はギリシャ語で「薔薇の石」という意味。
上で紹介したアルマンディンとパイロープの2種の成分が混ざりあい、きれいな色味となっています。
紫に近い色味のものは「パープルガーネット」とも呼ばれています。
おもな産出地は、タンザニアとスリランカ、インドです。
2-5 スペサルティン ガーネット
スペサルティン ガーネットは、オレンジ色〜朱色のガーネットです。
名前の由来は、最初の発見地であるバイエルンのスぺッサルト地方から。
宝石の中に含まれる鉄の量が多いほど、赤みが強く出ます。
明るいオレンジのものは「マンダリン ガーネット」、濃いオレンジのものは「タンジェリン ガーネット」と呼ばれています。
2-6 デマントイド ガーネット
出典:BIZOUX
デマントイド ガーネットは、ガーネットの中でもっとも価値が高いとされている、グリーン系のガーネットです。
名前の由来は、オランダ語でダイヤモンドを意味する「デマント(Demant)」から来ています。
ダイヤモンドに匹敵する光の屈折率を持ち、ガーネットの中でも格別強い輝きを放つため、このような名前がつけられました。
おもな産出地は、発見地であるロシアのウラル山脈や、イタリア、イラン、パキスタンなど。
採掘量が少なく、希少価値が高いため、非常に高額となっています。
ここまで、有名な6つのガーネットをご紹介しました。
次の章では、ガーネットの価値基準について解説していきます。
3 ガーネットの価値は何で決まる?ガーネットの価値基準
ガーネットの価値はどうやって決まるのでしょうか?
ここでは、ガーネットの価値を左右する重要なポイントについて解説します。
3-1 透明度が高いこと
透明度が高く、宝石の奥まで透き通って見えるものほど価値が高いとされています。
石の透明度が高いと、光を反射したときにコントラストがくっきりと見えるため、美しいと判断されます。
3-2 赤色系より緑色系
ガーネットにおいては、赤色より緑色のほうが産出量が少ないため、価値が高いとされています。
とくに高額なのは、前章で紹介したツァボライトやデマントイド ガーネット。
ただし、赤色だから価値が低いというわけではなく、種類によって価値基準は変わります。
ここでは、価値が高いとされる色味を、種類ごとに紹介します。
アルマンディン ガーネット
アルマンディン ガーネットの基準は暗赤色とされており、葡萄酒のようなカラーがもっとも美しいとされています。
茶色や黒に近づくほど、価値はさがり、リーズナブルな価格になります。
グロッシュラー ガーネット
グロッシュラー ガーネットは、色相の幅が広い石です。
曖昧な色味のものには色を示す名称がつきませんが、色がきれいなものには、ツァボライトやグリーングロッシュラー ガーネット、ミントガーネット、ヘソナイト、リューコガーネットといった名称がつきます。
「名称がついている=宝石として価値が高い」 と簡単に判断できます。
パイロープ ガーネット
パイロープ ガーネットの中で価値が高いのは、薔薇のような真紅の石です。
この基準から外れるほど評価は低くなり、茶や黒に近い暗い色味は敬遠される傾向にあります。
ロードライト ガーネット
ロードライト ガーネットで価値が高いのは、赤紫の発色が強く、透明度の高い石です。
紫に近いものは「パープルガーネット」と呼ばれ、希少性の高さから、高額で取引されています。
スペサルティン ガーネット
スペサルティン ガーネットの中で色味が美しいものは「マンダリン ガーネット」や「タンジェリン ガーネット」というコマーシャルネームをつけて販売されています。
名前がつかないものは総じて彩度が低く、価値もさがります。
デマントイド ガーネット
デマントイド ガーネットは、緑〜黄緑まで色の幅がありますが、明度・彩度の高い緑色が評価の基準となります。色がくすんでいるほど、価値はさがってきます。
ここまで、ガーネットの価値基準について解説してきました。
続いて、次の章では、ガーネットの本物・偽物の見分け方について解説します。
4 自分が持っているガーネットは本物?偽物?ガーネットの見分け方
ガーネットのジュエリーをお持ちの方の中には、宝石が本物か偽物か気になる方もいらっしゃるでしょう。
この章では、ガーネットの本物・偽物の見分け方をご紹介します。
4-1 不純物があるかどうか
出典:GIA
本物のガーネットは天然石なので、内包物や結晶、ヒビ割れといった不純物がゼロのものはほとんどありません。
まれに、純度が非常に高く、不純物がほとんどないガーネットもありますが、そういったものは非常に高額です。
虫眼鏡や顕微鏡で拡大して見たときに、不純物がゼロだった場合は、ガラスか合成石であることを疑いましょう。
4-2 ガラスとこすりあわせてみる
ガーネットは硬い宝石で、ガラスよりも高い硬度を持ちます。
そのため、ガラスとこすりあわせてみると、ガーネットは傷つかず、ガラスにだけ傷がつきます。
傷ついてもいいガラスがお手元にある場合は、ためしてみるのもよいでしょう。
4-3 価格が不自然でないか
ガーネットは種類が多く、価格帯の幅が広い宝石です。
不純物が多いものや透明度が低いものは価値が低いので、本物でも安価で販売されているケースがあります。
逆に、見た目が美しいのに不自然に安いものは、偽物である可能性があります。
4-4 専門機関での鑑定
偽物の宝石を見分けるのには技術がいり、素人ではなかなか判断が難しいケースが多いです。
どうしてもわからない場合は、専門の鑑定機関に鑑定を依頼してみましょう。
ここでは、有名な宝石鑑定機関を2つご紹介します。
GIA(米国宝石学会)
出典:GIA
「GIA」は、世界でもっとも権威があるとされているアメリカの宝石研究機関です。
ダイヤモンドの品質評価基準「4C」を制定したことで知られています。
GIAの「カラーストーンレポートサービス」を利用すると、お手持ちの宝石が本物か否かを鑑別してもらえます。
詳細は、下記よりGIAの公式サイトをご確認ください。
GIA公式サイト:https://www.gia.edu/gem-lab
GIAカラーストーンレポートサービス:https://www.gia.edu/JP/gem-lab-service/colored-stone
CGL(中央宝石研究所)
「CGL」は、日本の宝石鑑定機関です。宝石鑑別団体協議会(AGL)に加盟しており、信用度が高いと世界的に評価されています。
お手持ちの石が本物のガーネットかどうかを鑑別してほしい場合は、「色石鑑別書」を依頼するのがおすすめです。
詳細は、下記のCGL公式サイトをご確認ください。
CGL公式サイト:https://www.cgl.co.jp/report/grading_price.html
5 さいごに
この記事では、ガーネットの特徴と歴史、種類、価値、偽物の見分け方について解説しました。1月の誕生石であるガーネットについて、より深く知っていただけましたら幸いです。
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