通貨や株式のように、高い価値があるとされている金は、投資対象として注目されています。近年、金相場が上昇傾向にあるため金の購入や売却を検討している方も多いのではないでしょうか?
モノを買ったり売ったりする際、消費税が発生しますが、それは金の売買する場合も同様です。また、金の売却時に得た消費税には、場合によって納税義務が発生することもあります。
本記事では、金を売買する際に生じる消費税、金の売却時に得た消費税の納税義務などについて解説します。 消費税率増加時の消費税への影響や、海外から金を輸入した際の消費税なども併せてご紹介していきますので、最後までご覧ください。
また、こちらのページでは金の最新の買取相場を確認できます。アイテムごとの買取実績もご覧いただけますので、金製品の売却をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
金の売買でかかる消費税
消費税は“商品やサービスにかかる税金”で、2023年9月現在、日本では10%の標準税率、または8%の軽減税率がかかります。軽減税率の対象となるのは、酒類、外食などを除く飲食料品と新聞です。金も例外ではなく売買時に消費税がかかります。
1章では、金にかかる消費税はどのような仕組みで支払われているのかを、金を購入する場合、金を売却する場合に分けて解説していきます。
金を購入する場合
金は軽減税率の対象ではないため購入時に10%の消費税が加算され、これを負担するのは購入する側、つまり顧客です。
たとえば、100万円の金を購入するなら、10%分の消費税を上乗せした110万円の支払いが必要となります。200万円の金であれば、支払いは220万円となり、20万円の消費税がかかります。このように購入する金の価格が上がれば、消費税も多く支払わなければなりません。
とはいえ、顧客が直接、税務署や地方自治体へ消費税を納めるのではありません。消費税は税金を負担する人と、納める人が異なる“間接税”の代表格で、事業者(買取店など)が顧客から回収した税金を納めています。
金を売却する場合
所有している金を売却する場合、消費税を支払うのは事業者側となり、購入時と立場が逆転します。買取店などで金を売却した顧客側は、店舗から消費税が支払われます。そのため、仮に100万円の金を売却した場合には、消費税10%を含む110万円を受け取ることができるということになります。
ここで気になるのが「金を売却して受け取った消費税は納税しなければいけないのか」という点です。次章では、消費税の納税義務について詳しく解説していきます。
金の売却で得た消費税の納税義務は?
金の売却時に得た消費税の納税義務について、個人取引、法人や個人事業主の2つのパターンに分けて解説します。知らぬ間に法令違反をしていたということにならないよう、しっかり確認しておきましょう。
個人での取引の場合は原則として消費税の納税義務はない
法人や個人事業主に当てはまらない個人での取引の場合、消費税の納税義務は原則ありません。そのため、受け取った消費税を利益として得ることができます。しかし、短期間に金の売買を繰り返し行なっている場合には、営利目的の課税対象取引とみなされ、納税義務が発生する場合があるため注意が必要です。
もし、自身の行っている金の売買が営利目的にあたるのかどうかが不安だという方は、確定申告の前に税務署で確認しておくことをおすすめします。
法人や個人事業主の場合は納税する必要がある
法人や個人事業主の場合、消費税の納税義務が課せられています。しかし、一定条件を満たしている場合は免税となるケースもあります。
【納税免除の条件】
- 開業後2年以内
- 前々年度(2年前)の課税売上高が1,000万円以下(かつ資本金が1,000万円未満)
設立したての法人の場合、2期前の売上が存在しないため、資本金で判定することになっています。判定基準である資本金が1,000万円を超えている法人の場合、設立初年度から課税対象となりますので注意が必要です。
消費税が増税されると差額分が利益となる
消費税率が上がることで、金の買取価格が上がる場合もあります。これは、個人で金を売った際の消費税には納税義務がないため、売却時の消費税率が購入時の税率より高かった場合、より多くの利益を得られるからです。
例として、金相場1g=9,000円、インゴット300gを売買したケースで確認してみましょう。
【消費税8%で購入】
9,720円×300g=291万6,000円
【消費税10%で売却】
9,900円×300g=297万円
※分かりやすいよう金相場は固定しています
消費税8%のときに購入した金を、消費税10%で売却することで、差額5万4,000円分の利益を得ることができます。日本の消費税率は現在10%ですが、今後の税制改革によって消費税が上がる可能性も考えられます。金の売買を検討している方は消費税率が引き上げられることで利益も上がるという点は覚えておくとよいでしょう。
とはいえ、消費税率が上がっていても、金相場が下がっているタイミングでの売却ではあまり大きな利益が得られないこともあります。より高く金を売りたいなら、注目するのはやはり金相場です。相場を日々チェックし、金の売り時を逃さないようにしましょう。
海外から金を輸入した際の消費税
金は世界各国で取引にされ、インゴットや金貨に限らず、リングやネックレスなどアクセサリーとしても用いられています。そのため海外旅行に行った先で購入する機会があるかもしれません。しかし、日本へ金製品などを持ち込みする場合、免税額など規定がいくつかあるため、事前に確認しておきましょう。
4章では、海外から金を輸入した際に消費税はかかるのか、近頃急増している日本への金の密輸について解説します。
海外旅行で金製品を購入した場合は免税額に注意しよう
日本では、個人利用目的と認められた20万円以内の海外からの持ち込み(金製品などのお土産)は免税対象となるため、関税や消費税はかかりません。しかし、この規定を超えた場合には、超過分に対して課税がされるため、注意しましょう。
また、日本へ金製品を持ち込む際には規定があるため、注意が必要です。
【海外から金製品などを持ち込む際の規定】
- 金地金(純度90%以上)の重量が1kg以上となる場合は、税関への申告が必要となる
- 上記に当てはまらない場合でも、その他のお土産などの品物と合わせて20万円以上となる場合は事前に税関への申告が必要となる
無申告で入国した場合には法令違反となってしまうため、申告は忘れずに行なうようにしましょう。
日本への金の密輸が急増している背景
近年、日本への金の密輸が増加しています。その理由は、日本での金の取り引き時に発生する消費税です。日本よりも消費税のかからない国で安く購入した金を、日本で売却すれば差額分の利益を得ることができます。
また、日本で金を密輸してもリスクが少ないというのも、要因のひとつです。基本的に密輸が発覚した場合、対象の金は没収されてしまいます。いっぽう日本では、一時的に没収されますが、罰金を支払うことで金の所有権を取り戻すことができるのです。
金の密輸を行なう犯罪グループが合法だと偽り、一般の方に運び屋をさせている悪質なケースもあります。近年増加している日本への金の密輸ですが、知らないうちに法令違反をしてしまわないように自衛していくことが大切です。
消費税以外の金に関わる税金
金に関わる税金は消費税だけではありません。5章では消費税以外の金に関連する3つの税金について解説します。
所得税
一般的に、給与所得者である個人が金を売却し得た利益は、譲渡所得とされ所得税の課税対象となります。
譲渡所得には年間50万円の特別控除額があるため、金を売って得た利益が年間50万円以下である場合には課税対象とはなりません。いっぽう金を売却し、年間50万円以上の利益があった場合には、課税対象となり確定申告が必要となります。
金の保有期間が5年以内の場合は“短期譲渡所得”、5年以上の保有期間の場合は“長期譲渡所得”に区分され計算方法が異なります。税金額を求めるには、どちらの場合でも金を売って得た利益(譲渡益)を算出する必要があります。
【譲渡益の計算方法】
譲渡益 = 売却額 -(取得価格 + 売却費用)
※“取得価格”は金を購入した際の費用、”売却費用”は金を売る際に発生した手数料などを指します。
この計算で出した譲渡益をもとに、短期譲渡所得、長期譲渡所得の場合の課税対象金額を算出しましょう。それぞれ以下の計算式で求められます。
【保有期間5年以内で売却した場合】
譲渡益 + その他の譲渡益 – 特別控除50万円
【保有期間5年以上で売却した場合】
譲渡益 + その他の譲渡益 ÷2 – 特別控除50万円
※“その他の譲渡益”は株の売却をした際に得た利益を指します。
金の保有期間が5年以上の場合は、課税対象となる金額が半分に減額されるため、長く保有していた方が税額は少なくすむということです。
また、特別控除額は短期譲渡所得、長期譲渡所得を合わせて50万円となっています。そのため、保有期間が短期、長期とそれぞれ分かれている場合には、まず短期譲渡所得から特別控除額50万円を差し引きます。そして控除額が余っている場合には、長期譲渡所得から差し引くことになります。
相続税
故人の資産を相続した際に発生する相続税ですが、金もこの課税対象になります。金の場合は現金とは異なり、原則故人が亡くなった日の時価で評価されます。この時価相場にグラム数を掛けることで売却額が算出できます。
また、相続税の課税対象となるのは、相続財産の合計額が基礎控除額を超えた場合です。そのため、基礎控除額を超えていなければ、申告や納税をする必要はありません。
基礎控除額は以下の計算式で求められます。
【基礎控除額】
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
たとえば、法定相続人数が配偶者1人、子供1人の計2人として算出すると、3,600万円となります。金の時価相場に応じて算出された相続財産が、この基礎控除額3,600万円を超えると、超過した額に相続税が発生します。
贈与税
金銭の受け渡しを行わずに金を受け取ると、贈与税の課税対象となるケースがあります。贈与税では、金を受け取ったときの時価が評価基準となっています。年間110万円の基礎控除がある贈与税では、この金額を超えなければ、納税の義務はありません。
しかし、1年間に受け取った贈与額が、基礎控除額110万円を超えると、越えた額が課税対象となり暦年課税制度が適応されます。
この制度では、“特例贈与財産”と“一般贈与財産”のどちらに当てはまるかによって課税額が変わってきます。
【贈与税の区分】
- 特例贈与財産
直系尊属(父母、祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子・孫など)へ贈与する財産
- 一般贈与財産
父母や祖父母から18歳未満の未成年や孫、兄弟間や夫婦間への贈与する財産
特例贈与財産に当てはまらない全ての財産に適応されるのが、一般贈与財産です。また、特例贈与財産では一般贈与財産よりも、税率が低く設定されているため、贈与税が安くなります。
下記の記事では、所得税や贈与税についてのより詳しい解説や、金買取時の税金に関する疑問などをまとめています。ぜひこちらも併せてご覧ください。
金の売買で発生する消費税を覚えておこう
今回は金の消費税について解説しました。金の売買時に大きく関わる税金のひとつですので、仕組みを理解しておくと安心です。
また、金相場は近年、上昇傾向にあり、2023年8月には1グラム1万円を突破して過去最高値を記録しました。昔買った金がご自宅に眠っている方は、今が売りどきです!金の買取なら、ぜひ当社が運営する「ブラリバ」へお持ちください。
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