
1945年に創業してから80年近くにわたって世界中から愛されるブランド「CELINE(セリーヌ)」。歴代のデザイナーは、『エディ・スリマン』や『フィービー・ファイロ』など、ファッション界でも名の知れた人物ばかりです。セリーヌの歴史は、こうした優秀なデザイナーたちの革新的なビジョンと共に歩んできました。
本記事では、そんなブランドの歴史を築いてきたセリーヌの歴代デザイナーを一挙ご紹介します。後半では2025年からデザイナーに着任する『マイケル・ライダー』ついても解説するので、最後までご覧ください。
目次
セリーヌの歴代デザイナー一覧
着任期間 | デザイナー |
---|---|
1945年〜1997年 | セリーヌ・ヴィピアナ |
1997年〜2004年 | マイケル・コース |
2004年〜2005年 | ロベルト・メニケッティ |
2005年〜2008年 | イヴァナ・オマジック |
2008年〜2018年 | フィービー・ファイロ |
2018年〜2024年 | エディ・スリマン |
2025年〜 | マイケル・ライダー |
セリーヌは、1945年にフランス・パリで創業しました。当初は、パリの革職人の技術を活かしたオーダーメイドの子ども靴専門店としてスタートしています。それから現在に至るまで、6人のデザインディレクターによってセリーヌのブランド価値が築き上げられることになります。
本章では、セリーヌの歴史を築き上げてきた歴代のデザイナー6人について詳しく解説します。
セリーヌ・ヴィピアナ(1945年〜1997年)
『セリーヌ・ヴィピアナ』は1945年にブランドを立ち上げたセリーヌの創業者で、パリジェンヌの洗練された美意識を体現するデザインで注目を集めました。当初は子ども靴を中心に展開していましたが、その後レディースシューズやアクセサリーへと拡大。
1960年代には、エレガントで機能的なレザーグッズを発表し、セリーヌの代名詞となる洗練されたミニマリズムの基礎を築きました。特に、トリオンフ柄をあしらったバッグやアクセサリーは、ブランドのアイコンとして今も愛され続けています。ヴィピアナのデザインは、パリジェンヌの日常に寄り添いながらも、品格と洗練さを失わない、まさにフレンチシックの象徴でした。
マイケル・コース(1997年〜2004年)
1997年にセリーヌのクリエイティブディレクターに就任した『マイケル・コース』。彼の在任中に、セリーヌは現代的でミニマルなラグジュアリーブランドへと変貌を遂げます。
コースは、セリーヌの伝統的なエレガンスと実用性を保ちつつ、都会的でスポーティーなテイストを織り交ぜた新しいスタイルを展開。これによりブランドのイメージを若返らせ、特にキャリアウーマンをターゲットにしたスタイリッシュで機能的なデザインは大きな成功を収めました。
コースの代表作のひとつとしては、「パリ・マカダム」が挙げられます。これは廃版となっていたセリーヌの象徴的な「マカダム」柄を復活させ、チェーンのモチーフを加えた革新的なデザイン。デニム素材を採用し、ラグジュアリーとカジュアルを融合させたのが特徴です。
ロベルト・メニケッティ(2004年〜2005年)
JIL SANDER(ジルサンダー)からやってきた『ロベルト・メニケッティ』は、セリーヌに斬新なセクシーさをもたらしました。彼のデザインは、フェミニンでありながらも大胆で、パリジェンヌのワードローブに新たな魅力を加えました。特に印象的だったのは、ボディコンシャスなシルエットとレースの巧みな使用。メニケッティは、セリーヌの伝統的なエレガンスを保ちつつ、より若々しく、モダンな方向性を示しました。
イヴァナ・オマジック(2005年〜2008年)
PRADA(プラダ)やミュウミュウなどで経験を積んだ『イヴァナ・オマジック』は、セリーヌに知的でミニマルな美学をもたらしました。彼女のデザインは、洗練された線と素材の質感を重視し、控えめながらも存在感のある作品を生み出しました。特に注目されたのは、モノクロームのパレットを使用したコレクション。オマジックは、セリーヌの本質的なエレガンスを現代的に解釈し、ブランドの新たな一面を引き出すことに成功しました。
フィービー・ファイロ(2008年〜2018年)
『フィービー・ファイロ』の時代、セリーヌは現代的ミニマリズムの代名詞となりました。かつてChloé(クロエ)で活躍していたファイロは、ミニマリズムの概念を再定義し、知的で洗練された現代女性のためのワードローブを創造。彼女の「less is more」の哲学は、セリーヌの新たなアイデンティティとなりました。
特に、オーバーサイズのコート、ワイドパンツ、クリーンなラインのドレスなどが、ファッション界に大きな影響を与えました。また、「ラゲージ」や「トラペーズ」などのアイコニックなバッグを発表し、セリーヌを再び注目の的に。ファイロのデザインは、知的で独立した女性たちの間で熱狂的な支持を集め、「フィロフィア」と呼ばれるファンを生み出しました。
こうした業績が落ち込んでいたセリーヌを大きく前進、回復させた功績、数多くのセレブに愛されている実績から、2014年には「世界で最も影響力のある100人」のうちの一人として選出されました。セリーヌを退任する際には、退任を惜しむ声が多く、セリーヌ愛好家の中にはフィービーロスとなった人も少なくなかったよう。
エディ・スリマン(2018年〜2024年)
Dior(ディオール)やSaint Laurent(サンローラン)などで活躍した『エディ・スリマン』の就任により、セリーヌは大胆な変革を遂げます。彼のロックンロールな美学は、ブランドに新たなエッジを与えました。エディは、セリーヌの伝統的なパリジャンシックを、よりエッジの効いたロックテイストとミックスさせました。
特に、スキニーシルエットのスーツ、レザージャケット、ミニドレスなどが注目を集めています。また、「16」や「トリオンフ」などの新しいバッグラインを導入し、若い世代にも強くアピール。エディの下でセリーヌは、よりユニセックスで大胆なイメージへと進化し、ファッション界に新たな波を起こしています。
また、ブランドロゴをフランス語表記の「CÉLINE」から「CELINE」に、従来のメンズラインを「CELINE HOMME(セリーヌオム)」に名称を変更したりと、ブランドの革新を積極的に進めていきました。
2025年から「マイケル・ライダー」がクリエイティブディレクターに
2025年初頭からは、アメリカ出身のファッションデザイナー『マイケル・ライダー』が、セリーヌのクリエイティブディレクターに就任します。
2004年から2008年まではBALENCIAGA(バレンシアガ)で、ニコラ・ジェスキエールのもとシニアデザイナーとして働き、そのスキルを磨きました。その後、セリーヌに移り、『フィービー・ファイロ』の下で10年間(2008年から2018年)、デザイン・ディレクターとして活躍。この期間、ライダーはセリーヌの美学と深く関わり、ブランドの成功に貢献しました。
2018年、ライダーはRALPH LAUREN(ラルフローレン)のクリエイティブ・ディレクターに就任。約6年間にわたり、ウィメンズコレクションを手掛け、ブランドの方向性を導きました。学歴としては、ワシントンD.C.で育ち、ブラウン大学を卒業しています。
ライダーの強みは、セリーヌでの長年の経験と、他の有名ブランドでの多様な経歴です。彼のクリエイティブな才能と誠実な人柄、そしてセリーヌの伝統への深い理解が評価され、今回の起用につながりました。
2025年からは、セリーヌの全コレクション(ウィメンズウェア、メンズウェア、レザーグッズ、アクセサリー、クチュール)のクリエイティブを統括します。業界では、ライダーがエディ・スリマンの革新的なスタイルと、フィービー・ファイロ時代の伝統的なセリーヌの美学をどのように融合させ、ブランドの新たな章を切り開いていくのか、大きな期待が寄せられています。
セリーヌを形作ったデザイナーの系譜
セリーヌの歴史は、才能あふれる歴代デザイナーたちによって築かれてきました。彼らの革新的なデザインと戦略的なアプローチにより、セリーヌは機能性と洗練さを兼ね備えたラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築いています。時代とともに変化しながらも、ブランドの核となる優雅さと品質を守り続けているのです。