華やかな色合いを楽しめるエメラルドは、指輪やネックレスでも人気の石です。
幅広い世代に人気のカラーストーンですが、市場には天然石だけではなく偽物も出回っています。価値の高い「本物」を見分けるためには、いったいどこに注目すればよいのでしょうか。
エメラルドを使った指輪やネックレスの購入を検討している方に向けて、エメラルドという宝石の特徴や産地別の違い、本物と偽物の見極め方など気になる情報をお届けします。ぜひ参考にしてみてください。
目次
エメラルドとは?産地による特徴をおさらい!
エメラルドとは、澄んだ緑の色合いを楽しませてくれるカラーストーンです。
エジプトの女王『クレオパトラ』が愛した宝石としても知られています。指輪やネックレスに加工されたアイテムは現代においても非常に人気であり、華やかさや上品さをプラスしてくれます。
天然エメラルドは採掘できる地域が限られている上に、ほかの鉱物と比較すると脆いという特性があります。そのため、美しい天然石の状態で市場に出回ることは少なく、価値が高い傾向にあります。
また、天然石と同じような条件下で合成石のエメラルドを作り出す技術も確立されています。天然石と見分けるのが非常に難しいほど精巧な作りをしていますが、天然石よりも手に入りやすいぶん、価値は低くなります。
コロンビア産のエメラルド
エメラルドの産地として、世界的にも有名なのがコロンビアです。ほかの産地とは違い、柔らかく輝く美しいグリーンが特徴的です。
コロンビアには国内には複数のエメラルド鉱脈があり、それぞれで異なる特徴を持つ石が産出されています。中でもとくに品質がよいとされるのは、コロンビア政府が管理するムゾー鉱山です。
青色を含まない、純粋なエメラルドグリーンカラーを楽しめます。ムゾー産のエメラルドは、その品質のよさからブランド価値を付加されて販売されるケースも少なくないようです。
コロンビア産のエメラルドの中にはごく稀に、結晶内にオイルの流れのような痕跡が見られるものがあります。「ゴタ・デ・アセイテ(一滴のしずく)」と呼ばれる痕跡は、最高品質のエメラルドとして世界中の愛好家たちに親しまれています。
ザンビア産のエメラルド
ザンビアは1900年代からエメラルドの採掘がスタートした比較的新しい産地です。過去には、非常に大きく透明度が高い石が見つかったこともあり、コロンビアに次ぐエメラルドの産地として知られています。
そんなザンビア産エメラルドの特徴は、原石が六角柱の形ではないという点です。全体的に丸みを帯びた形状をした石が、数多く産出されています。
コロンビア産の石とは色味も異なっており、ザンビア産は青みがかった透明感のある色合いが特徴的。石の表面に濃く色が出ているのではなく、原石全体が緑色であるところもザンビア産ならではの特徴と言えるでしょう。見る人に、クールな印象を与える色合いです。
ブラジル産のエメラルド
ブラジルもまた、1960年代から本格的な採掘がスタートした比較的新しいエメラルド産地です。ブラジル産エメラルドの特徴は、産地によってさまざまな色合いが楽しめること。透明度が高く明るいものから、暗く深みのある特徴的な緑まで、多種多様なエメラルドグリーンを楽しめるでしょう。
ブラジルの中でもサンタ・テレジーニャ・デ・ゴイアス地域は、光を通すと内側に線が見える「エメラルドキャッツアイ」や星のような形が見える「スターエメラルド」の産出量が多いことで知られています。サイズ的には小粒の石が多いものの、ほかの産地にはない特徴です。
ブラジル内でもっとも優れた品質のエメラルドが採れるのは、モンテベロ鉱山とベルモント鉱山です。機械化が進んだこともあり、サイズが大きく品質もよいエメラルドが多数採掘されています。
パキスタン産のエメラルド
パキスタンもエメラルド産地のひとつです。とくに国内北部は、コロンビア産のエメラルドよりも濃い色合いの石が採掘されたとして高く注目されています。
パキスタンのエメラルド鉱脈の多くは非常に厳しい自然環境下にあり、他国のような広範囲での採掘は行われていません。一部の地域で手作業にて産出されるため、市場に出回る数もごく少数です。
1960年代にヒマラヤ山系で新たなエメラルド鉱床が発見されていますが、政府により採掘は厳しく制限されています。ほかの産地のエメラルドよりも、目にする機会が少ないでしょう。
エメラルドの本物と偽物の見分け方
エメラルドをあしらったジュエリーを購入する際に、注目したいのが天然エメラルドと人工エメラルドの違いについてです。
せっかくなら、偽物ではなく本物のエメラルドを手にしたいところです。どこに注目して見分ければよいのか、以下3つの視点を紹介します。
- インクルージョン(内抱物)
- 紫外線ライト
- 価格
インクルージョン(内包物)で見分ける
自然のなかで作られる天然のエメラルドには、多かれ少なかれ内包物が含まれます。このインクルージョンに注目することで、本物と偽物を見分けやすくなるでしょう。
たとえばコロンビア産のエメラルドには、固体と気体と液体が揃った内包物や、堆積岩の一種である黒色頁岩が見られる石が多くあります。また、ザンビア産のエメラルドは、石の内部に黒雲母が見られるものが少なくありません。
一般的には「インクルージョンがないほうがよい」と捉えられがちですが、天然のエメラルドにまったく傷がないものは存在しないと言われています。
対して、人工的に作られたエメラルドには、まったくインクルージョンが見られない綺麗すぎる石も多いです。そのため、内包物があった方が本物の可能性が高いと言えるでしょう。
ただし最近は「あえて不純物を混ぜて人工石を生成する」という手法も登場しています。内包物の有無だけでは完全に見分けられませんが、ひとつの目安として役立ててみてください。
紫外線ライトを当てて見分ける
人工的に作られたエメラルドは、紫外線ライトを当てることでも判別できる可能性があります。ライトを当てたときに、エメラルドがどのような色に見えるかで天然石か人工石かを判断します。
ライトを当てた石が「強く赤色」に光れば人工エメラルドである可能性が高くなります。天然石の場合、ライトを当てると「黄緑色になる、もしくは色が変わらない」ケースが多いでしょう。
また、暗褐色に光る場合は天然石と人工石どちらの場合も考えられます。そのほかの方法と組み合わせて判別することで、より高い精度で見極められるでしょう。
価格で見分ける
エメラルドを使った宝飾品には、驚くほど安価に販売されているものもあります。つい購入したくなってしまいますが、価格が低すぎるエメラルドには注意が必要です。
「価格が安い=簡単に手に入る」ということから、人工エメラルドやイミテーション(模倣品)である可能性も高まるでしょう。
エメラルドの偽物は、「単なる色つきガラスを宝石と偽る」「合成石の一部に天然石を貼りつける」といった手法で市場に数多く出回っています。内部に気泡が入っていたり、石の表面に貼り合わせた跡のようなものが見られたりすれば、模倣品である可能性も高まるでしょう。
価格の高さ・安さはあくまでも目安であり、一概に「○○円なら偽物」とは言い切れません。ほかの見分け方とあわせて総合的に判断することが大切です。
エメラルドの特徴を理解して偽物を調べよう!
ジュエリーとしても人気が高いエメラルドは、所有している方も多いのではないでしょうか。エメラルドには天然石と人工石があり、どちらなのかを見極めるのは非常に困難です。
そのたえ、本記事で紹介している見分け方を最低限理解したうえで総合的に判断しましょう!偽物が不安であれば、実物が見られる宝飾店にいってエメラルドを購入することがおすすめです。