チューダー(チュードル)は、ロレックスの廉価版として人気があるブランドです。ロレックスの性能を持った時計が手頃な価格で手に入るため、日本はもちろん、世界的に親しまれています。
当記事では、チューダーとはどんなブランドかを解説します。ブランドの歴史や人気モデルなど、チューダーの魅力をまとめました。ロレックスとチューダーの違いも比較しましたので、チューダーというブランドが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
チューダーとは?
チューダー(チュードル)とは、もともとロレックスのディフュージョンブランドとして誕生したブランドです。ディフュージョンブランドはハイエンドブランドの知名度アップやブランドの普及のために作られたラインで、廉価版という位置づけです。
チューダーの時計は手頃な価格でありながら、ロレックスの持つ最高峰の時計技術を惜しみなく使っています。ロレックスにそっくりのモデルもあり、時計好きの方はもちろん、時計に詳しくない方にとっても親しみやすいブランドです。
近年チューダーは独自の方向性を開拓し「ロレックスの弟分」ではなく、チューダーというひとつのブランドとして人気が高まっています。廉価版としてのイメージを覆し、より魅力的なブランドとして生まれ変わったチューダーは、再注目されている存在です。
チューダー?チュードル?どっちが正解?
チューダーというブランドを語る上で気になるのが、正式なブランド名は「チューダー」か「チュードル」かという問題です。実は、どちらも正しいブランド名です。
チューダーは「TUDOR」と書きますが、1970年代まで日本に輸入されていた際は「チュードル」の名前で展開していました。その後、国内の正規取り扱いが一旦解消され、2018年に日本再上陸した際、正式に「チューダー」という日本語表記となりました。
そのため、チューダーもチュードルも同じブランドを指すため、どちらも間違いではありません。
チューダーの歴史
チューダーは、ロレックスの創始者ハンス・ウィルスドルフ氏が1926年に設立したロレックスのディフュージョンブランドです。
当時のロレックスは最高水準の時計技術を持っていたものの、製造コストが高く一般への認知度が低いことが課題でした。
そこで、イギリスにおけるロレックスの知名度向上や販路拡大のために作られたロレックスの廉価版がチューダーです。ブランド名もイギリス王家のチューダー家にちなんで名付けられました。
ロレックスの時計技術を持ちながら、一般層でも手に取りやすい価格のチューダーはイギリスで人気を博し、ロレックスの地位や認知度も飛躍的に向上しました。
その後、ロレックスの発展とともにチューダーも進化を続け、次第にチューダー独自のファンを獲得していきます。1960年代以降はデザインの差別化も進み、2015年には待望のチューダー初の自社製ムーブメント(キャリバーMT5602)が誕生しました。
現在のチューダーは、ロレックスに匹敵する性能を持つ1つのブランドとして親しまれています。チューダーの歴史は、まさにディフュージョンブランドの成功例のひとつといえるでしょう。
チューダーローズと盾ロゴ
出典:HODINKEE
チューダーの時計には、バラと盾をモチーフにした2種類のロゴデザインがあります。バラのロゴはチューダーローズと呼ばれ、主に1970年代より前のモデルで使われています。
チューダーローズはバラの大きさにより、デカバラ、チビバラなどの愛称があります。また、盾バラと呼ばれる、盾モチーフの中に小さなバラが描かれたロゴも存在します。
出典:TUDOR
盾だけのロゴは1970年代以降のモデルで使用されており、シンプルなデザインで人気があります。
チューダーとロレックスの違い
チューダーの購入を考える上で、やはり気になるのはロレックスとの違いです。ロレックスとチューダーの違いでもっとも大きな点は価格ですが、それ以外にも素材やムーブメントなど、さまざまな違いがあります。
チューダーとロレックスの比較
チューダーのフラッグシップモデルであり、ロレックスのGMTマスターⅡとデザインが似ている、ブラックベイGMTを比較してみましょう。
チューダー ブラックベイGMT M79830RB
出典:TUDOR
価格 | ¥473,000 |
ケースサイズ | 41mm |
素材 | ステンレススチール |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5652 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 200m |
ロレックス GMTマスターⅡ 126710BLRO
出典:ROLEX
価格 | ¥1,166,000 |
ケースサイズ | 40mm |
素材 | オイスタースチール |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー 3285 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 100m |
見た目はほぼ同じ2つの時計ですが、価格差は2倍以上です。
パワーリザーブはどちらも約70時間、防水性能に関してはチューダーの方が上ですが、使用されている素材とムーブメント、細かなデザインのこだわりなどはロレックスの方が優れています。
素材の違い
チューダーに使用されているステンレススチールは316L系とよばれる素材です。これはいわゆるサージカルステンレスのことで、医療用器具やアクセサリーによく使われる一般的なステンレス素材です。
一方、ロレックスで使用されているのはオイスタースチールというロレックス独自の素材です。これは904L系のステンレス素材に属し、航空宇宙やハイテク産業で使われる素材と同様の耐蝕性や耐久性を持っています。
ムーブメントの違い
チューダーがロレックスの廉価版と言われ続けた理由のひとつが、ムーブメントの違いです。
チューダーは、2015年に自社製ムーブメントを開発するまではETA社製の汎用ムーブメントを使用し、大幅なコスト削減を実現してきました。
この汎用ムーブメントはオメガやパネライ、タグホイヤーなどの高級時計ブランドでも使用されており、性能面では十分優秀です。
しかし、2015年以降のチューダーは自社製ムーブメントを搭載し、価格は抑えつつも精度は大幅に向上しています。高精度である証明となるクロノメーターも取得しており、ロレックスのムーブメントに匹敵する性能を持っています。
それに対して、ロレックスのムーブメントは、チューダーのさらに上をいく高精度と堅牢性が自慢です。ロレックスの時計に使われている自社製ムーブメントは、ほとんどの部品にロジウムメッキが施され、サビや腐食を防ぐ工夫がされています。
また、時計の精度を左右するヒゲゼンマイも、チューダーはシリコン製ヒゲゼンマイを使用していますが、ロレックスはパラクロム製ヒゲゼンマイです。シリコン製でも十分な精度がありますが、パラクロム製にすることで、より安定した精度が得られます。
コスパならチューダー、クオリティならロレックス
ハイクオリティながらお手頃な価格な時計が欲しい方はチューダー、価格は高くても細部までこだわった時計が欲しい方はロレックスがおすすめです。
チューダーはロレックスの廉価版というイメージが根強いですが、現在のチューダーは、ロレックスの技術をベースに独自の進化を遂げています。
チューダーは自社製ムーブメントの開発により、性能面ではロレックスの時計に近いクオリティを手に入れました。そのため、価格に対するコストパフォーマンスで考えれば、チューダーは非常に優秀です。
それに対して、ロレックスの魅力は、世界最高峰の時計メーカーとして、素材や小さな部品のひとつひとつまでこだわり抜いているところです。製品としてのクオリティで考えれば、ロレックスはやはり素晴らしい時計といえるでしょう。チューダーとの価格差も、細かい部分へのこだわりの違いです。
チューダーの人気モデル6選
ここでは、チューダーの人気モデルを5つ紹介します。
ブラックベイM79230N-0009
出典:TUDOR
価格 | ¥443,300 |
ケースサイズ | 41mm |
素材 | ステンレススチール |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5602 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 200m |
チューダーのフラッグシップモデルともいえる、代表的な1本です。極めてシンプルなデザインはスーツはもちろん、どんなスタイルにもマッチします。自社製ムーブメントを搭載し、クロノメーター取得、パワーリザーブは約70時間と性能も抜群です。
ブラックベイクロノM79360N-0002
出典:TUDOR
価格 | ¥605,000 |
ケースサイズ | 41mm |
素材 | ステンレススチール |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5813 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 200m |
1970年代に登場したオイスターデイトというモデルを現代風にアレンジしたモデルです。1970年代のヴィンテージ感を漂わせたデザインが魅力ですが、自社製ムーブメントを搭載し、最新の機能を備えています。
ブラックベイGMT M79830RB
出典:TUDOR
価格 | ¥473,000 |
ケースサイズ | 41mm |
素材 | ステンレススチール |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5652 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 200m |
チューダーの時計の中でも特に人気が高いモデルです。肉厚で存在感のあるケースが特徴ですが、リューズガードが無いためスッキリとした印象です。ドーム型のクリスタルガラスとリベット風ブレスなど、細かい部分へのこだわりが、ヴィンテージテイストを感じさせるデザインとなっています。
ペラゴスM25600TB
出典:TUDOR
価格 | ¥539,000 |
ケースサイズ | 42mm |
素材 | ステンレススチール・チタニウム |
ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5612 (COSC) |
パワーリザーブ | 約70時間 |
防水 | 500m |
1970年代の軍用時計をベースに作られた高性能のダイバーズウォッチです。フランス海軍の特殊部隊との共同開発により作られたこの時計は、500mもの防水性能を誇ります。
チタニウム製のブレスレットには特許取得の自動調整可能スプリングが搭載されており、ダイビング中でもブレスレットの自動調整が可能です。デザイン性と機能性を兼ね備えた、チューダーの究極の実用時計といえるでしょう。
チューダーロイヤル M28600-0006
出典:TUDOR
価格 | ¥341,000 |
ケースサイズ | 41mm |
素材 | ステンレススチール |
ムーブメント | 機械式自動巻ムーブメント、キャリバー T603 |
パワーリザーブ | 約38時間 |
防水 | 100m |
2020年に登場した、チューダーの新定番モデルです。ダイヤモンドがセットされた高級感のあるデザインですが、派手すぎないシンプルなスタイルが魅力です。チューダーの他のモデルよりわずかに小さい38mmケースは、日本人の手首に馴染みやすいサイズです。
ムーブメントはセリタ社の汎用ムーブメントをベースにしていますが、その分価格が抑えられている点も人気の理由です。
チューダーのオーバーホールについて
チューダーの時計は、ロレックスや他の高級時計メーカーと同様に、定期的なオーバーホールが必要です。オーバーホールを行うことで、精度の維持と外観の美しさを保つことができます。
チューダーのオーバーホールは、ロレックスのサービスセンターで行われます。
オーバーホール後には、2年間の国際サービス保証書が発行され、正規のオーバーホールを受けた時計であることが証明されます。
オーバーホールの受付は、全国にあるチューダーの正規店のほか、ロレックスの正規店でも可能です。
チューダーは独自の魅力を持った人気ブランド
チューダーは、ロレックスの卓越した時計製造技術と手に取りやすい価格を両立させた、コストパフォーマンスのよいブランドです。ロレックスの人気モデルが購入制限で手に入りにくくなっている今、チューダーの人気もじわじわと上昇しています。
中古市場でもチューダーの人気は安定しており、買取需要も高いです。お手元にチューダーの時計をお持ちの方は、一度現在の価値を確かめてみてはいかがでしょうか。