スイスの高級老舗時計ブランド「オーデマピゲ」。ロレックスやオメガと並ぶほど高額ですが、これらのブランドと比べると一般的な知名度はすこし低めです。
この記事では、オーデマピゲがどんなブランドか知りたいという方のために、ブランドの特徴や歴史、現行モデルを紹介していきます。ぜひご参考になさってください。
目次
知っておきたいオーデマピゲの2つの特徴
皆さんはオーデマピゲについてどのような印象をお持ちでしょうか。最近では人気YouTuberの『ヒカキン』さんが2,000万円の高級モデルを購入したことで、日本での知名度がすこし上昇しましたが、ブランド名すら知らないという方も多くいるのではないでしょうか?
オーデマピゲを知る上で、必ずおさえておきたいポイントは以下2点あります。
- 世界三大時計ブランドのひとつ
- デカ厚時計ブームの火付け役
それぞれ詳細に解説していきます。
世界三大時計ブランドのひとつ
世界三大時計ブランドとは、長い歴史と高い格式を備えているスイス発の高級ブランドを指します。該当するのは以下のブランドです。
【世界三大時計ブランド】
- パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)
- ヴァシュロン コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)
- オーデマピゲ(AUDEMARS PIGUET)
これらのブランドは、時計業界における歴史と功績がほかのブランドと一線を画すことから、雲上(うんじょう)ブランドとも呼ばれています。
なお、有名ブランドであるロレックスがここに名を連ねないのは、歴史の浅さと高級感の差が理由です。
ヴァシュロン コンスタンタンが18世紀創業、パテック フィリップとオーデマピゲが19世紀創業なのに対し、ロレックスの創業は20世紀初頭。世界三大時計ブランドは、まだ腕時計が一般的でなかった時代から、時計機構の開発と刷新をずっと行ってきたのです。
また、パテック フィリップやヴァシュロン コンスタンタンは古くから王族・貴族を顧客とし、高級品しか製造してきませんでした。それはオーデマピゲも同様で、ロレックスのように大衆向けの廉価版モデルを販売したことはありません。
デカ厚時計ブームの火付け役
1970年頃まで、高級時計といえばサイズが小さくゴールド製のものが基本で、パテック フィリップの小ぶりな時計「カラトラバ」が人気でした。
【カラトラバ】
1972年、オーデマピゲは高級時計として世界ではじめて「ケース径39mmもの大サイズ+ステンレススティール製」という大胆なモデルを発表します。これが現在もオーデマピゲの顔となっている時計「ロイヤルオーク」です。
ロイヤルオークは耐水性能が高く、スポーツウォッチとしても優れていたので、世界中で話題となりました。その後もオーデマピゲは大きく厚みのある高級時計を作り続け、デカ厚時計ブームの火付け役になります。初代ロイヤルオーク製作に至るまでの経緯は、のちの2章にて詳しく紹介しますね。
ここまで、オーデマピゲの2つの特徴を解説してきました。次の章では、ブランドが歩んできた歴史について紹介していきます。
オーデマピゲが歩んできた歴史
1章では、知っておくべきオーデマピゲの特徴について解説しました。ここからは、ブランド創業から現在に至るまでの歴史をご紹介していきます。
はじまりはスイスの小さな町から
オーデマピゲの歴史は、スイスのジュウ渓谷にあるル・ブラッシュという小さな町からはじまります。時計職人として修行を積んでいた『ジュール=ルイ・オーデマ』(当時22歳)は、1875年に故郷であるこの町で時計工房を開きました。
彼は時計職人として卓越した技術を持っていたため、すぐにさまざまなメーカーから時計の内部機構製作を依頼されるようになります。ひとりでは捌ききれないほどの仕事量になり、オーデマは友人のひとりに手伝ってくれないかと声をかけました。この友人が『エドワール=オーギュスト・ピゲ』です。
出典:AUDEMARS PIGUET
【左がオーデマ、右がピゲ】
ピゲはオーデマから職人技術を学び、精巧な時計を作れるようになりました。次第に自分のブランドを持ちたいと思いはじめたピゲは、オーデマにブランド設立の話を持ちかけます。こうして、1882年にふたりのブランド「オーデマピゲ」が創設されたのです。
ピゲが営業・販売に努め、オーデマがムーブメントの開発に専念していくうちに、オーデマピゲは知名度をどんどん上げていき、1888年にはロンドンやパリ、ニューヨーク、ベルリン、ブエノスアイレスに代理店を開設するほどになりました。
世界初!ミニッツリピーター搭載の腕時計
19世紀当時は持ち運び用の時計といえばまだ懐中時計が主流でしたが、オーデマは1892年に世界初となるミニッツリピーター搭載の腕時計を開発しました。
ミニッツリピーターとは?
音で時刻を知らせてくれる時計機構のこと。時刻を知りたいときにレバーやボタンを押すと、内部のハンマーが鐘を叩き、その音の回数で時刻がわかる仕組みになっている。照明技術が未発達な時代に、暗闇の中でも時間がわかるよう考案された。
そのユニークな仕組みは、現代でも多くの時計愛好家に愛されている。
ミニッツリピーター腕時計の登場はニュースとなり、オーデマピゲは1907年にアメリカの富豪『ジョン・シェーファー』から注文を受け、彼専用のモデルを製作しました。文字盤の数字を“JOHN SHAEFFER”の文字に置き換え、金とプラチナのコンビケースにミニッツリピーター機構をおさめました。
【ジョン・シェーファー・ミニッツリピーター】
出典:Web Chronos
世界一薄い懐中時計の開発
やがて年老いたオーデマとピゲは時計製作の前線から退き、息子の『ポール=ルイ・オーデマ』と『ポール=エドワール・ピゲ』に跡を継がせます。
出典:AUDEMARS PIGUET
【左がポール・オーデマ、右がポール・ピゲ】
当時は小さく厚みのない時計が流行していたため、1921年にふたりは世界でもっとも薄い懐中時計(厚さわずか1.32mm)を開発し、世界中から注目を集めました。
ですが、彼らはそれだけでは満足せず、1938年には腕時計の内部に搭載する手巻き式ムーブメントを厚さ1.64mmまで薄くすることに成功。さらに、1950年には超小型のコンプリケーション機構(複雑機構)を開発しました。
ついに代表作であるロイヤルオーク誕生
腕時計が大衆にまで普及していた1969年、「クォーツショック」が起こり、時計業界に激震が走りました。
クォーツショックとは?
日本の時計ブランド「セイコー」が、電池で動く「クォーツ腕時計」を開発したことにより、世界中に衝撃を与えた出来事。それまでの腕時計といえば、ゼンマイで動く「機械式」が当たり前で、腕の立つ時計職人が機械式機構を作る必要がありました。
しかし、クォーツ腕時計は電池で簡単に動くため、機械式機構が不要で、時計を安く大量生産できるようになりました。
クォーツ腕時計という最新技術の登場により、多くの企業は時計職人がいなくても簡単に安い時計を作れるようになってしまい、スイス時計業界は苦しい状況に陥ります。
オーデマピゲも売上が激減し、クォーツ腕時計への対抗策を模索していました。そんな折り、当時オーデマピゲの最高責任者だった『ジョルジュ・ゴレイ』が、デザイナーの『ジェラルド・ジェンタ』に「これまでにないデザインの時計を作れないか」と依頼したところ提案されたのがあのロイヤルオークです。
【初代ロイヤルオーク】
“高級時計は小型で金無垢製であるべき”という常識を打ち破ったロイヤルオークは、その斬新さとデザイン性の高さから世界中で話題となりました。
ちなみに、ロイヤルオークという名前は、20世紀前半に活躍したイギリスの戦艦「ロイヤル・オーク号」が由来となっています。印象的な八角形のベゼルは、戦艦の船窓をイメージしてデザインされました。
現在も技術革新を続けるオーデマピゲ
人気作であるロイヤルオークの誕生後も慢心せず、技術革新を怠らないのがオーデマピゲの強みです。
1978年にはムーブメント「キャリバー2120」を搭載したパーペチュアルカレンダー機能つきの時計を発表。時計の厚みはわずか7.8mmと、当時としては異例の薄さでした。また、1986年には世界ではじめて、複雑機構「トゥールビヨン」を腕時計へ搭載することに成功します。
オーデマピゲの新しい挑戦は現在も続いており、2006年には潤滑油が必要ない新機構「APエスケープメント」を、2007年には今までにない軽さと硬さが魅力のケース部分素材「フォージドカーボン」を開発しました。
ここまで、ブランド設立から現在に至るまでの歴史を解説してきました。続いて、次の章では、オーデマピゲの代表作であるロイヤルオークの現行モデルをご紹介していきます。
ロイヤルオークの現行シリーズ3選
ここからはオーデマピゲの定番コレクションであるロイヤルオークについてご紹介します。ロイヤルオークは、おもに以下の3シリーズを中心に展開されています。
アイコニックな「ロイヤルオーク」
- よりスポーティな「ロイヤルオーク オフショア」
- テクニカルな「ロイヤルオーク コンセプト」
それでは、上記3シリーズから現行モデルをいくつかピックアップしてご紹介します!
ブランドの顔であるロイヤルオーク
前述したように、ロイヤルオークは初期から製造され続けている代表的なシリーズです。文字盤にはギヨシェ彫りのタペストリー模様が採用されており、エレガントな雰囲気を醸し出しています。価格帯は300万円~1千万円台と非常に幅広く、普段使い用に買う方もいれば、あくまで鑑賞用に買う方もいらっしゃいます。
ロイヤルオーク Ref.15450SR.OO.1256SR.01
定価 | ¥3,410,000 |
---|---|
ケースサイズ | 37mm |
素材 | ステンレススティール、18Kピンクゴールド |
防水性 | 50m |
パワーリザーブ | 60時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
2016年に発売されたユニセックスモデルです。オーデマピゲのような海外ブランドの時計はケースサイズが大きく、日本人男性の細い腕には合わない場合も多いですが、こちらは37mmと小さめなので細身の男性でも使いやすくなっています。ロイヤルオークの中では比較的安価で、300万円台で購入できます。
ロイヤルオーク Ref.26574OR.OO.1220OR.03
定価 | ¥12,540,000 |
---|---|
ケースサイズ | 41mm |
素材18Kピンクゴールド | |
防水性 | 20m |
パワーリザーブ | 40時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
2021年に発売された比較的新しいモデルで、価格が1千万円超えと、ロイヤルオークの中でも非常にラグジュアリーなウォッチとなっています。カレンダー機能がついており、文字盤で日付と曜日を確認することができます。
より大胆でスポーティなロイヤルオーク オフショア
ロイヤルオーク オフショアは、専属デザイナー『エマニュエル・ギュエ』によって1992年に考案されたシリーズです。元祖ロイヤルオークのデザインをベースに、大きなベゼルとラバーベルトを採用することで、より男性的でスポーティなデザインとなっています。
通常モデルの価格帯は300万円〜500万円台。生産数の少ない限定モデルに関しては、800万円以上するものもあります。
ロイヤルオーク オフショア Ref.26470ST.OO.A030CA.01
定価 | ¥3,630,000 |
---|---|
ケースサイズ | 42mm |
素材 | ステンレススティール、ブルーラバーストラップ |
防水性 | 100m |
パワーリザーブ | 50時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
2018年に発売されたモデルで、ロイヤルオーク オフショアとしては初めてブルーセラミック製のプッシュボタンとネジ込み式リューズを採用しました。
ケース厚が14.6mmとかなり分厚いので好みは分かれますが、存在感のある時計を着けたい方にとってはぴったりなモデルです。
ロイヤルオーク オフショア Ref.26238ST.OO.2000ST.01
定価 | ¥5,610,000 |
---|---|
ケースサイズ | 42mm |
素材 | ステンレススティール |
防水性 | 100m |
パワーリザーブ | 70時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
2021年に発売されたモデルで、ブレスレット部分が交換可能な作りとなっており、自由にカスタマイズができます。風防には反射防止加工が施されたサファイアクリスタルガラスが使用され、文字盤の視認性が高くなっています。ケース厚は15.3mmと非常に堅牢なモデルです。
なお、同時に発売された、よく似たデザインのRef.26238TI.OO.2000TI.01は、文字盤が黒色のチタン素材でできています。
テクニカルで超高級なロイヤルオーク コンセプト
ロイヤルオーク コンセプトは、2002年に発表されたロイヤルオークの新シリーズです。オーデマピゲが誇る最新技術とハイテク素材を披露するシリーズで、価格帯は2000万〜4000万円と非常に高額となっています。
ロイヤルオーク コンセプト Ref.26589IO.OO.D030CA.01
定価 | 店舗要問合せ |
---|---|
ケースサイズ | 44mm |
素材 | チタン、ブルーラバーストラップ |
防水性 | 100m |
パワーリザーブ | 237時間 |
ケースにはサンドブラスト仕上げのチタン、ベゼルにはグレーセラミックを使用し、高い耐久性を実現。内部にはフライングトゥールビヨンが搭載されています。
また、文字盤の3時の位置にはセカンドタイムゾーンインジケーター、6時の位置にはリューズの動力残量を示すインジケーターがついており、オーデマピゲの飽くなき探究心が表れている一品です。
※フライングトゥールビヨン…通常のトゥールビヨンと異なり、支えとなるブリッジがないトゥールビヨンのこと。時計の中でトゥールビヨンが浮いているように見えるという視覚的効果がある。
ロイヤルオーク コンセプト Ref.26227BC.SS.D314CR.01
定価 | 店舗要問合せ |
---|---|
ケースサイズ | 38.5mm |
素材 | 18Kホワイトゴールド、ブルーサファイア、アリゲーターストラップ |
防水性 | 20m |
パワーリザーブ | 77時間 |
高級素材を贅沢に使用したラグジュアリーなモデルです。表面にセッティングされているブリリアントカット・サファイアは全部で468粒。また、アリゲーター素材のストラップは手作業で縫われています。こちらのモデルもフライングトゥールビヨンが搭載されています。
ここまで、ロイヤルオークの現行モデルを紹介してきました。次の章では、ロイヤルオークとともにオーデマピゲの人気を支えているコレクションをご紹介します。
オーデマピゲの最新注目モデル3選
オーデマピゲにはロイヤルオークのほかに「CODE11.59バイ オーデマピゲ」というコレクションがあります。
こちらは2019年に発表された最新コレクションで、ブランドの伝統を感じさせるクラシカルなデザインと最新技術の搭載をテーマとしています。価格帯は300万〜800万円ほど。
ここでは、CODE11.59コレクションの中でとくに注目されているモデルを3つご紹介します。
クラシカルなRef.26393NR.OO.A002KB.01
定価 | ¥6,380,000 |
---|---|
ケースサイズ | 41mm |
素材 | 18Kピンクゴールド、ラバー加工ストラップ |
防水性 | 30m |
パワーリザーブ | 70時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
黒い文字盤とストラップにピンクゴールドの金属が映える、シックなデザインのモデルです。文字盤はスモークグレーからブラックへと緩やかにグラデーションがかっており、縦に薄く線が入ったヘアライン仕上げとなっています。
夜空のような色味のRef.15210BC.OO.A002KB.01
定価 | ¥4,290,000 |
---|---|
ケースサイズ | 41mm |
素材 | 18Kホワイトゴールド、ラバー加工ストラップ |
防水性 | 30m |
パワーリザーブ | 70時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
無駄な装飾を一切はぶいたシンプルなデザインの時計です。文字盤にはスモークブルーラッカーを使用し、「サンバースト模様」という放射線状に走るラインを表現しています。
銀白色が美しいRef.26393CR.OO.A008KB.01
定価 | ¥6,710,000 |
---|---|
ケースサイズ | 41mm |
素材 | 18Kホワイトゴールド、18Kピンクゴールド、ラバー加工ストラップ |
防水性 | 30m |
パワーリザーブ | 70時間 |
※上記は2023年2月現在の定価です。
ホワイトゴールドのケースとグレーの文字盤・ストラップに、ピンクゴールドが差し色になっている印象的なモデルです。サイズは大きめですがユニセックスモデルとして作られており、女性にもよく似合うカラーです。
ここまで、CODE11.59の中で話題になっているモデルをご紹介しました。CODE11.59はまだ登場してから間もないコレクションですが、今後オーデマピゲの主要コレクションとしてぐんぐん人気を伸ばしていくことと思います。
オーデマピゲは技術力とデザイン性に優れた高級時計ブランド
この記事では、スイスの時計ブランド「オーデマピゲ」の特徴や歴史、現行モデルをご紹介しました。オーデマピゲがどんなブランドか知りたいと思っていた方にとって、すこしでも参考になれば幸いです。
なお、弊社が運営するブランド買取店「ブラリバ」では、オーデマピゲの時計を強化買取しております。もしお手元に使わなくなった時計がございましたら、ブラリバまでお気軽にお問い合わせください!