HERMES(エルメス)は、バッグに財布、腕時計など、皮を使ったアイテムを多数展開しています。これらのアイテムには数字や記号が刻印されており、実際に目にしたことがある方も多いでしょう。
本記事では、そんなエルメスの刻印の意味や見方、年代別の違いなどについて、わかりやすく解説します。エルメスについての理解を深めるためにも、ぜひ注目してみてください。
目次
エルメスの刻印の意味
エルメスでは、いつどこで誰が作ったアイテムなのかがわかる「刻印」が各アイテムに記されています。刻印の表記方法や並び順は年代によって異なり、刻印が示す内容の詳細は公式では公開されていません。
とくにアトリエの場所と職人については店頭のスタッフですら把握していないそうで、店頭で直接問い合わせても教えてもらえないことがほとんどだそうです。
【年代別】エルメス 刻印の特徴
出典:BAGRELIGION
先述のとおり、エルメス製品に記された刻印のなかでアトリエの場所と職人における情報を特定するのは非常に難しいです。その中で製造年は、比較的判別がつきやすいとされています。
アルファベットにより判別されているため、手もとのアイテムがいつ製造されたものなのか、ぜひチェックしてみてください。それぞれの年の記号について、以下で詳しくご紹介します。
1964年〜1970年の刻印
エルメスのアイテムで刻印が確認されているもっとも古いアイテムは、1964年製のものです。このときに使われたのは、アルファベットの「T」という刻印でした。以降1970年の「Z」まで、年を追うごとにアルファベットもひとつずつ進められていきます。
この年代の特徴は「アルファベットに囲いがない」点ですが、2015年以降の刻印も囲いなしのデザインとなっているため、間違えないようご注意ください。
1971年〜1996年の刻印
1971年からは、アルファベットが「A」へと戻ります。以降1996年まで、先ほどと同様に毎年アルファベットが変わっていきます。
この年代の記号の特徴は「アルファベットが丸で囲まれている」点です。1964年と1990年は同じ「T」が使われていますが、丸の囲みがあるかどうかで判別ができます。
1997年〜2014年の刻印
1997年からはまたアルファベットが「A」へと戻り、アルファベットが四角で囲まれるようになります。この四角で囲まれたアルファベットは、2014年の「R」まで続きました。
2015年〜2024年の刻印
2015年からは、それまでとは異なるルールでアルファベットが使われています。また1964~1970年と同様に、アルファベット周囲の囲みがなくなった点も特徴的といえるでしょう。2015~2024年までのアルファベット一覧は以下のとおりです。
2015年 | T |
---|---|
2016年 | X |
2017年 | A |
2018年 | C |
2019年 | D |
2020年 | Y |
2021年 | Z |
2022年 | U |
2023年 | B |
2024年 | W |
素材ごとに異なるエルメスの刻印
エルメスの刻印には、製品に使われている皮の種類に関する情報も含まれています。エルメスのアイテムに使われる皮はどれも一級品ですが、具体的にどのレザーなのか、一目で判別できる人は少ないでしょう。
そんなときも刻印に注目すれば、素材の種類を見極めることが可能です。エルメスのロゴ付近にさりげなく記された刻印の種類に、ぜひ注目してみてください。
クロコダイル ポロサス
クロコダイル ポロサスとは、体調1メートルほどの小さなワニの腹部を使用した素材です。素材自体が非常にレアで、エルメスが扱う素材のなかでも最高級品として知られています。そんなクロコダイル ポロサスは、三角のような山形の「カラット(^)」の刻印で示されています。
クロコダイル ニロティカス
同じワニ革でも、クロコダイル ニロティカスはポロサスよりも大型のワニからとれる素材です。ニロティカスは「ナイル川」を意味しています。ブランドロゴの横部分にある「ダブルドット(..)」がニロティカスの刻印となっています。ポロサスよりもマットな質感で、落ち着いた雰囲気を醸し出す素材です。
アリゲーター
アリゲーターは、北アメリカに生息するワニの一種です。同じワニ革でも、クロコダイルと比較して斑目が大きいのが特徴のひとつ。穿孔と呼ばれる小さなくぼみがないため、肌触りのよさも魅力的です。生産までに時間がかかるため、希少価値が高い素材でもあります。そんなアリゲーターを示す刻印は、ロゴ横にある「スクエア(□)」です。
リザード
リザードは東南アジアを原産とするトカゲの革です。きめ細やかな革目が、見る人に上品な印象を与えるでしょう。また独特の光沢が楽しめるのも、リザードならではの特徴です。そんなリザードを表す刻印は、ロゴ横にあしらわれている「ダッシュ(―)」です。
そのほかの刻印
このほかにも、エルメスのアイテムに施された刻印にはさまざまな意味があります。
スターマーク
流れ星のような刻印は、エルメスの職人が個人で使用するアイテムに入れるものです。市場で目にする機会はほとんどないでしょう。
スペシャルオーダー
エルメスらしい馬蹄の刻印は、スペシャルオーダーによりカスタムされた製品を示すサイン。こちらもレア度の高い刻印です。
ソルド品
ブランドロゴ付近に施された「S」の刻印は、セール品を示すものです。従業員割引を含め、割引価格で提供されたアイテムを意味しています。
刻印の場所はどこ?
エルメスの刻印ですが「そもそもどこにあるのか」と疑問を抱く方もいるでしょう。刻印の場所は、製品の種類によって異なります。それぞれの特徴を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
バーキン
エルメスを代表するバッグ「バーキン」の刻印位置は、製造年代によって違いがあります。2015年以降に作られたバッグでは、正面から見て左側のベルト内側に刻印が施されていますが、2014年以前のモデルでは正面にあるクロアベルトの裏にあります。
ケリー
繊細で美しいフォルムが魅力的な「ケリー」。女性たちにとって、永遠の憧れともいえる特別なバッグです。そんなケリーの刻印は、バーキンとほぼ同じ場所にあります。正面から見てバッグ左側のベルト内側をチェックしてみてください。製造年が2015年よりも前の場合も、バーキンと同様に正面のクロアベルトの裏側に刻印を確認してみましょう。
リンディ
その個性的なフォルムで人気の「リンディ」は、デザインの要ともいえる「留め具ベルトの裏側」に刻印が施されています。「リンディミニ」の場合は場所が異なり、バッグ内側のサイドポケット内です。リンディミニの刻印は見つかりにくい場所にあるため、注意深く探すといいでしょう。
ピコタン
エルメスのなかでも日常使いしやすいバッグとして注目の「ピコタン/ピコタンロック」。刻印は、バッグ内側のメルトを通すための金具近くにあります。比較的見つけやすいところに施されているので、見つけるのにあまり時間をかけることはないでしょう。
ボリード
シンプルなデザインでどのようなファッションにも合わせやすく、丸みのあるかわいらしいフォルムで女性らしさを演出できるのが「ボリード」の魅力です。ファスナーの端部分に取りつけられたタブの裏側に刻印が施されています。
アザップ ロング シルクイン
美しいフォルムとほどよい質感が楽しめる「アザップ ロング シルクイン」。エルメスの財布のなかでも、比較的購入しやすい価格帯も魅力です。刻印は、小銭入れ部分についているレザータブの裏側に見られます。オールレザーの場合、内側のブランドロゴ下付近をチェックしてみましょう。
ベアンスフレ
エルメスの伝統的な財布「ベアン」に、1cmほどのマチを持たせたのが「ベアンスフレ」です。高級感を味わえるとともに、高い収納力を持つ財布でもあります。そんな「ベアンスフレ」の刻印は、コインケース裏側の収納ポケットの奥部分にあります。見つけにくいため注意しましょう。財布を傷めないよう注意しつつ、しっかりと広げて確認してみてください。
刻印がないものは偽物?
手もとのエルメスアイテムに刻印が見つからなければ、「もしかして偽物なのか」と焦ってしまう方も多いでしょう。
エルメスの場合、レザーアイテムであれば基本的には刻印があります。しかし刻印は職人がひとつひとつ手作業で入れているもので、刻印を確認しづらいアイテムもあれば、刻印自体がないものも少なからず存在します。
刻印がないからと、即偽物と判断するのは難しいでしょう。本物かどうか不安を感じた場合は、専門知識を有する人に真贋鑑定してもらうのがおすすめです。
購入前にエルメスの刻印について学んでおこう
エルメスの革製品に刻まれた刻印は、私たちにさまざまな情報を与えてくれています。意味を知らないまま見逃してしまう方も多いですが、刻印が示す内容に注目してみれば、新たな発見にもつながるでしょう。購入前に適切な知識を身につけておけば、自分にぴったりなアイテムを選ぶためのヒントとしても活用できます。
エルメスのアイテムについてより深く知るためや、偽物を避けたいと思ったときにも、ぜひ注目してみてください。