
プラチナはアクセサリーや工業用、医療用など、さまざまな顔を持っています。
そんな多方面の用途があるプラチナですが、投資にも優れていることはご存知でしょうか?
そこで今回は、プラチナ投資の特徴や知っておきたい情報をお伝えしていきます。プラチナ投資に興味を持ち始めた方や、これからプラチナ投資を始めてみたいという方はぜひご参考になさってください。
目次
1 プラチナ投資は大きく分けて2つ
まずはプラチナ投資の購入形態についてお伝えしていきます。
どの投資でも同じことですが、プラチナ投資は大きく分けて長期と短期の2種類あります。
近年、非課税期間が20年であることから長期間の資産形成として注目を浴びている「積立NISA」をご存知でしょうか。
これは、積み立て貯金のようなイメージで毎月定額の支払いをし、少しずつ株券を購入していくことが出来ます。プラチナでも積立NISAのような長期間の運用をすることができます。
一方短期投資としても購入することは可能です。金のインゴットのように現物を買って、相場が上がったタイミングで売却します。期間としては1年未満のイメージ。
今回はこの長期投資と短期投資についてご説明させていただきます。
1-1 長期運用は少しづつ積み立てていくことができる
プラチナは稀少価値が高いこともあって、多くの方が長期運用をしています。定額払いで投資ができるので、貯金感覚で投資できます。
長期運用のメリットは大きなマイナスにならないこと。ローリスク・ローリターンなので「かなり儲けたい!」という人よりも「確実性が高い投資をしたい」というタイプの人が向いています。大きな儲けはないものの、大幅マイナスにもならないのが積み立て購入の特徴です。
1-2 短期運用ならインゴット買いがイチバン!
短期運用のメリットは、最短即日で価格が動くので利益獲得重視の方に向いている運用方法になります。ただ、プラチナの現物投資は基本的にインゴット買いとなるので、1g当たり約3~4,000円×100gで最低でも300,000円くらい用意が必要です。
資産家はキロバーといわれる1kgのインゴットで取引しているので、儲かったときの差額がかなり大きくなります。100gと1kgでは金額も10倍以上変わってくるため、この重さが大きければ大きいほど短期投資はメリットが大きくなっていきます。
長期運用と比べて短期運用はハイリスク・ハイリターンなので、短期間で結果を出すにはとてもピッタリです。ただ、その値動きを常に確認しておかなければならないので、注意が必要です。
なお、短期投資でプラチナを購入しても、貴金属の価値がゼロになることはほぼありません。もし、下落してしまっても売らずに取っておいて、長期的に保有しておく方法もあります。なので、短期から長期への切り替えを柔軟に行うのが一番の運用方法かもしれませんね。
2 プラチナは投資向き?特徴について解説
2章ではプラチナの特徴についてお伝えさせていただきます。
プラチナは、景気が読める人はかなり得意な投資アイテムとなりますので、特徴を掴むことで値動きを読み取ることができます。
それではプラチナが持つ特徴を解説していきます。
2-1 通貨としての性質は弱いため景気動向には敏感
プラチナは、貴金属としては珍しく景気にとても敏感です。
ここでは金と比較してご説明させていただきます。
通貨としての比較
金は古来より通貨の一つとして流通していました。現在でも全世界共通で価値を持つものとして認識されています。
日本で購入した金をアメリカや中国などの海外で売っても、同じ価値で買い取ってもらうことができるので、世界一信頼が高い通貨に代わるアイテムといえます。
しかし、プラチナは金と比べ相場の上がり下がりが激しいアイテムで通貨としては向いていません。全世界共通の相場はありますが、日々の相場運動が激しいプラチナを通貨として認識している国はかなり少ないのです。“金貨”は多くても“プラチナ貨”がほぼないに等しいのはこれが理由です。
相場動向を比較
金とプラチナは相場の動きが全く逆といっても過言ではありません。
両方とも景気に敏感ではありますが、金は投資アイテムとして確立していることもあり、プラチナほど大きく動くことはありません。投資の見極めポイントとして、以下を覚えておきましょう。
・プラチナは好景気に相場があがる
まずは金について説明していきます。
金は先述の通り、通貨としての価値があります。
不景気になると「自国の通貨価値が下がるのではないか?」という不安から金の購入に走る人が多くいらっしゃいます。
ただし、金は景気にそこまで左右されることはありません。一番影響するのは投資家の動きですので、正確に察知することはほぼ不可能といえます。なので、「世界的に景気が落ち込んでいるな」と感じたら金相場は上がるというようなイメージを持つといいでしょう。
続いてはプラチナについてご説明させていただきます。
プラチナは金とは真逆で、好景気であれば相場が上がる傾向にあります。
この理由は簡単で、プラチナ需要の6割以上は工業用として使われています。好景気になり使用する量が増えることで、プラチナの相場は圧倒的に多くなります。
逆に景気が悪いとプラチナを使用する量が少ないので相場が落ち込んでしまいます。
2-2 需要の60%以上が工業用
プラチナと聞くとアクセサリーをイメージされると思いますが、世界的にはプラチナのアクセサリーは人気はありません。需要の60%以上は工業用として使用されております。
ちなみにアクセサリー用としては35%程度、投資は1%ほど、残りは医療用などで利用されています。
工業用の中でも最もシェア率が高いのは自動車の排ガス触媒で、プラチナ全体からみて40%以上とプラチナの相場にかなり影響する使用率となっています。
数年前、自動車の排ガス触媒をプラチナではなくパラジウムを使用することが判明したことで、パラジウムの購入によりプラチナの相場が下がることがありました。
そして、そのパラジウム買いが走ったことでパラジウムの上昇と、パラジウムの産出国2位を誇るロシアが国外に出し渋りました。このことで、パラジウムがプラチナよりも高くなることもありました。
その結果、プラチナを求める人が増えたため、プラチナも合わせて高騰するという状況になりました。この工業用プラチナの件は、3章で詳しくお話させていただきます。
2-3 長期運用なら金、短期運用ならプラチナを選ぼう
続いては傾向についてご説明させていただきます。
一言でお伝えすると長期的な運用であれば金、短期投資であればプラチナと言うのがそれぞれの特徴です。
投資としての所有者が少ないプラチナは景気に左右されやすく、相場の上下が激しいアイテムとなります。
そのため、プラチナは投機色が濃く短期投資をしている方が多くいらっしゃいます。
金はアクセサリーや通貨、投資としての価値があり、世界的に見ても信頼があります。プラチナと比べると相場は落ち着いているので、長期的に所持している人が多くいます。
3 相場動向を知るために知っておきたい2つの情報
この章では、購入後に知っておきたい相場動向に影響を及ぼすある動きについてお伝えさせていただきます。
このことを知っておくことでおおよそのプラチナの動向を把握することができます。
1つめはディーゼル車の販売動向
2つめは南アフリカの景気
この2点についてなぜ見ておく必要があるのか紹介いたします。
3-1 ディーゼル車の販売動向
プラチナの利用割合で最も多いのは自動車の排ガス触媒での利用となります。
その自動車の中でもディーゼル車の排ガス触媒として使用されているため、ディーゼル車の販売動向を見ることで相場の動きが分かります。
近年、世界的には電気自動車の流れが来ています。その反面、ディーゼル車の規制が広がり欧米では2016年、中国では2019年からディーゼル車の新車販売の規制を開始しています。
高級車メーカーが多いドイツでは2030年に販売停止、人口が多く経済の動きが大きい中国では2040年には販売を停止すると発表しています。
10年後にはプラチナを別の用途で使用する可能性はありますが、現状の使用方法から考えると2030年からはプラチナの相場が下がる場合があります。
3-2 南アフリカの景気
プラチナの主な原産国が南アフリカということはご存知でしょうか?プラチナの生産量のうち71%は南アフリカで発掘されています。
ほとんどのプラチナが南アフリカで発掘されているため、南アフリカの景気に大きく左右されます。
実際に2008年には南アフリカで大幅な停電がありました。そのことでプラチナの採掘や抽出作業が大幅に停止。結果、プラチナは価格高騰しました。
南アフリカからプラチナが生産されにくい状態になったときや、GDPの上昇による好景気によってプラチナの相場が上昇する傾向にありますので、プラチナを所持するのであれば必ず確認するようにしましょう。
4 お店で買取額は異なる?!高く売るための注意点
プラチナを購入したのであれば、次に気にするべきは売却方法についてになります。知っておいていただきたいことは、買取店によって買取金額は大きく変わります。
悲しいことに足元を見てくる業者はいまだに多く、プラチナを売却される際には注意しておく必要があります。
お店によって買い取り額は大きく異なります。お店側としては、安く買い取るができればそれだけ店舗の利益になります。なので、利益を重視する業者は安い金額を提示してきます。
また、買取店によっては金額の高い卸先と提携していないことで安い買取になってしまっているケースもあります。
どちらも企業努力によって改善することができますが、このように買取金額が安い店舗は早期撤退型で長くその地域にお店を構えるスタイルではないので、改善をしない可能性が非常に高いです。
そのようなお店に見分ける点を2つお伝えしていきます。
- 毎日相場を更新していない
- ホームページを持っていない
この2つになります。どちらか当てはまるようであれば、取引を控える、または別の店を選ぶべきでしょう。その理由については、それぞれお伝えしていきます。
4-1 相場を毎日更新していない店舗は要注意
貴金属の相場は平日に更新されるため、休日を除いて毎日相場が変わります。
店頭に買取金額を提示しているお店はありますが、下2桁が変わっていなかったりそもそも毎日同じ金額だったりします。
そういうお店は正確な相場で買い取ってくれない可能性が高く、可能な限り避けたほうがいいでしょう。
ここで適正価格で買い取ってくれるお店の特徴を紹介していきます。
- 相場が田中貴金属と同じである
- 査定は必ずお客様の前で行う
相場が田中貴金属と同じである
貴金属の商社で地金取り扱いの大手である田中貴金属は、買取店の多くが貴金属を卸している会社です。
そのため、ほとんどのお店は田中貴金属の相場を基準に買い取りをしていますので、田中貴金属の相場を見ることで買取金額を知ることができます。
査定は必ずお客様の前で行う
貴金属の査定で必要なのは下記の3つになります。
- 計量器
- ルーペ
- 比重計
比重計はあとKと呼ばれるものや刻印がない金、プラチナなどの品位を確かめるためのもの。刻印が入っているものには基本的に使用することはありません。
ルーペと計量器さえあれば査定ができますので、わざわざバックヤードで査定する必要がないのです。
もしも商品を持って行って、査定のためにバックヤードに持って行こうとしたのであれば、理由を聞くようにしましょう。その理由にご納得出来ないのであれば、そのお店からすぐに退店するようにしましょう。
4-2 ホームページがないお店は買取金額が安い!
2つめの注意点はホームページの有無になります。
これはマーケティングの話になるのですが、最近ではチラシ以上にWEBからの集客の方が安定した売り上げを立てることができます。
今の若い人はネットを中心に調べものをしているので、店舗を10年以上構えようと考えている企業であればしっかりとしたホームページを作っています。
逆にホームページがない買取専門店は、地域密着型の昔ながらの質屋や短期撤退型の安く買うことだけを考えている店舗が多くあります。そんなお店は、情報にズレがあったり買取額が安い可能性だってあります。
最近では昔ながらの質屋でも綺麗なホームページを作り、地域を限定せず全国規模で買取業務を行っているところも増えてきています。
そして、最も重要なポイントは貴金属買取の専用ページがあり、その日の買取額をちゃんと表示しているかどうかです。
“相場の表示”と“ホームページの有無”を覚えておけば、買取金額が安い店舗にあたる可能性は確実に下がりますので、かならず覚えておくようにしましょう。
まとめ
今回はプラチナの投資についてご説明させていただきました。
簡単にまとめさせていただくと、プラチナは投機としての特徴があるため、短期投資をしている人が多くいます。
しかし、希少性が高いプラチナは長期でも問題なく運用することができます。
もし、長期で運用するのであれば、2030年にはドイツでディーゼル車の規制が始まりますので、その頃を期限とし相場を見つつ売却するようにしましょう。