最近爆発的な人気を誇っているオフホワイト。
もはやその人気は留まることを知りません。
そんなオフホワイトのデザイナーヴァージルアブローとはどんな人物なのか。
ヴァージルアブローがファッション業界に及ぼした影響がどれだけのものであったかこの記事を読み終えた後にお分かりいただけるのではないでしょうか。
オフホワイトのデザイナーは誰?
では実際にオフホワイトのデザイナーはどんな人なのでしょうか。
デザイナーヴァージルアブローという人物
オフホワイトのデザイナーはヴァージルアブローという人物でアメリカ、シカゴ生まれの黒人男性です。
今、世界で最もファッション業界で注目されている一人と言われています。
オフホワイトを始め、2019年春夏シーズンからはルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターにも就任しています。
ヴァージルアブローの考えはファッション業界に衝撃を与えたとされており、その考えは今までのファッション業界であったようで無かった、メンズとレディースという2つのジャンルの概念が無くなっていることを主張しています。
ブランド設立からデザイナーの変更はない
ヴァージルアブローはルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターに就任した際のインビューでこのようなことを発しています。
『自分がいくら忙しくなろうとも、想像を超える重圧があろうとも、OFF-WHITEは継続する』
この言葉の意味の通り、オフホワイトは設立当初からデザイナーはヴァージルアブローしかいません。
また従来のラグジュアリーブランドでは兼任でブランドを請け負う人はかなり希少とされています。
つまり、ヴァージルアブローは世界的有名ブランド、ルイヴィトンを同時にデザイナーとして就任した歴史的人物とも言えるでしょう。
ヴァージルアブローの軌跡
皆さんはご存知でしょうか。
実はラグジュアリーブランドのファッション業界は白人至上主義が色濃く残されていることを。
そんな中一握りしか未だ誕生していない黒人デザイナー。ファッション業界においてどういった経緯でヴァージルアブローは成功させたのか。
この章ではそんな経緯について紐解いていきます。
そもそもヴァージルアブローは建築科出身
ファッションデザイナーであるヴァージルアブローは実はファッションの専門学校などでファッションを学んでおりません。
ヴァージルアブローは大学時代、建築関係の仕事に就こうと考えており土木工学を専攻していました。
その後大学院の時、近代建築三大巨匠の一人とされているルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエのカリキュラムによって建築学の博士号を取得しているんです。
意外ですよね。
ラグジュアリーブランドのデザイナーはファッション学科出身の人が多いと思っていましたが
やはり世界で最もファッション業界で注目されているヴァージルアブローは一味違いました。
カニエウエストに導きだされた才能
ヴァージルアブローはその後インターン時代にLVMHグループであるフェンディで同じクラスにいた、後に世界一のラッパーとも言われるようになったカニエウエストと友達になりました。
ここでカニエウエストと出会ったきっかけがヴァージルアブローの〝転機〟となります。
インターンの時にヴァージルアブローのファッションセンス(建築学科で培った)に光るモノを感じていたカニエウエストは2002年の時、自身のツアーで、ヴァージルアブローにツアーのアパレルグッズやステージ設計、アルバムのカバー(表紙)のデザインを依頼しました。
出典:COMPLEX
裏方業の中でデザインをしていたヴァージルアブローは自身のブランドを始めることを常にこの頃考えていたそうです。
その後、カニエウエストの右腕とし2012年にカニエウエストがクリエイティブエージェンシーとしてスタートさせた〝DONDA〟のクリエイティブディレクターとして抜擢されました。
また同時期にシカゴにてRSVP Gallery(アールエスブイピーギャラリー)をOPENさせました。
出典:HYPEBEAST
コレットバイヤーに認められたパイレックスヴィジョン
ヴァージルアブローの名が実に世界に広まったきっかけとなったとされるのがパイレックスヴィジョンになります。
このパイレックスヴィジョンが何かというともともとはミュージックビデオとなりこのビデオでラルフローレンの古着などにOFF-WHITEとのデザインの前身ともなるバックに大きくプリントをしている衣類が登場しました。
当初はブランドとしての告知ビデオではなかったパイレックスヴィジョンですがそこに目を付けこのビデオ内で登場している服に興味を持った一人の人がいました。
それは惜しくも2017年閉店してしまったパリの伝説的なセレクトショップ〝コレット〟(当時世界の最先端のものしか置いていないとされ世界で人気が出るものは全てコレットからとも言われていました)のクリエイティブディレクターのサラ・アンデルマンでした。
サラ・アンデルマンはすぐにコンタクトを取り、当時ブランドとしてスタートしていたわけではないパイレックスヴィジョンはブランドとしてコレットで取り扱われるようになりました。
ヴァージルアブローはサラ・アンデルマンに目に留まったことがきっかけで一躍有名になったとも言われています。
その後オフホワイト誕生
パイレックスヴィジョンによってアパレル業界で一世風靡したヴァージルアブローはその流れのまま、2014年の春にオフホワイトをスタートさせました。
ラグジュアリーストリートをテーマにスタートさせたオフホワイトは瞬く間に噂が広がり、MADE IN ITALYに拘ったアイテムは世界有名セレクトショップの一部でしか取り扱われず、発売したや否や即日完売となりました。
デザイナー、ヴァージルアブローがファッション業界に及ぼした4つの影響
ヴァージルアブローはファッション業界には今まで無かった新しい影響を与えました。
それは大きく分けて4つほどあります。
- ラグジュアリーストリートという新しいジャンルを作ったこと
- ヴァージルアブロー自身(デザイナー)がファッションアイコンになったこと
- コラボレーションをより定番とさせたこと
- 各国の影響力あるファッショニスタを虜にしたこと
それぞれ従来のファッション業界ではなかなかあり得なかったことばかりです。
ラグジュアリーストリート!新ジャンルを開拓
ヴァージルアブローはラグジュアリーストリートを開拓した第一人者ともいわれており、ラグジュアリーストリートといえばオフホワイトが一番に名前が上がると思います。
現在はGUCCIを始め多くのメゾンブランドがヴァージルアブローの影響を受け、近年のメゾンブランドから発売されるアパレルラインはラグジュアリーストリートのジャンルに位置付けさせれる製品が多いと言われています。
そもそもラグジュアリーストリートは上質な生地や素材を用いたラグジュアリーなハイブランドのアイテムとどこかチープなストリートブランドのMIXし組み合わせているスタイルで、近年一番流行っているスタイルとされるモノトーンをベースにしたオーバーサイズのカットソーやフーディーにスキニーパンツといったスタイルが挙げられます。
このジャンルを流行させたヴァージルアブロー達を〝スラッシー〟と呼んでいます。
ファッションデザイナー/DJ/音楽プロデューサー/デザイナー/グラフィックデザイナー/フォトグラファー
と肩書きが多いためスラッシーの愛称で知られています。
出典:GXO
ヴァージル自身がファッションアイコンに!
流行の最先端を生み出したヴァージルアブローのセンスはデザイナーでは非常に珍しいファッションアイコンとされており多くの人から支持されています。
① インスタグラムのフォロワーは443万人!※2019年10月1日時点
実は記事を書き始める前は436万人でしたが2週間の間におよそ7万人も増えてました(笑)
ヴァージルアブローのインスタグラムは自身が携わっているブランド以外のものも度々紹介しており、世界的な有名アーティストや有名ファッションデザイナーのプライベート写真もしばしば登場します。
また製作途中のものも度々ストーリー等にも紹介され注目を集めておりデザイナーの中では恐らく世界一のフォロワーがいるのではないでしょうか。
② 一部ではトレンドはヴァージルからとも言われるほど
著名人のファッションで誰を参考にしている?の問いにデザイナーであるヴァージルアブローの名前が上がるほどヴァージルアブローのプライベートファッションは世の中で注目をされています。
私自身、過去に店舗で接客をしている際に『ヴァージルが着ていたからこの服を探している』とよく聞かれたものです。
ヴァージルアブローのファッションの特徴としてドメスティックブランドを好む傾向がありそれが我々日本人の心をくすぐるのではないかなと私は考えています。
例を挙げると岡山県発祥の〝キャピタル〟はヴァージルアブローをきっかけに世界で活躍するラッパーなどもこぞって着用し一時は定価の2倍以上で取引されていました。
出典:artnet news
ハイエンドなコラボは社会現象に!
ヴァージルアブローは自身が様々なブランド品を好んで着用することでも知られており、そういったブランドと幾度となくコラボレーションを実現していきました。
そのコラボレーションの数々は社会現象を起こしたり、世の中に多くの衝撃を与えました。
① ヴァージル様様、NIKEとのコラボは世界に衝撃を与えた
もはや知らない人はいないのではないでしょうか。
NIKEとのコラボレーションは2017年からとスタートとなり、リデザインプロジェクトとして〝THE TEN〟がスタートしました。
このコレクションは主に既存のJORDAN1やAIRMAX90といった様々なモデルを再構築やレタリングによってリデザインしたものとなり下火になっていたスニーカーブームを再び巻き起こしたと言われています。
発売日が決まると瞬く間に販売先には行列ができ世の中に衝撃を与え、人気のモデルはすぐに定価の10倍以上まで膨れ上がり高騰具合でも衝撃を与えました。
② 新米ブランドだったがクロムハーツとコラボを実現
ブランドが出来上がってからはまだ3年ほどで当時からヴァージルアブロー自身が愛用していたとされるクロムハーツとコラボレーションが発表されました。
クロムハーツは老舗シルバーブランドでアクセサリーブランドでは知名度NO.1といっても過言ではないブランドです。
クロムハーツは今までのコラボレーションではどれもこれも老舗メーカーや一流ブランドばかりで新米ブランドとのコラボレーションは一部ファッショニスタからは事前に評判や期待が高まり、発売日では長蛇の列ができました。
発売後はすぐに完売し定価以上で取引され今では手に入れることさえ難しくなっています。
出典:HYPEBEAST
③ モンクレーからはカプセルコレクション「MONCLER O」を発表
ストリートブランドと初のコラボレーションとなったモンクレールですがこちらも上記のコラボレーション同様に世界に衝撃を与えました。
どこかモンクレールらしさはあるものの全く新しいモノに作り上げられたコレクションはモンクレールの名前をも更に世間に広げるきっかけとなりました。
まさに独創的なデザインはブランドイメージを一新しストリートの要素とテクニカルの要素を掛け合わせた唯一無二のコレクションとなりました。
バズメーカー!各国の最大級の影響力あるインフルエンサーを虜に!
近年度々話題になっているキーワード〝バズる〟
WEBを中心に口コミで広がることを言います。
やることなすことどんどんバズるヴァージルアブローは俗にいう〝バズメーカー〟とも呼ばれています。
ヴァージルアブローのスタイルや製作したものを様々な業界人にも大きな影響をもたらしています。
① ジャスティンビーバーも夫婦で着用
出典:FRONTROW
出典:FRONTROW
ジャスティンビーバーとヘイリービーバーはヴァージルアブローのデザインするスニーカーを共に好んで着用しています。
オフホワイトから発売されるスニーカーには赤いセキュリティータグのようなモノが必ず付いていますが実はジャスティンビーバーがこちらを着用したまま街を歩いていたら万引きと間違えられ警察に職務質問されたこともあるそうです。
② スポーツ業界でも愛用者多数
オフホワイトに注目して着用しているのはラッパーやファッション業界だけに留まりません。
ネイマール(プロサッカー選手)
毎回コレクションの発表があるたび足を運ぶほどヴァージルアブローのデザインが気に入っているとされるのがサッカーブラジル代表ネイマール
オデルベッカムジュニア(アメリカンフットボール選手)
NFLの中で最もファッションセンスが良いと言われているオデルベッカムジュニアもオフホワイトを愛用しています。
プライベートで日本に来た際はBRINGにも来店されオフホワイトを購入していきました。
セリーナウィリアムズ(プロテニス選手)
出典:GXO
ヴァージルアブローは最もインスピレーションを与えてくれたアーティストの一人にセリーナウィリアムズの名前を挙げています。
そんなセリーナウィリアムズのためにコレクションラインを展開するほど。
ナイキとオフホワイトとセリーナウィリアムズのトリプルコラボのスニーカーはインスタグラムで公開されるや否やすぐに話題となり多くの女性もスニーカーに注目するきっかけになりました。
出典:NIKE
③ 国内ファッションアイコン3代目も!!
国内ではファッションアイコンとして注目を浴びている3代目J Soul Brothersのメンバーもメディアを通して度々着用している姿を目撃されています。
ほとんどのメンバーが着用していることから3代目ファンの間でも着用者が多くなっています。
ヴァージルが作り上げるデザインは特徴的かつ独創的
ヴァージルアブローが作りあげるオフホワイトのデザインはすぐに彼が作ったデザインとわかるものが多く、『それどこのブランド?』と聞かなくてもオフホワイトだとわかるのが特徴だと私は思います。
一目でわかるオフホワイトのデザイン
オフホワイトのデザインの多くは特徴的なもので一目でオフホワイトとわかるデザインが多くあります。
それは大きなロゴの文字、ナンバリング文化です。
2015年以前までは大きなロゴが入っているデザインはその当時の流行ではありませんでしたがオフホワイトの大きなロゴが入ったデザインが発売されるや、たちまち様々なブランドからビッグロゴやナンバリングのアイテムの発売が目立ちました。
そのデザインのパイオニア的存在がオフホワイトなのです。
その他にも〝バイアス〟〝アロー〟〝絵画〟といった特徴的なデザインをリリースしています。
黒人で初となるルイヴィトンのデザイナーにも抜擢
ヴァージルアブローのデザイン性に関してフェンディのインターン時代の会長、マイケルバーク(現ルイヴィトン会長)は当時から注目しヴァージルアブローの成長を楽しみにしていました。
マイケルバークはヴァージルアブローのデザイン性や才能を高く評価しており、前ルイヴィトンのデザイナー、キムジョーンズの退任により顧客離れがささやかれていたルイヴィトンを既存顧客に加え更に新たに若年層の新たな顧客獲得も成功させました。
アパレルだけではない。家具業界にも参入
出典:HYPEBEAST
アパレルだけではなく世界最大級の家具量販店〝IKEA〟とコラボレーションも実現させたヴァージルアブローですが以外にもIKEAとのコラボはヴァージルアブロー自身が電話営業をして実現したそうです。
何度も何度も電話でのやりとりを続けようやくコラボすることができたそうでヴァージルアブローの決して慢心していない姿勢が新たなアイディアやプロジェクトを誕生させていることがわかります。
建築出身ならではのヴァージルアブローにしかない発想は今後の家具業界にも大きな影響を与えていくのではないでしょうか。
オフホワイトのデザイナーであるヴァージルアブローのデザイン性や影響力は凄いですよね。
そんなヴァージルアブローですが実は来日の際、光栄なことにプライベートでBRINGに複数にわたり足を運んで下さっています。
【追記】
本記事にて紹介したヴァージル氏の公式Instagramにて訃報が流れました。
2019年に診断された非常に稀である癌「心臓血管肉腫」との約2年に及ぶ闘病の末、
11月28日に心臓血管肉腫で死去され、あまりに短すぎるその生涯を終えられました。
「ヴァージルは、天才的なデザイナーであり、先見の明があっただけではなく、美しい魂と偉大な知恵を持った人物でした」とLVMHのベルナール・アルノー会長もコメントを残しています。
ご冥福をお祈りします。