資産運用のひとつとして人気のインゴット。金やプラチナなど、さまざまな素材のインゴットがありますが、インゴットについてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。 当記事では、本物のインゴットの特徴や売買の方法、偽物の見分け方などを解説します。インゴットについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
インゴットとは？
インゴットとは、溶かした金属を鋳型に流し込んで成形したものです。インゴットは金だけではなく、プラチナや銀などさまざまな金属のものがあります。 一般的に、インゴットといえば金の延べ棒を想像する方が多いですが、正式には金のインゴットは金インゴットやゴールドバーと呼びます。
インゴットには純度や重さが刻印されているため、インゴットを見れば価値がひと目でわかります。そのため、インゴットは取引に最適で、資産として運用されます。
インゴットの規格
インゴットには正確性が求められるため、貴金属の種類ごとに厳密な規格があります。ここでは、金インゴットの規格について解説します。
金インゴットは10種類ある
金インゴットは、メーカーによって取扱数が異なりますが、一般的に10種類の規格があります。 【金インゴットの規格】
| 10g | 20g | 50g |
| 100g | 200g | 300g |
| 500g | 1kg | 12.5kg |
テレビや映画などでよく見る大きなインゴットは12.5kgのもので長さが25cmほどあるため、ラージバーと呼ばれます。
インゴットの刻印の意味
インゴットには、必ず刻印が入っています。インゴットに入った刻印が、そのインゴットの価値を示す証明書になるため、刻印の有無は重要です。
インゴットには、以下のような刻印が入っています。
- ブランド名
- 重量
- 品位（純度）
- シリアルナンバー
この他に、材質や製錬・分析者マークが刻印されたものもありますが、最低限上記の4つは必ず確認したい項目です。
インゴットと地金の違い
インゴットと地金は同じ意味のように思われていますが、厳密にいうと異なります。
- インゴット＝規格にあわせて成形された金属
- 地金＝金属の塊
つまり、インゴットには厳密な規格が定められていますが、地金は金属の塊全般を指します。また、インゴットは単一の金属のみでつくられていますが、地金は複数の金属が混ざった合金でも、塊の状態なら地金と呼びます。
金インゴットは今が売りどき？
金は安いときに買って、高いときに売るのが鉄則です。ここ数年、新型コロナウイルスやウクライナ情勢など、世界の情勢が不安定なこともあり、金の価格は上昇中です。 金の価格はここ10年で10倍近くの価格まで上昇しています。
そのため、金インゴットを売りたいと考えている方にとっては、今が売りどきです。
しかし、金は貴重な天然資源で供給が限られているため、長期的にみれば、値動きを繰り返しつつ、金の価値は今後も徐々に上がっていくでしょう。
インゴットのブランドとは
インゴットには、必ずブランドの刻印がされています。インゴットのブランドは国内外に多数ありますが、信頼できるブランドを選ぶなら、やはり日本のブランドがおすすめです。
インゴットのブランドが大事な理由
インゴットの規格は、取引所によって厳格に定められています。規格に合わないインゴットは、取引はできません。 しかし、市場に出回るインゴットの中には、規格を満たしていない粗悪品や、偽物もあります。そこで、信頼できるインゴットかどうかを、ブランドによって判断するようになりました。
信頼できるブランドのインゴットなら、日本はもちろん、世界のどの取引所でも取引することが可能です。
グッド･デリバリー･バーとは
グッド･デリバリー･バー(GDB)とは、インゴットのブランドのひとつです。LBMA（ロンドン貴金属市場協会）の定めた厳しい基準をクリアしたインゴットにのみ与えられます。
グッド･デリバリー･バーの称号を得るには、99.5%以上の高い純度が必須です。そのほかにも、重量や純度が正確に刻印されていることや、試金業者による正確な分析など、厳しい規格をクリアする必要があります。
数あるインゴットのブランドの中でも、グッド･デリバリー･バーに認定されたインゴットは、世界的な信用があります。
日本国内のグッド･デリバリー･バー認定会社
日本国内でグッド･デリバリー･バーに認定されている会社をまとめました。これらの会社のインゴットなら、グッド･デリバリー･バーの基準をクリアした信頼できるインゴットといえるでしょう。
| アサヒプリテック | 石福金属興業 | 住友金属鉱山 |
| 田中貴金属工業 | 日鉱金属株式会社 | 同和鉱業 |
| 徳力本店 | 日鉱金属日立製作所 | 三井金属鉱業 |
| 三菱マテリアル | 古河機械金属 | 松田産業 |
グッド･デリバリー･バーじゃないと価値は下がるの？
お持ちのインゴットがグッド･デリバリー･バー認定を受けていなくても、金そのものの価値は下がりません。
しかし、インゴットとして評価した場合、グッド･デリバリー･バーとそれ以外のブランドでは、価値は変わってしまいます。
インゴットは地金と違い、そのままの状態で再販することを前提としています。そのため、信頼性が高いグッド･デリバリー･バー以外のブランドは、多少買取価格が下がってしまう可能性があります。
インゴットの売買について
ここでは、金インゴットを売買するための方法を解説します。 これから金インゴットの購入や買取を考えている方はぜひ参考にしてください。
インゴットの購入方法
インゴットの購入方法で一般的なのは、貴金属メーカーや地金商で購入することです。
また、デパートなどの小売店での購入や、商社や銀行を通して買うこともできます。
少額からこつこつ投資してインゴットを手に入れたいという方には、純金積立という方法もあります。貴金属メーカーなどに月々数千円から積立を行い、購入した金が一定量に達すれば、インゴットと交換できます。
インゴットの売却方法
インゴットは相場によって毎日値段が変動するため、信頼できる場所で売却することをおすすめします。
インゴットを売る場合は、貴金属メーカーや貴金属買取業者が一般的です。ただし、貴金属メーカーの場合500g未満の金の売買には手数料がかかることが多いため、小さめのインゴットなら貴金属買取業者がお得です。
インゴットの売買に税金はかかる？
インゴットを売却した際に、50万円以上の利益が出ると、譲渡所得となり税金が発生します。50万円分は控除されるため、例えば200万円で購入したインゴットが300万円で売れた場合、50万円分の譲渡所得となり、所得税を収める必要があります。
ただし、インゴットの所有期間が5年を超えると、長期譲渡所得として課税対象の所得が優遇されます。
- 保有から5年以内の売却
（金の譲渡益＋その他の譲渡益）－ 特別控除50万円＝課税対象の所得
- 保有から5年以上の売却
｛（金の譲渡益＋その他の譲渡益）－ 特別控除50万円｝÷2＝課税対象の所得 このように、インゴットを売るときは、5年以上保有してから売るほうがお得になります。 また、金の売却にかかる税金については下記の記事で詳しく解説しております。インゴットや金製品の売却を検討している方は、ぜひ併せてご覧ください。
インゴットの偽物の特徴
金インゴットは資産価値が高く、流通もしやすいため人気の金融資産です。そのため、インゴットの偽物も増えています。
最近では巧妙な偽物も出回っているため素人による判断は難しく、専門の買取業者などでの査定をおすすめします。
刻印の有無や精度
インゴットには、ブランドや純度、シリアルナンバーなどが刻印されています。まずは、刻印の有無を確認しましょう。
また、偽物のインゴットは、刻印が薄かったり文字が潰れているなど、精度が低いことが多いです。
金の色合い
本物のインゴットは99.5%以上の高い純度でできています。色は山吹色に近く、オレンジがかった色が本物です。
金の純度が低くなるほど、オレンジ色が薄くなり、黄色に近くなっていきます。
磁石がくっつくかどうか
金は磁石がくっつかないため、磁石を近づけてくっついた場合は確実に偽物です。
しかし、金と同じ重さでよく偽物に使われるタングステンという金属も磁石につかないため、磁石につくかどうかだけで見分けるのは危険です。
重さが正しいかどうか
インゴットには重量が刻印されていますが、偽物の場合、刻印の重量より実際の重量が少ない場合があります。特に1g以上の誤差があった場合、偽物の可能性が高いでしょう。
インゴットは金だけじゃない
インゴットといえば金のイメージが強いですが、そのほかにもさまざまな貴金属のインゴットがあります。
世界の取引所に上場している貴金属で、市場規模が大きいインゴットは金のほかに以下のようなものがあります。
- プラチナインゴット
- 銀インゴット
- パラジウムインゴット
プラチナや銀は、金と同じくジュエリー素材として人気がある貴金属です。パラジウムは数年前までそれほどメジャーではありませんが、工業用の金属として欠かせない素材です。 パラジウムは金やプラチナと比べても価値が高く、パラジウムインゴットの需要は年々上昇しています。
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