ダイヤモンドは宝石の王様と言われていますが、その美しさを引き立てるには加工が重要です。ダイヤモンドの品質は、加工の腕で決まるといってもいいでしょう。今回は、ダイヤモンドが鉱石から宝石になるまでの加工方法について解説します。
目次
1 ダイヤモンドの性質
ダイヤモンドには「へき開」という性質があり、ある一定方向には簡単に割れてしまうという特徴があります。
研磨やレーザー加工がなかった時代には、この「へき開」の性質を利用してダイヤモンドを加工を行っていました。この、へき開を利用したカットを「クリービング」とよびます。この技術は現代でも用いられており、へき開によって割れた断面（へき開面）は平滑なため、方向を見極めてカットしていきます。
また、ダイヤモンドをカットしたり研磨する上で重要なのが「グレイン」です。グレインとは、ダイヤモンドの結晶の構造上で無視できない切断方向のことで、グレインを無視して加工すると、ダイヤモンドが欠けたり割れる原因となります。
2 ダイヤモンドの輝きを決める3要素
ダイヤモンドといえば、品質を決める４C（カット・カラー・カラット・クラリティ）という要素が有名です。このうち、カラー・カラット・クラリティは原石のクオリティによって決まりますが、カットは加工の腕によってクオリティが変化します。
カットが美しいダイヤモンドは、輝きも強いのが特徴です。ダイヤモンドの煌きを決める要素は3つあり、このバランスがよいダイヤモンドは、輝きが強く美しいとされています。
- ブリリアンス＝全体の輝き
- ディスパージョン＝光の分散
- シンチレーション＝鏡面反射
ダイヤモンドの輝きを引き出すためには、これらの要素が欠かせません。加工職人による腕の見せ所と言えるでしょう。
3 ダイヤモンド原石が宝石になるまで
ダイヤモンドの加工方法はさまざまですが、大体の流れは共通しています。
3-1 クリービング
原石のダイヤモンドから不純物を取り除く作業です。原石を割ったりカットすることで、不純物や難のある場所を消していきます。
3-2 ソーイング
1つの原石から2つ以上のダイヤモンドを作る場合に行われる作業です。ダイヤモンドは、石の内部に特に柔らかい六面体面と、次に柔らかい十二体面があります。この面に沿ってカットを行い、原石を2つに分割していきます。
3-3 形を整える
ダイヤモンドの最終的なカットが決まったら、個々の面を仕上げる作業に入ります。ダイヤモンドの面は「ファセット」と呼ばれ、面の数や形によってカットの名称が決まります。例えば、婚約指輪などで人気のブリリアントカットは、58のファセットによって構成された58面体のデザインです。
この工程では、ダイヤモンドの荒削りを繰り返し、形を少しづつ整えて、仕上げに近づけていきます。
3-4 研磨を行う
研磨はダイヤモンドの最終的な輝きを決める大切な工程です。ダイヤモンドは世界一硬い鉱物のため、普通のヤスリでは磨くことができません。そこで、ダイヤモンドの研磨には、回転する円盤の上に、粉末状にしたダイヤモンドを付着させる方法を用います。この方法はスカイフ研磨といい、14世紀に生み出された技術ですが、現在でもダイヤモンド加工に欠かせない技術です。
4 最新のダイヤモンド加工技術
ダイヤモンドの加工技術は日々進化しています。ダイヤモンドが発見された紀元前7世紀頃は、まだダイヤモンドを加工する技術が乏しく、ダイヤモンドの粉末をオリーブオイルで溶かして表面を磨く「ムガールカット」という方法が主流でした。
現在ではさまざまな最新技術がダイヤモンド加工に用いられており、効率化が進んでいます。
4-1 YAGレーザー加工
YAGレーザーを利用した加工は、ダイヤモンドの切断や穴あけに使われる技術です。この技術が生まれるまで、ダイヤモンドはへき開の方向に切断するクリービング加工を行うしかありませんでした。しかし、レーザーを使うことで、グレインの方向を無視してカットできるようになり、加工の自由度が大幅に上がりました。
4-2 イオンビーム加工
イオンビーム加工は、ダイヤモンドの表面にイオンビームを照射することで、表面加工を行う方法です。この方法の優れた点は、ダイヤモンド本体へのダメージが少ないことです。レーザー加工では、加工技術が低いと跡が残ってしまい、グレードが下がることもあります。イオンビーム加工で表面を削りながらカットすることで、原石へのダメージを抑えつつ、効率のよい加工が可能となります。
5 さいごに
一粒のダイヤモンドを美しく輝かせるためには、さまざまな加工が必要です。原石のクオリティも大切ですが、加工の技術によってもダイヤモンドの価値は変わります。お手持ちのダイヤモンドの価値を調べたい方は、ぜひブラリバへお問い合わせください。
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